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9おそろい

「ほんっとうに申し訳ありませんでしたーっ!!」


 俺と胡桃に対して、深々と頭を下げるのはイルカショーの時のお姉さんだ。


 あのイルカ達が尾を水面に打ち付けた結果、大量の水を被ってしまったのだ。


「気にしないでください。気にしてませんから」

「それに、こんなに可愛い服も貰っちゃいましたから」


 その時に俺と胡桃の服がびしょ濡れになってしまったので、お姉さんが新しい服を用意してくれた。


 この水族館のお土産コーナーにも売っている服だったのだが、ジョーク系では無くて普通にカッコいいし可愛い。


 胡桃が着ている服にはイルカが三日月型の様になって飛ぶ姿がワンポイントで描かれていた。俺のも似た様なもので、市販で売っていても買ってしまうと思う。


「これも思い出ですから」


 ただ、若干ペアルック風になっているのは否めない。




 次に来たのはジンベエザメの巨大水槽だ。

 流石のこの水族館の主役なだけあって、沢山の人が集まっていた。


 巨大水槽の中ではジンベエザメが悠々自適に泳いでいる。


「「デカ」」

 

 二人の声が重なった。


 思った以上にジンベエザメがデカかったのだ。


 説明書きにはジンベエザメの体長は最大で12mまで伸びるらしいが、このジンベエザメは8mあるらしい。


「いいなぁ……」


 胡桃のそんな呟きが聞こえた。

 その視線の先では二匹のジンベエザメが寄り添う様に泳いでいた。


 まるでカップルの様に――――。





 水族館の全てを見終わった。


 最後にやって来たのはお土産コーナーだ。


 ここの水族館はお土産にも力を入れている様だ。


「凄いいっぱい!」

 

 胡桃も沢山のお土産を前にテンションが上がっている。


 最初にぬいぐるみコーナーに突撃して行った。


 そう言えば、昔から胡桃はぬいぐるみを集めていたっけ。


「きゃー!可愛いーっ!」


 イルカのぬいぐるみに飛びついた。

 その次にジンベエザメやチンアナゴやウミガメや……。

 とにかく大量のぬいぐるみを手に取った。


「どれか一つにしとけよ。また花さんに怒られるぞ」

「ぐぬっ……! じゃあ、うーん……」


 本気で全部買うつもりだったみたいだ。


 胡桃は昔から後先考えずにぬいぐるみを買ってしまって、良く花さんに怒られていた。


 流石に身に染みたのか


「じゃ、じゃあさ!」


 何かを見つけたようでぬいぐるみを置いて、トテトテと走って行った。


 俺も慌てて追うとある場所で立ち止まった。


「これ、一緒に買おうよっ!」


 そう言って、胡桃が見せたのはナマコのキーホルダーだった。


 ハッキリ言って、人気は無さそうだ。

 他のイルカやジンベエザメのキーホルダーは在庫が減っているにも関わらず、ナマコはまったく減っていない。

 

 誰も買っていないんじゃないか?と思うほどだ。


 だが、胡桃は嬉々としてナマコのキーホルダーを手に取った。

 しかも俺と一緒に、と言って。


「……これでいいのか?」

「うん! これがいいの!」


 胡桃がそう言うのなら、俺も異論無い。


 家族へのお土産に、荷物にならなそうなちょっとしたお菓子を買って会計をした。





「ゆう君、はい!」

「ん?」

「プレゼント!」


 お土産コーナーから出たところで胡桃が買った方のキーホルダーを渡して来た。


 プレゼントって、俺も同じのを持ってるんだが。


 って、ああ。そういうことか。


「じゃあ、俺からもプレゼント」

「やったーっ!」


 ひゃっほー、とキーホルダーを持ってぐるぐる回って全身で喜びを表している。


 可愛いな。

 ()()()()()()()()()()なん


 そもそも、ぬいぐるみでは無くてわざわざ二人で同じキーホルダーを買って、それを胡桃が俺にプレゼントした。

 

 つまり、そう言う事だろう。


 その後、二人で話し合ってナマコのキーホルダーは一緒にスマホに付ける事にした。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

「胡桃可愛い!」「おそろいじゃあああ!」「続きが読みたい」

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