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辺境ギルドで雑用から始める規格外——尚、魔王の器らしい  作者: ぽん
クラン結成編ーーフラグ建築士、仲間巻き込み仕様
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怖いなぁ怖いなぁって思ってるんですよぉ



「だからこいつは違うっつったろ。阿呆」



「うごっ!」



副長のおっちゃんが雷おじさんみたいな拳骨を喰らった!

すげぇ音したんだけど生きてるかなぁ?

蹲るおっちゃんの口元に耳を近づけてみる。



「いてぇ……これ死ぬ……」



と呟いていた。

副長のおっちゃん、無事死亡確認!

やつは良い奴だったよ……。おっちゃんの死は無駄にしないぜ!



「いや違え……俺は死んでねえ……」



「お、元気じゃん。おっちゃんないすぅ」



頭蓋骨陥没するんじゃないかって音してたけど、案外平気だったらしい。

丈夫だなぁ。

と、悶える副長のおっちゃんを眺めていると、セリナが心配そうに近付いていた。



「副長……あの、回復魔法掛けますか?」



「いや……大丈夫だ」



おずおずと提案したセリナに大丈夫だと告げて、でも頭は押さえながら副長のおっちゃんは上体を起こし、ギルド長を睨む。

対するギルド長は睨まれていることなど気にも留めず、腕を組みながら涼しげな表情だった。

え、そんなカラッとしていられることある?暴力を振るうことに対して躊躇とかないんか?



「あのですねぇ……ギルド長。俺だって分かってますからね。コイツが魔王の器じゃねえことくらい」



「ぬ?そうか?」



「じゃなかったら、2日目の新人に昇格試験なんか、受けさせようとしませんよ……」



副長のおっちゃんの発言に、俺はおや、と片眉を上げる。

意外にも、状況証拠だけ見た所怪しさ満点の俺なのだが、それでも中々に信頼されてるらしい。何でかは分からないけど。

そう考えていると、セリナが袖を引っ張って来たので、そちらを向く。

なんか真剣な顔をしてた。なんぞ。

かと思ったら、口を開きかけて止めたり、躊躇したと思ったら意を決した顔で話始める。え、ほんとになんぞ?そんな話し辛いことなん?



「私も、そんなことはないって思ってたわよ」



「おん?」



そうして言われたことは、またもや意外なお言葉。

なに……この、なに?

急な信頼ラッシュにどんな反応をすればいいか、分からないの。

笑えばいいと思う?ははっ。

俺はヒロインじゃないからねぇ。



「え、なんで?」



そうして戸惑った結果。なんの遠慮も配慮もない質問を返してしまいましたとさ。

セリナはそっぽを向きながら質問に答える。



「……昨日のあなたの行動を見ていたら、悪人ではないと分かります。そ、それだけです」



「うむ?」



何やら、それだけではなさそうな雰囲気。

気になるが……まあ、追求はしないでおこう。なんか聞かれたくなさそうだし。



「そうだな。悪さをする面構えじゃない。言動にも裏は無さそうだし。それに何より、お前さんは、ずっと楽しそうにしてる。そういう奴は、不思議と悪いやつじゃないと俺は思うぜ」



そうこう考えていると、副長のおっちゃんが肩を組んで来た。

めっちゃ気安いじゃん。別に悪い気はしないけど。


しかしね、それとは別に俺は心配が勝るというかね。

ええのんか、君らはそれで。

気になったので聞いてみることにする。



「こっちとしてはありがたいことだけど。そんな簡単に信用していいもん?言ったらなんだけど、俺、めっちゃ怪しくね?」



そうまとめて三人に質問すると、ギルド長は豪快に笑いながら。副長のおっちゃんはニヒルに笑いながら。セリナは苦笑いをしながら。

そう答えた。



その質問が答えだ。と。



……まあ、そうかもしれぬ。

確かに、魔王になるつもりも、予定もないから、まあ、多分間違ったことを言われている訳ではないんだろうけど。



実績もなしに評価をされる経験があまりないもんで、不思議な感覚だ。

まあ、悪い気分ではないので、良いか。

と、言うことにしておく。



「まあ、仮に悪人だったとしたら、ギルド長より強い時点で俺らは終わりなんだけどな……」



「え」



ボソッと副長のおっちゃんが俺の耳元で呟いた。

凄え不穏なこと言うじゃん。さっきまでの良さ気な雰囲気がないなったぞ。

流石の翼さんもこれには驚きを隠せない。

驚きのまま副長のおっちゃんの顔を見ると、急に別人になったのかと思う位正気の抜けた顔付きになっててビビる。

え、幽霊?怪異の具体だった?


そのまま、幽霊副長は半笑いを浮かべ、ねっとりした口調で話し始めた。これから怪談が始まるのかな?



「なぁ……ツバサァ……聞いてくれよ」



「何を?」



「ノクティナル草の件さぁ……昨日報告したら今朝返事が返って来てたんだよ。あの馬鹿みたいに腰の重い中央教会から!もう!」



話が進むにつれて、段々とヒートアップしてくる副長のおっちゃん。

後半とか吐血でもしそうな勢いなんだけどワロエナイ。



「おぐぅ!」



そんな様子にドン引きしていると、副長のおっちゃんは腹を押さえて蹲り始める。


いや情緒。

怖いって。


数秒後、副長のおっちゃんは俺の腰辺りを掴みながら、また半笑いで話し始めた。



「へへへ……ツバサよぉ……お前は悪い奴じゃないよな?俺の胃をこれ以上穴だらけにしないよな?」



「フェリグラス草の採取してこよか?」



「100本……いや、これからお前が魔王の器の疑いを中央連中に抱かれないように情報操作もするから、200本取ってくれ……」



「おん……」



その言葉を最後に、副長のおっちゃんはゆっくりと頽れた。


……いやぁ、今年一番の怖い話でしたね!


流石に悪いと思いました。まる。


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