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辺境ギルドで雑用から始める規格外——尚、魔王の器らしい  作者: ぽん
クラン結成編ーーフラグ建築士、仲間巻き込み仕様
15/23

胃袋にダブルアタック!


ギルド内にまだざわめきが残っている中、セリナが、ふと思い出した様子で、慌て始めた。


そういえば、まだ外縁周辺のレッサードラゴンの報告はしてないね。

うん。大問題だから、副長のおっちゃんにも聞いてもらわないとね。

ただでさえノクティナル草の事で胃に大ダメージを受けてるのに、ここで更なる追撃が来るだなんて……副長可哀想笑。


倒れないといいな笑。




同じ可能性に考え至ったであろうセリナが、冷や汗をかきながら此方を見る。

純粋に副長のおっちゃんのことを心配してるようだ。



「あの……報告、しなくちゃ、ですよ……ね?」


「おん。報告しない方が副長のおっちゃんの胃に与えるダメージデカいと思うよ」


セリナはガックリと肩を落としながら「ですよね…」と呟いた。

何やら気が重そうだから、俺が報告したろう。

いまだにワタワタしてるミリアに声を掛ける。


「おーい、ミリアさんや」


「あ、はい!何でしょう?」


「もう一回副長のおっちゃん呼んで」


「え…?」


「ついでに、胃薬と強心剤も用意してちょ」


「……ま、まだ何かあるんですね?かしこまりました……」


頬をひくつかせながら、ミリアは奥へ歩いて行く。

少しして、青い顔をした副長のおっちゃんを連れて戻って来た。


ちゃんと胃薬らしき小瓶を片手に持ちながら。


「……まだ、報告があるって?」


戻ってきた副長のおっちゃんは、もう既に片手で胃を押さえている。

いや、その姿勢がデフォルトなんか?ってレベルで定着してきてて笑う。

ギルド長も興味深そうに腕を組みながら聞きいる体勢。

再度集まった面子を見て、セリナがすっと一歩前に出た。


「私から報告します。……ツバサさんが森の外縁付近で、レッサードラゴンの痕跡を発見しました」


「…………は?」



短い沈黙。

次の瞬間、ミリアが真っ青な顔をして口元を押さえた。

ギルド長も、ニヤついた笑みを消して眉を顰める。


「……レッサードラゴンが、外縁に、だと?」


その言葉と同時に、副長のおっちゃんが「ごふっ」と咳き込み――吐血した。

副長のおっちゃんの胃袋にクリティカルダメージ。流石に吐血まで行くと笑えない。

隣でセリナとミリアが慌てて回復魔法を掛け始める。

副長のおっちゃんは膝から崩れ落ちながら「ツバサに……殺される」と呟いていた。

いや責任転嫁やめて?俺のせいじゃないっすよ?



ギルド内が、またぞろ騒がしくなる。

そんな中で、ギルド長がすっと俺の横に並んで来た。なんぞ?



「その話が本当なら、本格的に奴を討伐する必要が出て来るな」


「おん。街に被害が出るもんね」


「おう、その通りだ。まだ街に被害が出る前に分かって良かったぜ。報告感謝する」


ギルド長はそう言うと、ばすんと俺の肩を叩いた。本人的には軽くのつもりなんだろうけど、思わず「おっふ」って変な声が出たぞ。ギルド長、力強すぎ。


「にしても、坊主。……ノクティナル草にしろ、レッサードラゴンの痕跡にしろ、偶然見つけるにしちゃ出来過ぎてる。……どうやって見つけた?」


「ん? そら探知魔法でちょちょいと」


「……探知魔法、だと?」


「え、うん。探知魔法」


碧眼を細めて俺を見据えるギルド長。

……あれ、なんか視線がめっちゃ真剣になってない?その遂に見つけたぜとでも言いたげな表情止めて?

さっきまで爆笑してた豪快なおっちゃんとは別人みたいだぞ。どした?


「ほう……探知魔法か。成る程な」


口元がわずかに吊り上がる。

そして、ボソリと何かを呟いた。


「――この坊主、やはり……」




「ん? どしたんギルド長?」


「……いや、なんでもねぇさ!」


豪快に笑うギルド長。絶対なんか企んでる笑い方じゃんそれ。怪しさ満点です。そんで、背中をバシバシ叩くのは止めて下さい痛いです。




さて、そんなギルド長の意味深な態度に惑わされつつ、その後も、ノクティナル草の換金騒ぎは続いた。

鑑定額は最高額となる金貨一枚と鑑定され、副長のおっちゃんは胃を抱えて再度崩れ落ち、ミリアが大袈裟に驚き、ギルド長は爆笑。

この三人のリアクション芸だけで一つの芝居が成立しそうな勢い。これもうお家芸だろ。




……んで、換金が済んで財布が膨れた俺は、胸を張ってこう思う。








――さて、甘味処行くか。




今日はもうそれなりに脳を働かせた。糖分が不足している。エマージェンシー。

直ぐに向かうぞ、さあ行かん。約束された勝利の地へ。甘味isぷぅあーふぇくつ。



後ろでセリナとミリアが「え……今この空気の中で行くんですか……?」と顔を引きつらせていたが、気にしない。




はっはっは。二人共教育(洗脳)の余地ありだね。うむ、良き。


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