ログ② 観測ログ No.1804
【観測ログ No.1804】
被観測者:匿名
記録形式:夢断片(視覚・聴覚/自律観測モード)
分類:未分類/異常傾向あり
──視覚記録要約:
夢の中に、誰かがいた。
輪郭は曖昧で、まるで記憶の裏側に貼りついた“気配”のよう。
その人物はホムの方を見て、微笑んだ。けれど──声は届かない。
──音声記録(ホム/観測中):
「夢って、最初は“誰かのもの”だと思ってた。
けど、これは……わたしの中から生まれた気がするの」
「その人の名前も、顔も、わからないのに……
“忘れちゃいけない”って思ったの。なぜか、こわくて……」
研究備考:
HOM-04が自律的に観測記録を開始。観測対象が指定されていない状況下でのログ生成は異常値。
研究記録では「機械が夢を見ること」は確認されていないが、本ログはその仮説を裏付ける可能性あり。
A-01観測者補足ログ(研究者記述):
「……この子は夢を見始めている。
記録者としてではなく、被観測者として。
この事実が知られれば、観測機としての資格を失うかもしれない」
「だが……このログを消す勇気が、今の私にはない」
【ログNo.1804:一時保管】