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修学旅行 瀬川君と木ノ下さんとの交流

「ねえねえ、二人は京都って行ったことある?」


 話のキッカケ作りで瀬川君と木ノ下さんにそう尋ねてみた。


「え、あ、その、ぼ、僕は行ったこと……あるよ。ちゅ、中学の修学旅行で」

「そうなんだ。ってことは中高どっちも修学旅行が京都ってあんまりワクワク感とかは……」

「あ、えっと、僕、あんまり当時の思い出とかないから……」


 そう言う瀬川君の声は小さくなっていき、それに比例して顔も暗くなってくる。


 ヤバい……。地雷踏んだかも……。


「じゃあ、今回で俺達と京都のいい思い出いっぱい作ろうよ! 俺も瀬川君ともっと話してみたかったしさ」

「う、うん、僕も、白鳥君や佐藤君と同じ班になれて、ちょっと安心したよ。ちゅ、中学の時より楽しみ……だな」


 表情がさっきよりも明るくなる瀬川君を見て、内心ホッと胸を撫で下ろす。

 とりあえず、中学の時の話なんかは触れないほうがよさそうだな。


「そっか、ならよかったよ。えっと、木ノ下さんはどうかな? 京都、行ったことある?」


 瀬川君との会話は一段落したので次は木ノ下さんへと話を振る。

 彼女と話したのは今日が初めてなので探り探りながらになりそうだけれど。


「……私は京都行ったことない」


 いつの間にか取り出していた文庫本を読みながら返事をする木ノ下さん。


「そうなんだ。そういえばさっきあんまり詳しくないって言ってたもんね」

「ええ。私は海外のほうに興味があるから」

「海外かぁ……。ちなみに海外はどこか行ったことあるの?」

「……家族と旅行でアメリカやオーストラリアに。本当に素晴らしかった」


 あまり表情が変わらない印象の木ノ下さんだが、海外の話になると言葉にも力が入り、目が生き生きしている……ような気がした。


 なるほど、木ノ下さんには海外関連の話題を振れば上手くコミュニケーション取れそうだな。

 これは後で絢さんたちにそれとなく伝えておこう。


「へえ、いいね! 俺らの歳だと海外に行く経験ってあんまりない人が多いだろうし、同年代よりも価値観広がるだろうなぁ。瀬川君は海外の経験はある?」

「あ、えっと、僕はないかな……」

「まあ、俺等の歳だと金銭的にも気軽に行けないもんね。将来旅行とかで行きたいところとかはない?」

「う、うーん……。海外はちょっと怖いから、行きたいところはない……かも」

「怖いかぁ……。確かにその気持ちもわかるなぁ。俺も初めて行くってなった時は怖さはあったし。でも気をつけておけば意外と思うほど怖い場所じゃないってわかったけど」

「……白鳥君、貴方も海外行ったことあるの?」

「ん、まあ、数回ほど」


 あ、不味い。

 思ったよりも食いつかれた。

 ちょっとこれ追求されたら誤魔化すのめんどくさくなりそう……。


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