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修学旅行 2日目 伏見稲荷②

「えっと、これどっちに行けばいいんだ?」


 鳥居のトンネルを潜ると、さらにまた同じような鳥居のトンネルが現れる。

 しかも左右に二つ。


「ねえ、唯くん。唯くんが前に来た時はどっちに進んだの?」

「えっと、前は右から進んだ……かな」

「お、まじか! じゃあ俺らもそれに倣おうぜ!」


 佐藤がそう言って班の先頭をきって歩く。

 俺達も佐藤に続いて再び鳥居のトンネルを潜った。


「今日、天気良くてよかったよな」

「本当にねー。木漏れ日とか綺麗だよね」


 隣を歩く絢さんとそんな話しをしたり、後ろを歩く瀬川君、木ノ下さん、神崎さんを気にかけながら歩いた。

 最初は三人とも歩くことに抵抗があったみたいだけれど、歩き始めるとみんな興味津々に周りを見回している。


「ねえねえ。都市伝説とかでさ、鳥居の間にこの世ならざるモノが……みたいな話あるけどさ、ああいうの信じたりする?」


 唐突に絢さんが俺に尋ねてくる。


「都市伝説かぁ。俺は結構信じちゃうな」

「へー、なんか意外だなぁ。唯くんがそういうの信じたりするの。イメージ的に非科学的なのは信じない系かなって」

「どんなイメージもたれてるのさ。ていうか、そういうのって信じてたほうが楽しくない?」

「確かに!」

「そもそも俺、心霊かなぁ……みたいな体験もしたことあるし。都市伝説とは違うかもしれないけど」

「えっ!?」


 一気にドン引きした表情をする絢さん。

 結構撮影現場だったりスタジオで、実はここ……みたいな話を聞くことがある。

 そして不可思議なことが起こったり、人がいないのに人影が……とか、撮った映像に声が……みたいなことに遭遇したこともある。

 正直、芸能と心霊やスピリチュアルなことは切っても切り離せないものだと思う。


「自分で話振っておいてなんだけど、これ止めよっか」

「絢さん、ホラー苦手だもんね」

「少しずつ慣れようとはしてるもん」

「それで成果は?」

「……聞かないで」


 バツの悪そうな顔で視線を逸らす絢さん。

 どうやら克服への道のりは長そうだ。


「おーい、みんなー! 大丈夫かー?」


 先に歩いている佐藤が振り返り、みんなに声を掛ける。

 ゆっくり歩いていたから、もうヘバッたのかと気になったんだろう。


「ゆっくり雰囲気堪能してるだけだから大丈夫ー!」


 後ろから神崎さんが両手でメガホンを作って声を返した。

 その返しに佐藤はニカッと笑ってサムズアップをして答える。


「佐藤、もうちょいゆっくり行こうぜ! まだまだ時間あるんだし!」

「あー、悪い悪い! じゃあ持っとくからゆっくり来なー!」


 俺は佐藤にゆっくり行こうと告げると、佐藤も了承してくれてその場に立ち止まってくれた。

 そして俺達は少しだけ歩くスピードを上げて、佐藤の元へと向かう。


 流石にゆっくり来いとは言われたけど、待たせておくのも……ねぇ。

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