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第8話 厄介な相手

「さて、と これで俺は王族ではなくなったな」


 つい先刻、キラーは国王である父に王位継承戦の辞退と共にユハネスの名前を返上した。

 これにより、ユハネス・キラーは王子ではなくなりキラーと言う個人のみが残った。


「キラー殿」

「お、来たか」


 王宮を出たキラーを追いかけ、元親衛隊の3名は王都エル・ドラドの最西端にあるシルビア子爵の所有する別荘へと来ていた。


 王都中心部にある王宮から離れた場所にあるここには、今現在第二王子ノインと婚約者であるエレナ・シルビアと親衛隊のみが出入りしている。

 キラーが王位継承権を破棄してから2時間。他の王子には既にその連絡が行き届いている。


「今、兄貴は俺が辞退したのを知って浮かれている そこをついて2人の身柄を確保するのが目的だ」

「お……私達の役目は親衛隊の足止めですね」

「そういう事だ」


 ノインとエレナの身柄を確保するうえで厄介となるのが親衛隊の存在。もしノインかエレナのどちらかを捕えたとしても、親衛隊がその気になれば片方は確実に逃げれる。


「キラー様」

「どうした」

「武力行使で捕えるのであれば、レオ様との取り引きは必要なかったのでは?」


 今、こうして突撃するのがこの4名ならばレオとの交渉の意味はなかった。イザベルはそう思った。

 だが、キラーの考えは別のところにあった。


「いや、必要だ 現に兄貴は俺が抜けたことで気を抜いている」

「なるほど、その為の取り引きだと」


 キラーの辞退連絡を聞いたノインは婚約者の別荘にて、気を抜いている。


「他にもある。あの交渉で第一王子の兄貴を敵に回さなくて済んだのと2人の身柄の確保を約束させた」


 キラーの取り引きの目的は3つ。ノインの気を抜くこと、レオを敵に回さない事、レオを味方につける事。


「ですが、レオ様が約束を守るとは限らないのでは?」

「守るさ なんせ、兄貴は嘘を嫌うからな」


 キラーの嘘に踊らされていた王子たちの中には当然レオも含まれている。

 笑ってはいたが、内心ではキラーの嘘にノインよりも怒っていたのだ。


(つかここで約束破られたら、さすがに死ぬ)


 レオの性格上嘘をつくことはないが、仮に嘘をついているのだとすればキラーに待ち受けるのは死。


(今回一番厄介なのは第二王子の兄貴じゃなくて、第一王子の兄貴だしな)


 キラーの読みでは今回最も手強いのはレオ、そこに属する親衛隊隊長オリバーだ。

 レオやノインも決して弱かったり手強くないわけではない。それでも、現役最強と言われるオリバーとレオが組んでいる以上、敵に回すのは厄介だ。


「それじゃあ、お前等 行くぞ」


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