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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
リオの試合の行方・もう一人の主要人物?
15/88

格闘大会1回戦終了後 店で騒ぐ、親友・父との絆 2

 マギーがその流れで店内にある二年前の王対決のイラストを指差した。

「お前はあの時のファーディと同じ。パーラ相手でもひけは取らねえよ」

 リオは、マギーに強さの謙遜けんそんを禁じられる。マギーはファーディのファンなので上手くメッレンを馬鹿にできて嬉しそうだ。マギーが気分良さげに"パインアイス"を器ごと食べそうな勢いで平らげ始める。頭が痛くならないかというより、いつもは話に乗っかるものの今回ばかりは落ち着かない気持ちだった。リオは恐れもなく、"パトリオープン"でメッレンと対戦確率大な現実を最高に思い、発作的に笑う。

「リオ? 急にどうした?」

 

 リオはわざわざ説明するつもりはなかった。

「何でもないよ。君もパトリオープンに出場すればわかるかもな」

「まさか。現実的じゃない」

 ふとファーディが自分のことを覚えているかどうか考えた。写真のファーディに意味なく語りかけてみる。そんな時、マギーが机を叩いて興奮し出す。どうやらインタビューでのことを思い出したようだ。

「お前、彼女がいるかなんて聞かれてないってよ」

 マギーが腹を抱えて笑っている。どうやらツボに入ってしまったようである。

「君もいないじゃないか」

「だからってあの場で宣言しないだろ。恋人をねだっているようで情けない」


 リオが混乱していたからとふてくされていると、新しいからかいのネタをマギーが試してくる気がした。

「パンツの色は? 当然白! ってな」

「そんな質問はされてないよ。するとしたら頭のおかしいマのつく誰かさんだけ」

 リオは親友と二人でからかいあう。そこにメーリが色紙とペンを持ってやってきたかと思うと、リオにそれを渡してくる。

「もしかしてさっきの女の子が? なんて……」

「残念ね。彼女はファーディのファン。でもあなたにしようか迷っているみたい」

「なら僕のサインなんて誰が欲しがるの?」

「早く書きなさい。顔か足の急所をつくよ」

 メーリが物騒なことを言ってきたのでサインを書き始めた。



リオは初サインとはいえ、もう少しサインらしくした方が良かったと後悔する。

「う~~~~ん。これでどうだ?」

「飾ってもわかりやすくていいわ」

 リオは恥ずかしくて飾るのを止めようとしたが時すでに遅し。

「お客さん達。失礼するわね。今からリオのサインを飾るから」

 リオは椅子ごと倒れる醜態をこらえかけたが結局倒れた。リオが親友と話し込んでいる内に暗くなっていた。二人は会計を済ませて店先で別れる。親友マギーは馬車で(店で業者に電話して手配していた)帰路についた。


 リオはやがて家のある通りに出ると、大柄男性を見つけて駆け出す。

「父さん! 待ったかい?」

 リオは父親と待ち合わせの約束をしていたのだ。疲れているのでお父さんに防具入れの袋を持ってもらう。家までの帰路でお父さんが試合の報告を期待している感じが伝わってきた。リオはわざとすっとぼける。

「父さんに言いたいこと? 父性を感じるとか?」

「それはお前が股から出てくる前から教えていることだからな」

「生生しい表現だね、どうも……」


 リオが続けてたたみかけた。

「……それにどこから生まれようと実際に産んだのは母さんだよ。父さんが偉ぶっても」

 リオは父親の会話中の下品な冗談を軽くあしらった。

「母さんがいたら火山の噴火級の怒りをぶつけられちゃうね。それで立ちすくんじゃう」

 リオは父親の服を引っ張って帰路に急ぐ。

「おいおい、この場の俺より母さんか?」

「すねてないで帰ろうよ。僕より待ち合わせ場所に偶然いた女性と会話が弾んでいたって嘘を教えるぞ。それだけ……なんて信じたら怖いね」

「マギーにお前の化けの皮を見せてやりたい」

 

 

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