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吸血鬼ですが、何か? 第2部 開戦編  作者: とみなが けい
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吸血鬼を呼び出して、処女の乙女と俺とでチームっぽくなった

店の近くの駐車場に車を置いて俺達はセキュリティショップに入った。

スマホの宣伝画面通りに様々な防犯用品、警護用品、警察の機動隊員や軍の特殊部隊が着るような服、頑丈そうなブーツ等が広い店内に並んでいる。

俺も真鈴も物々しい雰囲気に押されて入り口で立ち止まってしまった。


「ほほう、面白そうなところだな。」


四郎が俺達の横を通り抜けて店内に入って行く。


「何をしている?

 必要そうな物を選ぶんだろう?」


振り向いた四郎の声で我に返った俺達も店内に入った。


「…え~と…何がいるんだろう?」


真鈴が消え入りそうな声で呟いた。


「何が?武器だろう?君らが扱えるような。」


四郎があきれた声を出した。


「サーベル、ナイフ、ピストル、槍、弓矢、色々いるだろう?

 おお、ここは日本だから日本刀の良い物があるかも知れぬ、君達、あれほど覚悟を決めたのじゃないのか?情けない、われが店員に聞いてみるか…」


カウンターに歩いて行こうとする四郎を俺は慌てて止めた。


「ちょちょちょ!四郎さん、ちょっとやばいよ!」


俺は四郎の袖を掴んで店の隅に連れて行き、小声で言った。


「あのね、四郎さん。

 今四郎さんが言った物は、まぁ、ナイフはともかく、ナイフでもあまり大きな物は持っているだけで犯罪になるんだよ。」

「…なんと…」

「あくまでも合法的な物しかここでは売っていないのよ。」


唖然とする四郎に真鈴が追い打ちをかけた。


「…それではどうしろと…」

「ともかく、四郎さんは何か質問する時は俺か真鈴に小声で訊くようにして。

 あとは俺達が買い物するから…ほら、店員が怪しげに見てるじゃない。」


カウンターの店員がじっとこちらを見つめ、俺達と目が合うと小さく会釈した。

俺と真鈴も笑顔を浮かべて軽く頭を下げた。


「とにかくここで揃えられそうな物を買いましょう。

 四郎さん、武器以外に準備するものと言ったら?」


四郎は暫く複雑な表情を浮かべて俺達を見ていた、が、やがて苦笑いを浮かべた。


「まぁ、服装だな。

 闇に紛れて動けるものが良いな、と言っても夜目が利く悪鬼もいるが、人目に付きにくい闇に紛れる事が出来る物で頑丈な生地で動きやすい物かな?」

「それなら、あっちかしら?」


真鈴が特殊部隊用の服が並んでいる棚を指さした。

俺達は棚に移動した。

四郎がアメリカ警察のスワット用のスーツを手に取った。


「ふむ、こういう物が良いな…だが、こういう上下が繋がっている物は駄目だぞ。」

「何故ですか?」

「火が付いたり悪鬼の中には強力な酸や毒を吐く者もいるからいざと言うときに素早く脱げる物でないとな…あと、闇に紛れるなら真っ黒な物は駄目だ。」

「どうして?」

「真っ黒だと却って動きを悟られやすいのだ、君達本当に真っ黒な物体があると意外に判る物だ、自然界には真黒な物と言うのは中々存在しないからな、こういう、濃い紺色が一番良いぞ。」

「なるほど…」

「あと、こういういろいろな色が混ざっている、カモフラージュの柄は止めておいた方が良いな。森や林や草原の中でも少し周りの植物と違和感を感じるような物だと意外と判ってしまう物だ。」


四郎が俺が手に取っていたデジタル迷彩のジャケットを見た。


「おお、こういう物だと遠目には濃い紺に見えて闇に紛れやすそうだが…やはり濃い紺色が色々な場所に使えて良いかもな。」


と言う訳で俺達は上下セパレーツになっている難燃性素材で頑丈な布地、そして肘や膝を守るために二重の布になっている物を購入した。


「あとは…靴だな。

 頑丈で軽い物が良いと思うが両立するのは難しいな。

 足首を守れるくらいの丈が必要だ。

 悪鬼でも人間でも戦い慣れている者は足首を狙ってくるからな、出来れば酸や毒を浴びてもある程度耐える事が出来る物はあると良いのだが…」


救急隊員用の薬品にも強く頑丈なブーツを見つけ真鈴が試しに履いてみた。


「まぁ、軽いと言う訳じゃないけどそんなに重くないわよ。」

「ふむ、つま先と踵に補強もされているな、丈が高いから足首も守れるだろう。

 これが良いと思うぞ。」


俺達はそれぞれブーツを履いて試して購入することにした。


「あとは…」


その後、やはり濃い紺色のバラクラバ(目出し帽)を買う事にして、肘と膝を守るパッドを買った。

防刃グローブと言う代物が有って、店員がグローブをつけた手で鋭利なナイフの刃を掴んで思い切り引いてみても全く切れない事に四郎が感銘の声を上げた。


「これは良いな!これも買うぞ。」


四郎が嬉しそうに言った。


カウンターに積み上げられた品物を前に店員もホクホク顔になっている。

その他、軍用ハーネス、とハーネスやベルトに付ける小物入れなど、四郎の助言を訊きながら買い進めて行った。


奥から出てきた店長が俺達が購入した物を見て、感心した声を上げている。

四郎が選んだ物が実用的で理に叶っていると俺に言い、小声で訊いてきた。


「あの人はどこかで、戦場とかにいたのですか?

 やけに理に叶って実用的な物を選びますね。」


真鈴がにこりとして答えた。


「あの人は経験豊富な歴戦のベテランなのよ。」


四郎は店員に勧められた防刃チョッキとヘルメットを試着してあれこれ尋ねていた。






続く




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