ラウンド2 準決勝 準決勝ハイライト
そして二ラウンド目が始まる。リオはメッレン選手が一ラウンド目に攻撃してきた動作全てが勝負をかけてくる一撃じゃなかったので、それを見極めて、基本的にかわし、いくつかかすった攻撃があったとはいえほぼダメージを受けないように神経を割いていた。
二ラウンド目に同じ戦法はやめた方がいいだろう、観客にまで勝利する気ないのかとヤジられてはたまらないとリオは考える。少しタイミングが遅れて、リオの鎧の肩と胸あたりに当たってメッレンのオノが防具の硬さに負けた。リオは冷や汗ものな展開だったと思う。しかし、ここまで(二ラウンド目)まで来たので自分の実力を信じて考えを行動に移そうとした。リオはメッレンのオノを時には槍で払い、連続攻撃をされそうな場合は槍の穂先を忍ばせて攻撃を中断せざるを得ない状況にする。
(特に大振りを読まれてきているな)
メッレンは、リオがどの攻撃を繰り出しても一ラウンド目と違って武器防具の性能を存分に活用しているなと思う。リオの狙いがわかったメッレンだったが、自然と発生する疲労に少し動きが鈍ってきたかもしれない。
リオとメッレン両者ともに見応えを観客達に感じさせているので、彼らもまた固唾を飲んで見守っていた。
二ラウンド目終了が近づいてきたその瞬間、両者の目に輝きが宿る。これは決着をつける気だと会場で声援を送っている観客の大半が理解した。メッレンがオノでリオの頭付近を振り下ろしで狙い、リオはメッレンの脇腹あたりに鋭い突きを放つ。
両者の攻撃速度はほぼ同じと思われた。だが、メッレンの出足が僅かに鈍る。多分疲労からそうなってしまったと考えられる。
そのリオの一撃がすさまじかったのか、防具の耐久力が長年の使用で弱まってしまったのかはわからないが、リオの一撃で勝負は決した。
ハイライト
準決勝 第一試合 『フェア・ファイター』
ファーディ選手VSパーラ選手
ファーディ選手が約七割(瞬間的に八割)の力を最初から発揮したことで、パーラ選手はアバラ骨への一撃で沈んだ。
誰が見てもパーラ選手が立てるとは思っていなかった。起き上がってファイティングポーズを取ったパーラ選手にとってそれが「戦士の誇り」だったのかもしれない。
体が動かない分、気迫として鋭い瞳でこれから先は強敵になってやるという意思だけは、会場にいるすべての人達が汲み取れた。
ファーディ選手は敬意を表して、パーラ選手の体を倒して場外へ押し出す。
パーラ選手が経験を積むのを記者も心待ちにしたい。
準決勝 第二試合 リオ選手VSメッレン選手
リオ選手の最初の一撃は一回戦と比較しても遜色ない素晴らしい一撃だった。
しかし、元王者のメッレンには通じなかったばかりか反撃まで繰り出した。
リオ選手もさるもの、数ある選択肢の中から一番勇気が必要で効果的は方法(ただし、失敗すれば多大なるピンチを招く)を行動にうつしていた。
メッレン選手のゲン担ぎ、使い慣れた防具の傷んだ部分に体重の乗った蹴りを見舞うとメッレン選手の防具機能が低下した。
メッレン選手の攻勢が続いた(もしかすると、これもリオ選手の作戦だったかもしれない)
長期戦(ちなみに一ラウンド十五分と二ラウンド目の十分経過で二十五分経過していた)の中、メッレン選手に神経をすり減らし続けた攻防だったからか疲労が見えた。
疲れのせいか、これ以上時間をかけると不利だとメッレン選手は考えたのであろう。これで勝負を決めるというオノの縦一閃
真っ向勝負のリオ選手。メッレン選手のオノの振り下ろしが速いか、リオ選手の長槍ならではの横にスピードの発揮された一撃が勝つかになった。
ほぼ同じかに思われた勝負を決める一撃はよく見ると、疲労からかメッレン選手の方が遅かった。
リオ選手の長槍の一撃がメッレン選手の防具を一部破壊していた。胸の骨にでもヒビが入ったのか、メッレン選手がうずくまるようにダウンしてしまった。
(試合後、医者の看た感じでは長槍の衝撃で一時的に呼吸が苦しくなったという診断)




