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実写映画の撮影 前乗り

夏休み、一気にぶっ飛びました

 忘れ物ものは……よし、ないな。


 俺は昨晩準備したロケ用のキャリーバッグを開き、もう一度忘れ物がないかを確認する。

 その後リュックも開いて中身を見る。

 両方とも中身に不備がないことを確認後、キャリーバッグを閉じ、リュックを閉めて背負い立ち上がる。


「いってきます」


 一週間近く留守にする部屋に一言告げ、俺は鍵を閉めて空港へと向かうのだった。


 初の顔合わせから数週間が経過し、個人レッスンや収録など忙しい日々を過ごしていた。

 学校がある日は仕事をセーブしているため、時間が取れる長期休みに、しわ寄せで仕事が大量に来ているのだ。

 おかげで絢さんとの朝稽古の時間も取れないほど、朝から晩までみっちりと予定が入っていた。

 そして今回はこの休み一番デカい仕事、先月から動いていた映画の撮影で福岡に前乗りする日だ。

 ロケ自体はトータルで3日ほどの予定だが、念のために数日余計に向こうのホテルの予約を取っている。

 スケジュールが計画通り消化されれば、福岡で久しぶりのオフを満喫できる……はずだ。


 前に絢さんがラーメンの食べ比べがオススメって言ってたし、それをやってみるのもいいかもしれないな!

 他にも美味しいものいっぱいあるみたいだし、ちょっと足を伸ばして熊本や他の県に行ってみるのもありだ。

 そう考えるとちょっと楽しみになってきたな!

 まあ、ロケが最優先なのは変わらないんだけど……。


 空港に到着し、少し時間潰した後に飛行機へと搭乗する。

 そして福岡空港まで約2時間、俺はアイマスクをして夢の世界へと旅立ったのだった。


「んんー」


 空港に到着し、タクシー乗り場でぐっすり眠ってガチガチになった身体を解すように伸びをする。

 バキバキと関節から音が鳴った。


 思ったよりも疲れ溜まってんのかなぁ。

 まあ、毎日何かしらの予定入ってたし、そりゃ疲れ溜まってるか。


 そんなことを考えながらタクシーを捕まえて、宿泊先のホテルへと向かった。

 空港から10分ほどタクシーを走らせて到着したビジネスホテルにチェックインして部屋へと向かいドサッとベッドへと倒れ込んだ。


 あー、なんかもう移動だけで疲れた。

 大して動いたわけでもないのに飛行機での移動ってなんか疲れるんだよな……。

 

 足を投げ出して仰向けになりながらスマホを取り出す。

 メッセージアプリで咲さんにホテルにチェックインした旨を伝えた。

 すぐに返信が届き、咲さんは明日から直で現場入りするそうだ。


「あ、夕ご飯どうしよう……」


 昼過ぎに家を出たので、あと少ししたらちょうど夕食時になる。

 ルームサービスやホテルのバイキングでもありっちゃありだけど、どうせなら何処か店に行きたいな。


「……おっ、渡りに船だな」


 夕飯を悩んでいると、この作品のメインキャストのグループにメッセージが届いた。

 そこにはハジメくんから一言。


『ホテルチェックインしたんで、どっか飯行かないっすか?』


 俺はスタンプでOKと返す。

 すると同じタイミングで叶さんからも返信が届いた。

 全員から了承を得て、ハジメくんからホテルのラウンジに1時間後に集合と返信が。


 1時間後か……。

 それなら絢さんに連絡して、ここらへんで良さそうな店尋ねておこうかな。


 俺はメッセージアプリで絢さんとのトークをタップして、今宿泊してるホテル付近で良さげな店がないかとメッセージを送る。

 

『そこらへんなら鉄鍋餃子で美味しいお店あるよー!  あとはホルモン焼きとか! ちなみに店の名前は……』


 何件か店をリストアップされてそのURLが送られてくる。

 その一つ一つを見てみると、そのどれもがとても美味しそうな料理の写真が載っけられていた。


 よし、ここにいる間に全部行こう……。


『ありがとう。餃子はちょっと翌日に影響あるので、ホルモン焼きにしようかなと思う』


 流石に明日撮影があるのにニンニクの臭いを漂わせるわけにはいかないし、鉄鍋餃子はクランクアップしたあとに堪能するとしよう。


 俺はグループラインに、ここはどうですか? と絢さんから送られてきたホルモン焼き屋のURLのコピーを張る。

 すると、すぐにスタンプとメッセージで了承が得られた。


『ていうか、唯くん今福岡に来てるんだ? お仕事?』


 絢さんからそうメッセージが届く。

 そういえば守秘義務ってこともあってなにも伝えてなかったんだっけ……。


『ああ、まあちょっとね。絢さんも今帰省してるんだっけ?』

『うん、今実家にいるよー。ていうことは、今唯くんが尋ねてきたところ辺りをウロウロしてれば、仕事姿の唯くんを観れたりするのかな? 面白そうだし明日唯くん探しに行くねー』

『まあ、それは別にいいけど、俺の名前は呼ばないでくれな。呼ばれても一切反応できないし。ていうか、そもそもそんな空気じゃないと思うし』

『はーい、それはちゃんと気をつけまーす。じゃあ明日頑張って見つけるねー』


 絢さんは最後に可愛いスタンプを貼ってメッセージが終わる。

 まあ、明日のロケ、普通に人通りの多い場所とかでやるし、野次馬とか多そうだから多分すぐに見つかると思うけど……。

 でも知り合いに仕事の現場を見られるのはちょっとむず痒いな。


 おっと、もういい時間だな。

 

 絢さんとメッセージを送りあっていたら部屋を出るのに丁度いい時間になっていたので、俺は部屋のカードキーと財布とスマホを持ってホテルのラウンジへと向かった。

博多の鉄鍋餃子めちゃくちゃ美味しいです

まじで本当にやばいくらいに

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