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門ジィ(仮)から確定演出

そんなこんなで歩くこと小一時間。


木の合間から見えてきたのは、高い石壁とでっかい城門。いやー、ついに来ました文明の匂い。屋根が見えるだけで安心するあたり、人ってほんと単純。




──が、感動タイムは秒で終了。




「止まれ」




はい出ました、門番イベント。槍持った二人組。そのうち一人は年季の入ったじぃさん顔で、眉間にシワ寄せて俺を睨む。


なんか門ジィとか呼ばれてそうな爺さんですね大爆笑。




「黒髪……か」




おっと、ファーストコンタクトがそれ? いきなり色差別ワード投げつけてくるあたり、異世界らしさ全開。逆にテンプレで安心するけど、まあ俺にとっては笑えないやつですね。




「身分証は?」




「無いっす」




「金は?」




「無いっす」




「帰れ」




「え、なんで?」




はい、無一文。説明不要の詰みルート。でも帰らされても困るので抵抗を試みる。


すると門ジィ(仮)はそらそうだっつう渋い顔。





「そらおめぇ……黒髪で、身分も金もなしだからだろ」




ほら来た。第一村人にして初ボス。まだ街に足も踏み入れてないのに、異世界ライフが即閉ざされそうな件について。




俺が内心「これもうエンディングじゃね?」と突っ込んでた、その時――




「まあまあ、じぃさん。そんなに怖ぇ顔すんなって」




背後から声。振り返れば、皺くちゃ服に猫背気味のおっちゃん。見た目はくたびれてるのに、目だけは妙に優しい光してる。




「見りゃわかんだろ、この子。悪さするツラじゃねぇ。放っときゃ野垂れ死にだぞ」




門ジィ(仮)が低く唸る。




「……黒髪は危険だ」




「そりゃ分かってる。けどな、見捨てるのは寝覚めが悪ぃんだよ」




そう言って俺をちらっと見て、肩をすくめる。




「あーあ、また余計なこと言っちまった。これ絶対後で死にかけるパターンだな」




え、何そのセルフ死亡フラグ。死亡フラグ早くない?


まあ、もうバンジーなしスカイダイビングと竜遭遇でガッツリ立ちまくった後なんだけどさ。


てか、そのフラグ俺まで巻き込まれる未来が見えるんですけど。


しゃーないからその時はまたこのお得意の魔法(笑)でバッキバキに折り尽くしてやんよ!やってやんよマジ卍。


……あ、これ自爆フラグじゃんね。やっぱやめとこう。




なんて考えていたら、門ジィ(仮)はしばし沈黙ののち、深いため息を吐いた。




「……副長。あんたが言うなら今回は通す。ただしギルドに直行だ。責任はもてよな」




「へいへい、感謝するよ。門ジィ」




そう呼ばれた門ジィ(仮?)は顰め面のまま早く行けと言わんばかりに左手を小さく振った。


え、嘘まさかの渾名完全一致?奇跡過ぎん?ドッキリとかじゃないよね?






おっちゃんは門ジィ(確定)に軽く手を振って、俺を見た。




「さ、行こうぜ坊主。腹減ってんだろ?」




俺は衝撃の余り門ジィを何度も振り返りながらおっちゃんに着いて歩く。




なんか最後に別のインパクトを受けちゃったけど、何とか助かったみたいです。


黒髪とかいう謎の差別ワードと文無し身分なしのないない尽くしで完全に詰んでた俺に差し伸べられた手。


それがこの副長おっちゃんだった。




「あざっす」




頭を下げた俺に、おっちゃんは「気にすんな」と笑って前を歩く。




──この人こそ、後に「死にかけ芸」で仲間を笑わせつつ、ギルドをまとめ上げる副長のおっちゃん。


彼との出会いから、この俺の異世界生活はようやくちゃんとした幕を上げたのだった。

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