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第10話:二人の転生者と王国を揺るがす陰謀

(王都に戻ってきたのに、なぜか落ち着かない気持ちがする…)


王都の朝は活気に満ちていた。市場の喧騒、行き交う人々、日常の風景の中で、レイナはなぜか心の奥に不思議な胸騒ぎを感じていた。


真実の天秤本部での朝会が終わり、次の任務の指示を待っていると、急ぎの伝言が届いた。


「レオナルド様からの緊急招集です」


事務官が告げる。


「すぐに会議室へ」


真実の天秤本部、中央会議室


「来てくれてありがとう、レイナ」


レオナルド・グレイの表情は普段よりも厳しかった。会議室には他の調査員も集まっており、緊迫した雰囲気が漂っていた。


「どうしたのですか?」


「王国中央銀行で、貴重な品が盗まれた」


レオナルドが大きな地図を広げる。王都中心部の銀行の位置が赤く印されていた。


「盗まれたのは、**『賢者の石』**と呼ばれる魔法の宝石だ」


「賢者の石?」


「様々な魔法を増幅させる伝説の石。王国最高レベルの宝物庫に保管されていた」


エヴァが補足する。


「防御魔法、監視魔法、罠魔法…あらゆる防衛体制を突破されたのよ」


「犯人の手がかりは?」


「それが最も不思議なところだ」セバスチャンが資料を示す。「監視魔法の記録によると、犯人は『透明人間』のようだった」


「透明に?魔法で姿を消したということですか?」


「銀行内は透明化魔法を無効化する結界が張られている」レオナルドが首を振る。「しかも、防御魔法を解除した形跡がない。まるで魔法が最初からそこになかったかのように」


(魔法の結界を無効化…それは普通の魔導士にはできないはず)


「なぜ私を?」


「犯行現場に、これが残されていた」


レオナルドが小さな封筒を差し出す。封筒にはレイナの名前が書かれていた。


「私宛に?」


手紙を開くと、簡潔なメッセージが記されていた。


『親愛なるレイナ・サクラへ。あなたと同じ境遇の者より。王都中央広場、本日正午に。── S.K.』


(同じ境遇…まさか!)


「転生者?」


レイナが思わず口にする。


「それが最も考えられる線だ」レオナルドが深刻な面持ちで言う。「前世の記憶を持ち、この世界の魔法の盲点を知っている存在」


「罠かもしれないわね」エヴァが警告する。「盗賊を追っている調査員を誘い出して排除しようとする手かも」


「それでも、会う価値はあります」


レイナは決意を固める。


「もし本当に転生者なら、重要な情報を得られるかもしれない」


「危険すぎる」セバスチャンが反対する。「少なくとも私も同行させてほしい」


「待機していてください」レイナが首を振る。「相手は一対一を望んでいるはず。警戒されると真実が得られません」


「しかし…」


「大丈夫です。周囲に配置してもらえれば」


レオナルドが思案した末、頷いた。


「わかった。だが、細心の注意を」


王都中央広場、正午


広場は日中の活気に満ちていた。商人たちの呼び声、噴水で遊ぶ子供たち、行き交う人々。


レイナは噴水の側のベンチに腰掛け、周囲を観察していた。真実の天秤の仲間たちは市民を装って広場各所に配置されている。


鐘楼の鐘が正午を告げると、レイナの隣に一人の男性が静かに座った。


「美しい天気ですね、レイナさん」


二十代後半と思われる男性。整った顔立ちと落ち着いた物腰が印象的だった。黒髪に青い瞳、高貴な雰囲気を漂わせている。


「あなたが『S.K.』?」


「シンジ・カイトです」


男性が微笑む。


「あなたと同じく、前世の記憶を持つ者として」


(やはり転生者!)


「賢者の石を盗んだのはあなた?」


「ええ」シンジが平然と認める。「お会いするためには、少々派手な手段が必要でした」


「なぜ?普通に接触することもできたはず」


「真実の天秤に所属するあなたに、簡単に近づけると思いますか?」


シンジの言葉には一理あった。


「盗んだ石は?」


「安全な場所に」シンジが穏やかに答える。「心配しないでください。悪用するつもりはありません」


「じゃあなぜ?」


「あなたに会うためです。そして…警告するために」


シンジの表情が真剣になる。


「レイナさん、この王国に大きな危機が迫っています」


「危機?」


「この世界には、私たちのように転生した者が他にもいます。しかし、全員が良心的とは限らない」


シンジが声を潜める。


「**『新世界創造計画』**と呼ばれる計画を進める集団がいる。彼らは前世の知識を使って、この世界の支配構造を根本から変えようとしています」


「具体的には?」


「魔法と科学の融合技術を開発し、一般人が手出しできない強大な力を得ようとしている。すでに王国内の要職に仲間を送り込み、準備を進めている」


レイナの背筋に寒気が走る。


「証拠は?」


「これを」


シンジが小さな水晶を差し出す。


「この中に情報が記録されています。信じるか信じないかはあなた次第ですが」


レイナが水晶を受け取ろうとした瞬間、シンジの表情が変わる。


「伏せろ!」


彼が叫ぶと同時に、レイナの頭上を何かが掠めた。鋭い音とともに、噴水の石が砕け散る。


「魔法矢!」


シンジがレイナを庇うように立ち上がる。


「見つかった!行くぞ!」


彼がレイナの手を掴み、人混みの中へと駆け込む。


「待って!仲間がいるから!」


「彼らの手先かもしれない!誰も信用するな!」


混乱の中、レイナはシンジに引っ張られるまま、広場から路地へと逃げ込んだ。


「誰が撃ってきたの?」


「新世界創造計画の刺客だ。私を監視していたんだろう」


「でも、どうして私まで?」


「あなたも彼らのターゲットだ。転生者として、そして真相に近づきすぎている調査員として」


狭い路地を抜け、二人は人目につかない小さな中庭にたどり着いた。


「ここなら一時的に安全だ」


シンジが周囲を確認する。


「あなたはどんな人だったの?前世では」


レイナが問いかける。


「日本の大学教授だった。歴史学と文化人類学が専門だ」


「私は法医学者だった」


「知っている」シンジがにっこりと笑う。「あなたの評判は転生者コミュニティでも高いよ」


「コミュニティ?他にもいるの?」


「少なくとも十数名は確認している。大半は一般人として生きているが、中には力を悪用する者も」


シンジが再び水晶を差し出す。


「これを見て、考えてほしい。そして…」


彼の言葉が途中で切れた。背後から迫る気配を感じ、二人が振り返る。


「そこにいたか!」


黒装束の人物が三名、路地の入り口を塞いでいた。


「くっ、見つかったか」


シンジが身構える。彼の手から青い光が放たれる。


「魔法が使えるの?」


レイナが驚く。


「前世の知識と、この世界での修行の成果さ」


黒装束の一人が手を掲げると、強烈な光弾が放たれた。シンジはそれを青い光の盾で受け止める。


「レイナ!水晶を持って逃げろ!」


「でも、あなたは!」


「大丈夫だ!水晶さえ安全なら…この情報が全てだ!」


レイナは迷った末、決断する。


「わかった!でも、また会いましょう!」


「王都東門の『月の宿』で、三日後の夕刻に!」


シンジの言葉を最後に、レイナは反対側の路地へと駆け出した。


真実の天秤本部、緊急会議


「無事で良かった」


セバスチャンが安堵の表情を見せる。


「すまない、広場で見失ってしまって」


「大丈夫です。相手の警戒心を考えれば仕方ないことでした」


レイナは水晶を会議のテーブルに置いた。


「これが、シンジ・カイトから受け取ったもの。『新世界創造計画』に関する情報が入っているそうです」


レオナルドが水晶を手に取り、魔法で内容を映し出す。


映像には地図、人物リスト、計画の概要が次々と表示された。


「これは…」


エヴァが息を呑む。


「王国内に配置された転生者たちのネットワーク。中央から地方まで、要所要所に配置されている」


「そして、最終目標は…」


レオナルドの表情が凍りつく。


「王国の転覆と、魔法科学統合国家の創設か」


「前世の科学技術と現世の魔法を融合させ、新たな支配体制を作るつもりなのね」


エヴァが映像を分析する。


「気になるのは、この『X-day』というキーワード。何らかの決行日を示しているようだけど…」


「日付は書かれていない」セバスチャンが指摘する。「だが、準備段階はかなり進んでいるようだ」


「シンジ・カイトという人物は信頼できるのでしょうか?」


レオナルドの問いにレイナが考え込む。


「確証はありませんが…彼の目には真実の光があった。警告は本物だと思います」


「だとしても、我々は慎重に動くべきだ」


レオナルドが決断する。


「まず、この情報の裏付けを取ろう。そして、シンジ・カイトについても詳しく調査する」


「三日後に再会の約束があります」


「会ってもいい。だが、今度は万全の準備をして」


翌日、王都図書館


レイナは転生者に関する手がかりを求めて、歴史書や伝説を調べていた。


「何か見つかりましたか?」


セバスチャンが静かに声をかける。


「いくつか興味深い記述が」


レイナが古い書物を示す。


「『異界からの訪問者』と呼ばれる人々の記録。過去にも、突然現れて並外れた知識や技術を示した人物がいたようです」


「転生者の可能性があるわけだ」


「ええ。特に三百年前、技術革新が急速に進んだ時期があります。錬金術、建築、医学…様々な分野で飛躍的な発展があった」


「アリシアの時代だな」


「そう。前々世のアリシア・ヴェルディも、その時代の人物です」


レイナがページをめくる。


「そして、百年前にも同様の技術革新の波があった。魔導蒸気機関、高度な魔法理論、新薬の開発など」


「転生の波が周期的に起こるのかもしれないね」


「そして今…第三の波が来ているのかもしれません」


レイナが思案する。


「シンジの話によれば、今回は組織的な動きがある。過去の転生者たちは個別に活動していたようですが…」


「組織化されたら、その影響力は計り知れない」


セバスチャンの表情が曇る。


「王国の根幹を揺るがす力になりうる」


そのとき、図書館の入り口から騒がしい声が聞こえてきた。


「なんですか?」


中庭に出てみると、人々が空を指さして騒いでいた。


「あれを見て!」


王宮の上空に、巨大な魔法の文字が浮かんでいた。


『目覚めよ、人々よ。古い世界の終わりと新世界の始まりが近い。X-day』


「『新世界創造計画』の宣言…?」


レイナの胸に不吉な予感が広がる。


王宮、緊急招集


国王アーサー四世は、王国の要人を緊急招集していた。その中に、真実の天秤のメンバーも含まれていた。


「この状況をどう説明するのか」


国王が厳しい表情で尋ねる。


「陛下」レオナルドが一歩前に出る。「我々は『新世界創造計画』と呼ばれる集団の存在を把握しております」


「その集団の正体は?」


「前世の記憶を持つ転生者たちで構成された組織と考えられます」


国王と側近たちの間でざわめきが起こる。


「転生者?荒唐無稽な」


王室顧問の一人が反論する。


「証拠はあるのか?」


「はい」


レイナが前に出て、シンジから受け取った水晶の内容を説明した。


「この情報によれば、王国内の要所に転生者たちが潜入しており、王国転覆を企てています」


王室魔導士のガンダルフ・ウィズダムが口を開く。


「確かに、最近の魔法技術の急速な発展には不自然さがあった。知識の源が異世界にあるならば説明がつく」


「しかし、そのような危険人物がどうやって王国の要職に?」


「前世の知識を活かした能力の高さで、実力者として認められたのでしょう」


レイナが続ける。


「彼らは科学と魔法を融合させた新たな技術で、この世界の支配構造を変えようとしています」


「では、空に現れた文字は?」


「宣戦布告のようなものでしょう。『X-day』とは、計画実行の日を示しています」


国王が沈思する。


「行動を起こすべきだ。容疑者を特定せよ」


「陛下」レイナが進言する。「まず、シンジ・カイトという人物から詳しい情報を得るべきです。彼は内部告発者と思われます」


「会見の予定は?」


「明後日、王都東門の『月の宿』にて」


「よし、万全の準備を整えよ」


国王が命じる。


「そして…」


国王の言葉が途中で遮られた。突然、宮殿全体が揺れ、轟音が響き渡る。


「何事だ!?」


側近が駆け込んでくる。


「陛下!西の門が爆発しました!侵入者があります!」


「総員、警戒態勢に!」


混乱の中、レイナはセバスチャンと視線を交わした。


(X-dayは今日だったの…?)


王都西門、混乱の現場


レイナたちが西門に駆けつけると、信じられない光景が広がっていた。


巨大な鋼鉄の乗り物が、城壁を破壊して侵入していた。それは前世の戦車のような形状だが、推進力は明らかに魔法のエネルギーだった。


「魔法蒸気戦車…!」


エヴァが驚愕の声を上げる。


「魔法と科学の融合技術だわ」


戦車から降り立った黒装束の集団が、組織的に王宮方向へと進軍していく。


「彼らの目的は国王の暗殺か!」


セバスチャンが警告する。


「宮殿へ戻らなければ!」


しかし、街中は既に混乱に陥っていた。黒装束の戦士たちが各所で破壊活動を行い、市民たちはパニックになっている。


「奴らの目的は混乱を引き起こすことかもしれない」


レイナが状況を分析する。


「街の要所を制圧し、王国の機能を麻痺させようとしてる!」


「分かれて対処しよう」


レオナルドが指示を出す。


「エヴァとセバスチャンは宮殿の守りを固める。レイナは私と共に、市民の避難誘導を」


チームが分かれようとした時、レイナの目に見覚えのある姿が映った。


「シンジ!?」


混乱の中、シンジ・カイトが単身で黒装束の集団と戦っていた。彼の魔法は強力だったが、数の不利は明らかだった。


「援護に行きます!」


レイナが走り出す前に、レオナルドが腕を掴む。


「危険だ!彼が本当に味方かどうかまだわからない!」


「でも、彼は市民を守っている!」


迷いの末、レイナは振り切って走り出した。


「シンジ!」


彼の名を呼びながら近づくと、シンジは一瞬レイナを見て、苦しい表情を浮かべた。


「来るべきじゃなかった!まだ準備が…!」


彼の言葉が途中で途切れる。背後から黒装束の一人が不意打ちを仕掛けたのだ。


「危ない!」


レイナは反射的に飛び出し、シンジを突き飛ばした。


代わりに彼女自身が攻撃を受ける。鋭い痛みが背中を貫き、視界が暗くなる。


倒れる直前、レイナの脳裏にアリシアの記憶が蘇った。


『最後の手段…魂の転送術…』


そして、意識が闇に沈んでいった。


見知らぬ場所


レイナが目を覚ますと、白い霧に包まれた空間にいた。


「ここは…?」


「精神世界よ」


振り返ると、そこには白衣を着た女性の姿があった。アリシア・ヴェルディだった。


「アリシア?どういうこと?」


「あなたは瀕死の状態。魂が体から浮遊しかけている」


アリシアが静かに説明する。


「でも、まだ死んではいない。だからこの狭間で話せるの」


「何が起きたの?」


「『新世界創造計画』、それは私の時代から続く争いの延長なのよ」


アリシアの表情が悲しげになる。


「三百年前、私は同じく転生者だったマグナス・ブラックハートと対立した。彼は科学と魔法の融合で世界を支配しようとしていた」


「マグナスは倒されたはず…」


「彼の魂は転生を繰り返している。そして今、再び力を取り戻そうとしている」


レイナは理解し始めた。


「シンジ・カイトは…?」


「彼もまた、マグナスに対抗する側の転生者。あなたと同じように、真実と正義のために戦っている」


「でも、今の私は…」


「まだ終わりではない」アリシアが手を差し伸べる。「私の残りの魂の力を使えば、あなたは戻れる」


「それって、あなたは…?」


「私はもう長い間、この世界にいすぎた。今こそ、真の安息を得る時」


アリシアの姿が徐々に透明になっていく。


「レイナ、この世界の未来はあなたに託したわ。シンジと力を合わせて」


「アリシア!」


「さようなら…そして、ありがとう」


まばゆい光が広がり、レイナの意識が現実世界へと引き戻される。


王都西門、戦場


「レイナ!目を覚まして!」


セバスチャンの必死の声が聞こえる。レイナの目が開くと、混乱の中心にいることに気づいた。


「セバスチャンさん…」


「無事か!?背中を魔法弾に…」


「大丈夫」


レイナが立ち上がる。不思議なことに、傷の痛みは消えていた。


「アリシアが…私を助けてくれた」


「アリシア?」


「説明している時間はありません。シンジは?」


「あっちだ」


シンジは数人の黒装束の戦士と戦っていた。明らかに疲労の色が見える。


「助けに行きましょう」


レイナが走り出す。アリシアの魂が融合したからか、体が以前より軽く感じる。


「シンジ!」


彼の名を呼びながら近づくと、シンジは驚きの表情を浮かべた。


「レイナ!?無事だったのか!」


「アリシアのおかげで」


二人が並んで立つと、黒装束の戦士たちが一瞬ひるんだ。


「アリシアの力が…あなたに?」


シンジが理解したように頷く。


「なら、チャンスだ」


彼が手を差し伸べる。


「私の力とあなたの力を合わせれば、彼らを止められる」


レイナは一瞬迷った後、シンジの手を取った。


すると、二人の周りに青と白の光が渦巻き始める。


「これは…魂の共鳴だ」


シンジが説明する。


「同じ目的を持つ転生者の力が共鳴すると、強力な力が生まれる」


光が爆発的に広がり、黒装束の戦士たちを押し返す。


混乱の中、リーダーらしき人物が命令を下した。


「撤退する!目的は達成した!」


黒装束の集団が一斉に煙幕を炊き、姿を消した。


「逃げた…?」


レイナが困惑する。


「でも、目的は達成したって…何を?」


シンジの表情が険しくなる。


「王宮を確認しなければ!」


王宮、王座の間


急いで戻った二人を待っていたのは、驚くべき光景だった。


王座の間は荒らされ、国王の姿はなかった。


「陛下が誘拐された!」


宮廷魔導士のガンダルフが報告する。


「黒装束の集団に」


「やはり…」シンジが拳を握りしめる。「これが真の目的だったか」


「なぜ国王を?」


「王国の混乱を最大化するため」シンジが分析する。「そして、恐らく…」


「条件と共に現れるでしょう」レイナが続ける。「彼らは国王の命と引き換えに、王国の支配権を要求するはず」


その時、宮殿の上空に再び魔法の文字が浮かんだ。


『選べ、エルドラント王国よ。古い秩序か、新世界か。国王の命と引き換えに、我々の条件を受け入れよ。明日正午、王都中央広場にて。── 新世界創造計画』


「始まったな…最終段階が」


シンジが静かに言う。


「でも、まだ終わってない」レイナが決意を込める。「まだ戦える」


「ああ」シンジが頷く。「二人の転生者の力で、この陰謀を打ち砕こう」


レイナとシンジ、二人の転生者。そして、アリシアの残した魂の力。


果たして、彼らは王国を揺るがす陰謀を阻止できるのか。


明日の正午、全ての運命が決まる。

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