私、気になります
その後、副長のおっちゃんが落ち着いた所を見計らって、質問たーいむ。
実は地味に気になっていたことがあったでござる。
私、気になります。ってね。
「んでさ。話は戻るんだけど」
「ん?」
そんな前置きを置くと、副長のおっちゃんが聞きの体勢。
解説役続投です。
「魔王が黒髪だったってのは分かったんだけど、魔法が使えるって、なに?」
そう、副長のおっちゃんは、魔王の共通点として、“黒髪で魔法が使える”ことと言った訳なのだが。
これ、ちょーっと、言い方が意味深すぎやせんこと?
だって、“強力な”とか、“特殊な”とかでもなく、ただ一言“使える”こと。な訳ですからしかし。
まるで使えないのが前提みたいな言い回しよね。
どーいうことなんでっしゃろ。
そう思って質問してみると、三者共納得の表情をしたでござる。
え、なんぞ。
「まあ、お前さんはなぁ……」
最初に口を開いたのはギルド長。
俺がどうしたの。なんでそこで言葉を途切るのさ。最後まで言いなさいよ。
「……その様子だと、自分以外の黒髪にあったこともないのね?」
「え、おん」
続いて、セリナが謎の質問。
確かにこの世界に来てから黒髪って見てないね。まだ2日目だからそんなもんではないのかと思ってたけど、そういう訳じゃなさそう。
と、考える、赤茶と黄緑と水色の髪の毛に囲まれる俺。
いやぁ、この世界ってアニメよろしく髪の毛の色が十人十色な訳よ。髪の毛の色だけで個人が分かるレベル。複数人並んでると、中々面白い光景なんすよね。
これ、地味に異世界転生したんだなって実感したポイントだね。
だもんで、髪色の差別があるって言われても、大して違和感なかった訳。
「まあ、仕方ない。黒髪と白髪は珍しいからな」
妙に感心していると、ギルド長が首を掻きながら言う。
え、マジ?カルチャーショックなんですけど。
地球だと黒髪ってむしろデフォだっつうのに。
「そんなに珍しいのん?」
「そりゃあ、この街でもツバサ含めて三人しか居ない程度には」
「ほぁ〜」
「何驚いてんだ?今まで生きてきて、黒髪に会ったことなかったんなら、分かるだろ?」
その希少性の高さに驚いていると、副長のおっちゃんが呆れ顔。
仕方ないやん。こちとらこの世界に来て2日目だと何度。
「拙者、分からぬことは、分からぬ」
「そらそうだろうけどよ。……うん、文化圏の違いのせいか?この噛み合わなさは」
「文化の違いとはまた違う気がしますけど……」
「そらそうよ。文化っつうか、世界から違うんだからさ」
「だからふざけないの。もう……」
溜め息を吐かれてしもた。解せぬ。本当のことしか言ってないのに。
しかし、そんな信じられないかね?異世界出身。
魔法があるなら、異世界転生みたいなことは全然あってもおかしくないイメージだったけど。まあ、この反応だとないのか。
そういえば課長神も因果律がどうとか、特例がどうとか言ってたし、俺のケースが特別なのじゃろう。
と、納得。
納得出来た所で、話が逸れてしもたので、戻そう。
「んで、黒髪が珍しいと、なんなん?」
「ん、ああ……」
俺が問い掛けると、腕を組んで考え事をしていた副長のおっちゃんが反応して、ギルド長とセリナの顔を確認する。
2人が頷くと、副長のおっちゃんは咳払いをしてから再度話し始める。
「それに関しちゃ、ただ納得したってだけだ。ツバサは魔法が使えるみたいだからな。他の黒髪に会ったことがないなら、知らないのも無理はない」
「何をですかい。副長」
と、聞きつつ、大凡何を言われるのか、私分かります。
でもお話を聞くのです。様式美だね。
という訳で、副長のおっちゃんの次の言葉を待つ。
「黒髪のやつは、基本、魔法が使えないんだ」
「わぉ」
「反応が軽すぎない?」
「おん。何となく何言われるか分かってしまったもんで」
完全にそういう流れだったし。何となく予想出来た訳で。
そう言うと、セリナはちょっと不満そうな顔をしていた。驚けなくてすまんね。
……にしても、黒髪は魔法が使えない。か。
何でだろ?
気になるなぁ……。




