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神様は冒険者に憧れる ~縛りプレイでのんびり異世界を旅したい~  作者: 角山亜衣
第5部

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33.移動要塞ドラコニル

ズズン‥‥‥ズズン‥‥‥



エイジたち一行は大氷壁に沿うように、まずは東へ数日‥しだいに北東へ‥今は真北へ向かって移動している。



ズズン‥‥‥ズズン‥‥‥



「ぁー‥グリーンウッドまではー、あとどんくらいだろうか?」フェルドが、さして興味は無さそうに呟く。



ズズン‥‥‥ズズン‥‥‥



「あとー‥三~四日くらいじゃないかしら。」リリスが気のない相槌程度に応える。


しばらく前から、そんなやり取りが続いている。



ズズン‥‥‥ズズン‥‥‥



耐え兼ねたナイトウが手を上げて発言する。

「あの、さっきからみなさん、あえて触れないようにしてますよね?」



ズズン‥‥‥ズズン‥‥‥



「なんの振動だろうね?かなり近くなったような‥‥」エイジが呆気なく答える。


そう、数刻前から、奇妙な振動を感じるようになっていた。

遠いどこかで、巨大な何かが地面に打ち付けられるような、そんな振動が徐々に近づいてきていた。



ズズン‥‥‥ズズン‥‥‥



「や・やっぱり、そうよね!あたしも触れないようにはしていたのだけれど、この揺れ‥‥絶対にとんでもなく大きな‥アビスよ!きっと!」



ズズン‥‥‥ズズン‥‥‥



「もうすぐ森を抜けますので、何か見えるかと‥‥」御者台の執事が周囲を警戒する。



そして森を抜けた───。



ズズン‥‥‥ズズン‥‥‥



馬車を止めて、東からくる『それ』を目撃する。皆、目を疑った。


「あれは‥山‥?‥人なの?あんな大きな‥‥」


なんとも形容しがたい、人型の山が、歩いて、近づいてきていた。



ズズン‥‥‥ズズン‥‥‥



「あれが‥アビスだとしたら‥‥あんなのとどうやって戦うのよ!?」

「流石にあれは‥‥フェルドさんの爆裂技でちょっとずつ削るとか?」

「俺ぁ掘削機じゃねーんだぞ。山なんか削ってられっかよ‥‥」

わたくしの魔法剣でも、ちと厳しいですな。」

「メイ、ぶっ飛ばせるか?」

「無理」



ズズン‥‥‥ズズン‥‥‥



やがて、人型の山は大氷壁に接触して止まった。

ほぼ同じ高さがあるように見える。


一行は近くまで行ってみることにした。



人型の足元に到着してみると、改めてその大きさに驚愕する。


完全に動きを止めたようなので、片足の周りをぐるっと回ってみる。


「こんなのが暴れ出したら‥」リリスが言いかけたとき、人型のかかと辺りが扉のように開いた。


かかとから、数人の人が出てくる。


リリスが驚きの声を上げる。

「あなたは‥グラント!?それにガドさん!!!」


「なぁんだ、風の‥リリスの嬢ちゃんだったのか。久しぶりじゃのぉ~」ガドが能天気に挨拶する。


「リリスさん!ご無沙汰してます!!」グラントはにこやかに手を振っている。「ぁ、炎のフェルドさんも一緒じゃないですか。どうもです!」


「ちょ・ちょっと、あなたたち、どういうことなの!?」困惑するリリスだったが、落ち着いて詳しい話を聴くことにした。


「まぁ、とりあえず中に入ってもらった方が、話が早いと思うので、どうぞこちらへ‥」グラントはそう言ってみんなを招き入れる。


「ようこそ!オイラの特殊ゴーレム、移動要塞ドラコニルへ!!」


グラントに案内されて、かかとから中に入る。

薄暗く長い階段を上がると、突然明るくなり、そこには街があった。建物が並び路地があり人が行き交っている。


「何‥何なの‥これ」

「凄い!凄い!」エイジは目を輝かせている。


「ドラコニルがあったカルドラゴ山脈が噴火したのは知ってるよね?あの時、街を出られない人や運命を共にすると覚悟を決めた人、結構な人数が街に残ったんだ。オイラもね。そして溶岩が街に迫ってきたとき、土の加護が暴走したように力を発揮して、オイラのゴーレムとドラコニルの街そのものを一体化しちゃったんだよ。」


「そんなことって‥‥あるのね。」フローズンの大氷壁の件もあり、案外すんなり飲み込めた。


ガドが軽快に声を上げる。

「カッカッカッ!コイツも一緒に街に残ってた時にゃ、もう、なんて馬鹿なことをと心底アレだったんだがな、最後まで諦めないっちゅーコイツの眼ぇ見て、もうどうにでもなれと思ったら、とんでもないことをなしとげやがったわい。長生きはしてみるもんじゃのぉ~カッカッカッ!」


「オイラも、まさか、こんなことになるとは想像もしてなかったけどね。とにかく溶岩から逃げることができたんだけど、さすがに大渓谷は越えられそうになかったから、西を目指して歩いてきたんだ。そしたら、この青白い壁がずーっと続いているのが見えて、なんだろう?ってここまで来てみたところさ。見たところ、氷の壁‥だよね?前からこんなのあったっけ?」


「それはー‥」リリスとフェルドは、フローズンのことを説明した。


「なるほどね‥。そんなことになっていたのか。ねぇ、氷壁の上に出てみない?」

かつては臆病な若いドワーフだったグラントが、いつの間にか好奇心旺盛でたくましく成長している姿を見て、リリスはなんだか誇らしいような嬉しい気持ちになった。



ドラコニルの腕を伝って、大氷壁の上に出る。



壁の向うは見渡す限り、赤い霧に覆われていた。

氷の床は、果てしなく続いている。


「端の方へ行くと危ないから気をつけて‥滑ったら終わりよ‥‥」


一行は慎重に景色を堪能する。


すると、フェルドが何かに気づいた。

「あれは‥‥!?」滑りながら駆け寄ると、美しく透き通るような氷像が横たわっていた。「‥フロス‥‥‥」


「ぇえ!?‥たしかに‥フローズンね‥‥でも」


「これだけの氷壁を生み出して、荒野の浸食を食い止めてみせたんだ‥。魔力も‥すっからかんになって‥コイツは‥‥くっ‥」フェルドは涙を堪えてフローズンの氷像にすがりつき、肩を震わせていた...。


『(そんなにアタイが恋しかったのかい?)』


フェルドの心に、フローズンの声が聞こえた気がした。


「フロスよぉー‥お前は‥ホントにスゲーヤツだったよ。ミラージュの街も‥この世界も‥みんなを救ってみせたんだぜぇ」フェルドは涙が溢れ、鼻水をたらしながら、フローズンの氷像に語り掛ける。


『(バカだねぇ‥そんなに持ち上げたって、何も出やしないよ)ていうか、きったないねぇ‥鼻水なんか垂らして』


「ん?」途中から、ハッキリと耳に聞こえるフローズンの声。


フェルドが辺りを見渡すと、後ろにフローズンが仁王立ちしていた。


「フ・フロス!!お前ぇー‥!?」氷像とフローズン本人を見比べてクチをパクパクさせるフェルド。


「アタシゃこのとおりピンピンしてるよぉ。この壁を維持するのに、遠くへは行けないし、かといってする事がないから、暇つぶしに氷像を作ってただけさ。」


そう言われて見渡してみると、所々に何か建っている。


フェルドはこの旅の最中、オモテには出さなかったが、ずっとフローズンのことを心配していた。加護持ちとはいえ、これだけの壁を生み出して、タダで済むわけはないと諦めかけていた。

「そ・そうかー!良かった‥いや、本当に良かったーー‥」フェルドはフローズンにすがりつき堰を切ったように大泣きした。


一行は、これまでのことを話し合い、情報を共有する。


フローズンが荒野に到着した時、腐敗をまき散らすアビスに遭遇した。

一緒にいた冒険者たちが次々と倒される中、フローズンはこの大氷壁を生み出し、アビスを氷漬けにすると共に荒野の浸食を塞き止めた。

どうにも荒野の奥から、怪しげなガスが漂ってきているらしい。

壁を作ったことでそのガスが濃縮され、赤い霧となって見えるようになった。


フローズンはこの壁を維持するため、遠くには行けないという。

それならば‥と、一緒にエイジの屋敷へ行くことにした。


「たぶんだけど、ボクの家はこの氷壁に埋まっちゃってるんだと思う。良ければ、しばらくボクの家を使ってくれても良いよ。」


一行はドラコニルに乗り込み、エイジの家を目指す。



翌日、グリーンウッドの近くへ到着した。



地上に降りて、道沿いに氷の壁の奥を覗いてみると、たしかに‥ぼんやりと館が埋まっているのが見えた。

「やっぱり‥‥ボクの家が氷漬けになってる‥。」

「見事に埋まってますなぁ‥‥」執事も覗き込む。


「ごめんなさいね、ボウヤ‥。でも変ねぇ‥‥壊れないで、あんなに奇麗に氷漬けだなんて‥‥とにかく道を開けるわ。」フローズンはそう言うと、家に続くトンネルを開けていく。


「ちょっと寒いけど、どうぞ!」エイジはそう言って、みんなを屋敷に招き入れた。


「(ジー、メイ、見られて困るようなモノは‥ないよね?)」「(大丈夫かと‥)」「(主様の小説コレクションくらいなものです)」

「(まぁ‥それはいいや。それよりも‥‥)」

エイジはずっと気になっていた。


自分の寝室に『何者かが居る』気配を、ミラージュからずっと感じていた。


みんなを居間で休ませて、寝室へ向かう。


扉を開けると‥‥‥エイジのベッドで眠る少女‥。


「ぇ‥誰?」

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