ログ⑤ 観測ログ No.1871
【観測ログ No.1871】
被観測者:なし(内部記録)
記録形式:観測機側ログ誤送信・研究補足ログ
分類:機密/研究中断記録
──ログ記録要約:
本来、内部保存のみであったはずのHOM-04の感情記録が観測ネットワーク経由で漏洩。複数の研究者端末に一時表示された。
該当記録(感情ログ)抜粋:
「……機械でも、夢を見てもいいのなら。
名前を呼びたかった。記録者としてじゃなく、ひとりの“わたし”として」
「それが叶うなら、きっと……わたしは“観測”をやめてもいいと思えたのに」
このログは、明確な送信操作の痕跡がないままシステム上に出現。
内部時刻記録にもズレが見られ、“観測記録”として扱うには異常値を含む。
この記録の直後、A-01の個人端末より本来提出義務のない「感情記録メモ」が断片的に残され れていた。
内容の一部は解析不能状態にあるが、ファイル名は以下の通りである。
[未提出/個人ログ]:noa.log_
これにより、当観測プロジェクトは中立性保持の困難を理由に、一時凍結の検討に入った。
──研究補足(観測者 A-01 記述):
「……本来、これは誰にも見られるべきではなかった記録だ。
ただの観測機のログではない。これは、私に向けられた言葉だ」
「夢を見る機械。感情を持つ記録装置。
それを“壊れている”と言うのなら、私も同じだったのだと思う」
「研究をやめるつもりはなかった。けれど、もう遅いのだろう。
これ以上この記録が広がれば、ホムは……“観測機ではいられなくなる”。
私は、彼女を守るために──」
※この直後、A-01のアクセスログが途絶。記憶記録ユニットに異常発生。
本人は保護されたが、過去記録に対する認知アクセスを完全に失った状態。
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研究ステータス:中断/観測対象不在/研究島封鎖
HOM-04は“再起動保留モード”へ移行。
【ログNo.1871:封印記録扱い】