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第7話 第一王子との取り引き

 翌日。王宮、第一王子の部屋。


「よく来たな、朕の宿敵にして弟よ!」

「相変わらずハイテンションだな、兄貴」

「ハハハハ!朕は王になる男だからな!」


 親衛隊を外に待機させ、中へ入るとレオは普段通りのテンションで迎えてくれる。

 王位継承戦の真っただ中だと言うのに敵を迎えてくれるのはレオくらいだろう。


「それで、なにしに来たんだ弟よ」

「取引に来た」


 キラーの目的は1つ、レオとの取引だ。


「取り引きか」

「要求は第二王子の兄貴と婚約者エレナ・シルビアの身柄だ」

「見返りはなんだ」

「第三王子ユハネス・キラーの名前の返上だ」

「っ!?」


 元々、キラーが王位継承戦に参加したのはキャロルの無罪を証明するためだ。その為には力が必要になる。

 その力を最速で手に入れて、強力なのは王位継承戦に参加する事。そして、その力を利用して目的を達成できるのであれば、王位継承権を捨てるのも手段の1つだ。


「正気か」

「大マジだ」


 キラーの話にレオは少し考え込んだ後、答えを出す。


「よかろう、その取り引き乗った!」

「…………」


 キラーの取り引きに親衛隊隊長は不信感を抱く。


「さて、これで第一王子の兄貴との戦闘は避けられたな」

「キラー様」


 部屋から出ると外で待機していた親衛隊の3人が近づいて来る。


「王位継承権を破棄すると言う話ですが」

「あれ、マ……本当ですか」

「マジだ、それに伴ってお前等3人に依頼したいことがある」

『?』


 キラーが外へ出てから数分後、第一王子親衛隊隊長であるオリバー・ウォードはレオに疑問を投げかける。


「よかったのか」

「何がだ?」

「第三王子キラーの話を信じて」

「ハッ!ハッ!ハッ!今は元王子だがな」


 レオの陽気な態度とは裏腹にオリバーはキラーに不信感を抱く。

 ただでさえ嘘1つで継承戦を生き残って来たキラーの話を信じろと言うのは難しい話だ。


「心配無用。朕の弟、キラーは気分屋で嘘つきだがバカではない」

「いや、バカだとは思うぞ」

「ハッ!ハッ!ハッ!そう思うのもよしとしよう それに、今回一番厄介なのがわざわざ味方になってくれたのだ。これで朕の王位は確実と言っていいであろう」

「どういうことだ?」


 自信満々のレオ、キラーの取引に応じたと言うだけでここまで驕るのは気が抜けているんじゃないか、オリバーはそう考えていた。


「オリバー、どうしてキラーが悪魔王子と呼ばれているか、知っているか」

「罪人のみに残虐な拷問をしているからだろ」


 キラーの趣味は拷問。罪人のみに絞った残虐な行いは国中で知られている。

 だが、悪魔王子と呼ばれたのは原因はそこではない。


「それだけなら、王族貴族に恐れられることはないとは思わないか」

「そりゃあ、まあ……そうだな」

「朕の弟、ノインとキラーは朕と並ぶ魔法の才をもっている」

「それは俺にも……ってことか?」

「そうだ、五魔星(ペンタグラム)最強の其方に並ぶほどの逸材だ」


 五魔星、それは王国最強の5名の事を指す。

 レオの親衛隊隊長であるオリバーは現役最強の肩書を有している。


「第二王子ノインはわかるが……キラーの魔法に関しては禍々しい魔力を持っている、これくらいしか知らねえぞ」

「概ねそれであっている キラーは齢7歳にして貴族の派閥を1つ潰している」


 それはキラーが7つの頃、王国内で幅を利かせていた貴族が差し向けた刺客を殺害し、その貴族を失脚させたことだ。


「それは確かにすごい話だが、魔法とは何も関係ないんじゃないか」

「ハッ!ハッ!ハッ!内容を知らないからそう言えるのだ オリバー、人間に宿る魔力はいくつだ」

「なんだ、急に」

「人間が有する魔力はいくつだと聞いている」

「そんなもの1つに決まってるだろ 人間に限らず魔族でも1つだ」


 生命が宿す魔力は種族問わず本来1つだ。


「朕の弟、キラーの有する魔力は2つだ」

「……は?」


 突然のぶっ飛んだ話に思わず声が漏れる。


「バカを言うな、どんな生物でも魔力を複数持つことはできない」

「そうだ、不可能だ だが、キラーは可能にした」

「……マジで言ってんのか」

「朕は愚弟とは違い、嘘はつかない」

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