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夢を観測する者
それは、島の片隅に埋もれていた。
淡く光る端末。何気なく触れると、ホムの声が再生された。
「観測ログ No.3120…夢の断片、記憶のうつろい……」
「……“笑っていたのに泣いていた”感情、分類不能。記録継続」
無機質な言葉のはずなのに、どこか…切なかった。
再生されるのは、他者の夢。
なのに、自分のことのように胸がざわめいた。
ホムは、孤独な観測者だったのだ。
眠らず、忘れず、ただ夢を見つめ続ける存在。
──この記録を誰かに伝えなければいけない。
そう思ったとき、あなたの端末に新たな通知が届く。
【新規記録開始:観測者M-05】
それは、あなたの夢の観測が始まったことを意味していた。