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第4話:『探偵さんが学校で学ぶべきは道徳心にほかならない』

「あちぃ」

「そうですねぇ」


どーも皆さん。いや〜夏です。酷暑です。

クーラーなんてついてない『とある探偵事務所』では扇風機3台が総動員で風を送ってくれています。



シンさんに。



「あー、あちぃ」


扇風機3台を独占してもまだ暑いか


「あ、もうこんな時間…それじゃ、ボク行きますね」


「おう」


扇風機に向かって『あぁあぁぁあ』とかやってるシンさんを事務所にひとり残し、ボクは外に出た


今日は学校。

朝、7時頃に1度事務所の掃除をしてから登校するのがボクの日課です。朝・夕とお掃除をしないと事務所は1日でゴミ屋敷へと姿を変えてしまいますから…。

まったく…どうしてあの人は一晩であそこまで散らかせるのか不思議でなりません。



「トオル!おっはよー」


「あ、おはよー」


数人の友人たちと軽くあいさつを交す。彼らはボクが探偵事務所の助手(家政婦?)をしている事を知りません。

なぜなら『とある探偵事務所』及び『探偵シン』は、この街の七不思議のひとつになる程違う意味で有名ですから…

ある者は真夜中に『べっこうあめ〜〜』とか絶叫しながらチャリンコで川にダイブしたシンさんを見たと言い、またある者はあの探偵事務所からは時折ナイフが飛んでくるなんて話を…………ナイフは事実です。はい。

そんなこんなで、この街の人間は、あまり『とある探偵事務所』に近付こうとしません。



キーンコーンカーンコーン


「んぁ?」


しまった!午前の授業全部寝ちゃったみたい……もう昼休み。

ボクは友人数人と机を合わせ、手作りの弁当を開く。そして何気なしに外に目をやってみる。

ああ、今日も快晴♪…グラウンドではどっかの野良犬が蝶々を追い掛け回してるし…飛んでる蝶をナイフが撃ち落とすし…落ちた蝶を犬が食……………


ナイフ?




「ぐわっはっはっは!ざまーみろクソバタフライ!!」


なにやってんだ変態!ここを何処と心得る!?貴様とは対極に位置する学び屋ぞ!


「おいグラウンド見てみろよ!なんか居るぞ?」


げ…気付かれた。


シンさんは次の標的を野良犬に決めたようで、野良犬を本気で追い掛け回している


「ぐるぁぁぁぁッ!待ちやがれクソパグチーズ!!」



多分パグとマルチーズを気分で合わせちゃったんだろーな。てか明らかに野良犬ブルドックじゃん!


「恐ぇぇッ!」


クラスの誰かが言った。うん、そりゃぁ恐いよ。無害な野良犬相手に本気でナイフ投げてんだよ?常人のする事じゃないさ。さすが七不思議。

「…あ。」


生徒の誰かが教えたのか、数人の教師がシンさんの所へ向かった


嫌な予感が…


「ぎゃーーーーーっ!」

ハイ的中!


事もあろうにシンさんは標的を体育教師に切り換えやがりました。

おーおー逃げとる逃げとる。必死だな体育教師。半ベソじゃん。


「俺さまの暇潰しを妨害しやがってぇぇぇ!クソニップレスがぁぁぁぁっ!!」


その声を敷地中に轟かせながら体育教師にナイフを投げまくるバーサーカー。

多分体育教師のタンクトップから乳首がポッコリ出てたんだね。


「……え?ちょっと…」


グラウンドから校舎に体育教師が逃げてくる


「キャァァァァッ!」

「うわぁあッ!」

などといった悲鳴が学校中に響く。そりゃそうさ、体育教師が避けたナイフが教室に飛んでくるんだもん


どうやら体育教師を見失ったらしく、シンさんは廊下でキョロキョロしてる




…あ。




「…ヤバ…」


シンさんとバッチリ目が合ってしまった。

もしここで『おートオル』とか声かけられたら明日から晴れてボクも七不思議の仲間入りだぁぁぁ!


「………」


あれ?

シンさんはなにも言わずクルリと背を向け教室から離れて行く…


……まさかボクの立場を考えて……?シンさん。ゴメンよシンさん!ボクは自分の立場ばかりを考えて…シンさんの気持ちなんて少しも考えてなかった……




「よぉトオル。今朝ぶりー」




ありがとうシンさん。わざわざ放送室を占拠して全校舎に語りかけてくれて


ぶっ殺すぞ。







その日からボクは晴れて七不思議の仲間入りを果たしました。

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