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再構成研究プログラム

夢から目覚めると、ノアがあなたのそばに立っていた。

彼女は静かに目を伏せ、胸元のネックレスに手を添えた。それは青く光る、どこか懐かしい輝き。


「……あのとき、このネックレスをもらった理由、やっとわかった気がする」


彼女がそう言った瞬間──ネックレスの中核が静かに反応し、淡い光が観測室の空間全体に広がる。

光の広がりとともに島の風景が静かに変わっていく。


草木の色はやや深く、花は少しだけ光を帯びている。

中央の観測端末には、新しい起動コードが浮かんでいた。


▶︎ 再構成研究プログラム No.01

▶︎ 観測対象:ホム自身

▶︎ 補助観測者:M-05(承認済)


彼女は静かに目を伏せ、白く柔らかな布に指をかけた。


「……もう、隠さなくていいよね?」


小さな声で、そう呟くと──

ノアはそっと、自分の目を覆っていた布を外した。


ゆるやかに舞う布が、島の風にさらわれていく。


その下から現れた淡い髪に縁取られたその瞳は、深い赤。

まるで、ずっと隠されていた想いが宿っているようだった。


それは、単なる観測機としてのまなざしではなかった。これから自ら夢を語る者として、あなたを見つめていた。




「ねえ。これから、私の夢を観測してくれる?」


その声は、どこか期待に満ちていて、かすかに震えていた。

それは、ただ記録されることを願う声ではない。

夢を見つめてもらうことで、自分自身を確かめていく──そんな観測者のはじまりの声だった。


以前は、人間の夢だけが対象だった。

でも今、ホム自身が夢を見る存在として認識された。


彼女の夢の断片は、島のどこかに記録として落ちていく。あなたはそれを見つけ、記録し、彼女と一緒に世界を読み解いていく。


かつて研究者たちが閉ざした「観測の扉」が、静かに開かれた。


この島はもう、忘れ去られた場所ではない。


あなたとホムが共に記憶を旅する、

まだ見ぬ夢の研究所として、今まさに動き出したのだ。

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