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フラグ建築士、出陣

「おっ、報酬高いやつあるじゃん。これにしようかな?」




ギルドの受付前で渡された依頼書を眺めながら、俺は声を漏らす。


内容は――ミルデンの森での薬草採取となっていた。


報酬は他の雑用依頼より頭ひとつ抜けて高い。そら新人としては飛び付く案件ですな。


まあ、報酬が高い理由が気にならなくもない。採取するのがとても面倒な薬草なのかな?とは言えFランクの依頼になる程度だから、危険はないだろうけど、確認してみようかな。


と、考えていた所……。




「え、ちょっと待ってください!」




慌てたような声でミリアに静止された。


栗色の髪を揺らしながら、眉をひそめて俺を見てくる。


え、何ぞ?




「ミルデンの森は、今は危険なんです」




「ん? 危険?」




「はい。数週間前からレッサードラゴンの目撃情報があって……討伐隊を派遣したんですけど、まだ完全には片付いていないんです」




……ほう、レッサードラゴン。


名前から察するに、ドラゴンよな?


もしやさっきの卍丸がそうだったりする?それともさっきのやつより強いドラゴンがいるのかな?


……うむ、まあ、アレより強いのが居た所で、問題は無さそうな気はするな。


だって卍丸は俺が何もしなくても自爆しちゃったし、仮に別個体だったとしても数週間経って卍丸がそのレッサードラゴンに倒されてないって所を考えると、俺が勝てない程強いってことも早々ないだろうし。


最悪やばそうなら撤退すればいい訳だもんね。そのレッサードラゴンとやらは今受けようとしてる依頼とは直接関係なさそうだし。




「え、そーなん?……んー……ま、いけるっしょ」





以上の事を加味してそう答えると、ミリアは目を丸くして口をパクパク。


完全に「何言ってんのこの人」って顔だ。




「えと……レッサードラゴンの討伐には、最低でもCランクは必要な高難度の魔物なんですけど……」




「え、戦わなければ良くね?」




「いや、レッサードラゴンの出現でミルデンの森は今魔物が活発化していてですね……」




「マジ?じゃあ気を付けて行くわ」




アドバイスサンキュー位の軽いノリで頷くと、ミリアは困った様子で、ちらりと横を向いた。


視線の先には、副長のおっちゃん――ブライド。


彼は一つため息を吐いてから口を開く。




「……流石に初依頼のやつを一人で行かせられる状況じゃねぇな」




副長のおっちゃんは腕を組み、少しの間考え込む。


俺は「えー? ダメなん?」と残念がって見せたけど、内心は「まぁ確かにそりゃそうか」って気分。




「いや……森の奥まで行かないなら、一人は無理だが……誰か一人同行させるなら、今回は受けてもいいだろう




「おっ、本当? じゃあ誰か頼めるん?」




「うむ……確か今日はアイツが来てたな」




おっちゃんがきょろりと周囲を見回し、軽く手を上げる。




「セリナ!」




扉の奥から現れたのは、年の頃は俺とそう変わらない少女だった。受付の近くで書類整理をしていたようだが、直ぐにこちらへ向かって歩いて来た。


陽光を受けてきらめく 淡い青の髪 が、肩口でさらりと揺れる。


澄んだ碧眼はまっすぐで、どこか人を見透かすような強さと優しさを併せ持っている。


冒険者としての経験はまだ浅いはずなのに、その立ち姿には妙な落ち着きがあるように見えた。




「なんですか、副長」




「こいつの初依頼に付き合ってやってくれないか?ミルデンの森の採取だ」




「ミルデンの森に行くのは危険じゃないですか?彼、さっき冒険者登録したばかりでしょう?」




副長のおっちゃんに対して、セリナと呼ばれた少女は顔を顰めてこちらを見る。


その視線は心なしか俺の顔より上……頭上を見ている様子。


お、また黒髪か?この世界は直ぐに黒髪がどうとか言い出しやがるね。そんなに不吉なの?今度時間があったら調べてみようかな?




「ああ、確かに一人で向かうのは危険だろう。でもな、君なら回復魔法が使えるし、冷静さも判断力もEランクの中では頭一つ抜けてる。危険な状況になれば迷わず撤退出来るだろ?新人の護衛としては、セリナが最適だ。引き受けちゃくれないか?」




「はぁ……ええ、確かにその通りですけど……」




露骨にめんどくさそうなため息。だが彼女はすぐに表情を引き締めた。




「まあ、新人一人だと危ないですしね。仕方ありません」




渋々ながらも了承。直ぐに副長のおっちゃんが特別報酬を出すみたいな話をしていた。


ちょっと考え事している間に、初依頼の同行者が決定してたっぴ。


つー訳で、挨拶っぴ。


挨拶は大事だって前世の学校で散々習ったっぴ。




「よっしゃ。俺、高瀬翼。セリナさんよろぴく」




「……軽いですねあなた。私はセレナです。よろしくお願いしますね」




冷めた目で見られた。


まあ知ってる。俺今世だと第一印象最悪の部類らしいからね仕方ない。


とは言え、さすがは副長のおっちゃんが選んだ人なだけあって、黒髪に対する忌避感はそこまでではなさそうな雰囲気だ。




「報酬は二人で割る形になりますけど、それでも良いんですか?」




「うーん……まあしゃーないか……」




報酬が高めだから、割られてもまだ他の依頼よりは多い。


なら別に問題ない。


こうして俺の冒険者初依頼は――ミルデンの森での薬草採取に決まった。


同行者は青髪の少女セリナ。




さーて……気軽に考えてはいるけど、果たしてこの初依頼は、普通の採取依頼として終われるかな?


以上、フラグ建築士高瀬翼の提供でお送り致します。


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