第5話 第三王子親衛隊
「何でございましょう、第三王子キラー様」
屋敷の中へ通されたキラーとキャロルは薄暗い応接室で出された1つだけのお茶を飲みつつ、伯爵本人に取引を持ち掛けていた。
「俺からの要求は1つ 伯爵さんの家から俺の親衛隊を作ってほしい」
キラーの目的は他の王子同様に親衛隊を手に入れる事。
その為には貴族や冒険者と言った名声と実力のある者達の協力が不可欠だ。
「なぜ、わたくしめにそのような申し出をなされたのでしょうか」
「何故って、お互い嫌われ者だからだよ」
ノイン暗殺の濡れ衣を着せられたグラフト家は没落の一途をたどっている最中だ。
そこで、キラーが思いついたのは悪魔王子として王族貴族関係者から恐れられている自分と嫌われ者のグラフト家とで手を組むことだ。
「見返りは、そうだな…… 第二王子暗殺未遂事件、その冤罪を解いてやる事だな」
「!!」
その言葉を聞いた伯爵の顔色に生気が戻る。
「聞く気になったか」
「要件は何ですか!」
先程までとは打って変わり、話にくらいついてくる。
わかりやすくてありがたい。
「要件は一つ 俺の親衛隊を伯爵様のコネを使って3人ほど集めたい」
「わかりました!今すぐに!」
急いで部屋を飛び出して行く。騒がしい奴だ。
「貴方、本当に無罪を証明してくれるんでしょうね」
「ん? ああ、キャロルちゃんが俺に乗り換えてくれるならな」
「ちょっと!話が違うじゃない! ノイン様の気持ちを聞いてから考えるって……!」
「冗談だって、約束は守るよ」
キラーの提案は1度断られている。その為、キャロルの提案したノインの気持ちを聞いてからの答えにキラーは応じている。
「本当でしょうね……」
「嫌われ者の嘘つきとは言え、欲しいものがあるんだ そればかりは嘘をつけないな」
「お待たせしました!」
扉が開き、外から伯爵と3人の男女が入ってくる。
「今この屋敷にいる元冒険者の使用人の3名を集めたのですが、もう少しお時間をいただければ他にも……」
「いや、これでいい こっちも時間が無いんだ」
「承知いたしました それと、こちらを」
伯爵が差し出した財布には金貨がぎっしりと詰め込まれている。
「これは」
「依頼金です」
金が目的で来たわけではないのだが、貰えるものは貰っておこう。
「お父様!? お金なんて……貴方からも言ってください!お金が目的ではないと!」
「……成功報酬は別にあるんだろうな?」
「はい!」
「ちょっと!?」
依頼金と言うからには成功報酬が別にあるはずだ。
それほどまでに伯爵は必死になっているのだ。地位も名誉も失う、そんな訳にはいかないと躍起になっている。
「貴方、いったいなにを考えているんの……」
「それでは、何卒、何卒!わたくしめらの濡れ衣を……!!」
「わかってるよ おい、お前達右から順に名前を言っていけ」
「アレックスと申します。この屋敷で執事をやっております」
「ジェイクです。執事見習いをしています!」
「イザベルと言います。メイド見習いをおります」
「よーし、元冒険者としての腕を買って親衛隊である、お前たちに任務を与える」




