第2話:『もひもひランデブーには完全版と通常版があるんスよ』
どーも皆さんこんにちわ。トオルです。
さて、前回名前が発覚した『とある探偵事務所』ですが…一ヶ月ぶり位に訪れた依頼主は、なんとわずか8歳の少女でした。
今はシンさんが泣きじゃくる少女から話を聞いているところです。
「…つまり、行方不明になったネコたんを探して欲しい…ってことアルね?」
うわーマンガみたいな中国人がいるよ
「…ヒック…ぐすんっ…」
少女は溢れでる涙と鼻水でグシャグシャになりつつも、シンさんの質問に頷いてます。
「…よっぽど大切なネコなんだな…」
前回シンのダイブにより崩壊したゴミの山を片づけながらも、少女の涙に心奪われかけるボク
あ、シンさんも心打たれたのか、少女の頭をポンポンしてる…さすがに子供には優しいんだね
「おぃガキ。テメェ金は払えるんだろーな?」
アンタいたいけな少女になんちゅー事吐いてやがるんですか!
「し…シンさん!ここはタダで引き受けるのがセオリーでしょっ!」
こんな小さな子供に、シンさんが請求する破格の依頼料なんて払えるワケない!
てか8歳の少女が探偵事務所に来んのも無理矢理すぎだろ
「ホラよ、好きなだけ受け取れや」
えーーーーーーッ!なんだあのコ!今札束バラまいたよ!しゃべり方が『世の中カネさえあればなんでも出来る』ていう思考のイヤな金持ちみたいになってるーっ!
「ウシャシャ。すまねぇなアニキ」
拾ってるよバカ探偵!なんだウシャシャって
「じゃ、アタシお家帰るネ♪」
そう言い残し、少女は帰って行った
「うっし。捜索開始だトオル」
珍しくヤル気満々だ。そりゃぁあんだけ札束貰えばやる気も出るわ…
「…そのまえに」
?
なんだろ?準備は一通り終わったし…
「途中で『もひもひランデブー』買うっちゃ☆」
ラムちゃんのつもりか。☆とか…つのだ☆ひろのつもりか。
「それで?捜すネコってどんな感じなんです?」
事務所の階段を降りながら、今回の依頼について聞いておく
「あ?ぇーと………………………雑種?」
・・・・・
殺していいですか。
「まさか1時間も話してて…ネコの特徴とか聞かなかったんですかっ?」
「うむ」
うむ。じゃねーよボケ。この無能探偵が!
「…はぁぁ…」
ボクはトボトボと歩き出した。なんか途中のコンビニでアホな探偵が
「なんで『もひもひランデブー完全版』売り切らしとんじゃこのクソナイーブがぁぁぁっ!」
とかバイトの高校生に泣き叫んでいた事とか、慌てて止めようとした店長の髪が全て引きちぎられ、本物の髪の毛が瞬時にカツラと化した事などは見ませんでした。