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第10話 新たな国王とスローライフ

 数日後。王都エル・ドラドでは新国王を祝うパレードが行われていた。


 新国王の名はユハネス・レオ。元第一王子である彼が王位継承戦を勝ち抜き新たな国王となった。

 継承戦後の派閥争いは苛烈を極めるかと思われていたが、ノイン派の中枢を担っていた貴族が親衛隊と共に寝返った事で争いは沈静化された。


 一方ノインの婚約者、エレナ・シルビアは別荘でのノイン暗殺の容疑を掛けられ裁判が開かれ、死刑が確定した。

 王族殺しの汚名とグラフト家への冤罪が世間に知れ渡った事でシルビア子爵家は没落の一途をたどっていた。


 そして……。


「いやー、グラフト伯爵領に住まわせてもらえるなんて運がついてるなー」

「貴方、初めからこれが狙いだったでしょ……」

「そんなことねえよ キャロルちゃんと一緒に住めたらなー、とは思ってたけど」


 キラーはノイン殺害後、レオの伝手で事件の真相とエレナに王族殺しの容疑を掛け、生き残った親衛隊には話を合わせる見返りに寝返らせることにした。


 そして、前金を使って元・親衛隊の3人を雇っていた事をグラフト伯爵に話し、成功報酬を受け取った後、グラフト領での移住の為に成功報酬を全て払って一軒家を建てた。


「それで、俺に乗り換える気にはなったか?」

「残念ですけど、わたくしの気持ちは変わりませんわ」

「そっか……」

「いちいち、その悲し気な顔をするのをやめてくださいまし」

「冗談だと思ってる?」

「ええ」

「失礼な、本心だよ」


 欲しかったものが手に入らなったとは言え、キャロルとの生活を手にしたキラー。

 王子としての地位や名誉も捨て、手に入れたのは1人暮らし、嫌キャロルも入れれば2人暮らし?での生活。


「まあ、何はともあれ 仕事をどうするかだな」


 移住先を見つけたはいいが、貯蓄と言う貯蓄がそんなにない。

 仕事を見つけなければ半年後には貯蓄が底を尽きる。


「あら、お父様から仕事を貰えばよろしいのに」

「あのなキャロルちゃん、俺は関わりたくないの」

「どうしてですの?」


 キラーと伯爵本人の関係は至って友好どころか伯爵からは返しきれない恩があるくらいだ。


「面倒だから」

「面倒って……それくらい我慢なさい」

「無理 それに、兄貴……もとい新国王に目つけられたりしたら、もっとめんどくさい事になる」


 キラーの実力はノイン殺害の一件でレオには知られている。

 ノインも決して弱くはない。むしろ強い部類だが、それを軽々と倒したキラーをレオが逃すはずはない。


「だから、俺はこうしてのーんびり過ごしつつ先の事を考えようかな」


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