6ナマコ
胡桃が指差した場所にはナマコのふれあいコーナーがあった。
「何故ナマコ……?」
「だって可愛いじゃん!」
胡桃の感性はよくわからん……。
まあ、胡桃がやりたいと言っているんなら俺も異論無い。
二人で備え付きの水道で手を洗ってから
触れ合いコーナーにはナマコの他にもヒトデやカニなどもいて、小さな子供が集まっていた。
だが怖いのか、触れずに泣いている子供やお父さんに近付けられて悲鳴を上げている子供もいた。
俺も昔、あんな時があったなー。と呑気に考えていると、胡桃がバシャッと迷いなく水槽に腕を突っ込んだ。
「く、胡桃……?」
「ナマコ~」
ナマコを鷲掴みにして水槽から取り出した。
「もにもに~」
すっごい良い笑顔でナマコを揉んでいる。
何が可愛いんだろう。
女の子って、時々よくわからないものにハマるよな。
「ゆう君ゆう君」
「ん?」
「ゆう君もナマコは~?」
「え」
俺もやらないとダメ?
きらきらと期待を含んだ目で見てくる。
これはやらないといけない流れだなー。
恐る恐る、胡桃が手に持っていたナマコを両手に乗せる形で受け取る。
むにむにと言うよりも、ブニブニした感触だ。
うねうねと動こうとするのはこのナマコが活きが良いからだろう。
これの何が良いんだろう……。
「気持ち良いでしょ?」
「ソ、ソウダネ」
「むふふ~」
胡桃は嬉しそうに、次のナマコを手に取った。
俺の両手の上にはナマコが乗ったままだ。
でも、なんでだろう。
段々と気持ち良くなってきた。
このブヨブヨ感がたまらない。
「あっ、ゆう君ゆう君。こっちのナマコとちょっと感触が違うよ」
「どれどれ。……おー、本当だ。こっちはぷにぷにしてるな」
「どうしてなんだろうね。お水を飲みすぎちゃったからとか?」
「ならぷにぷにになるわけだな」
傍目にはナマコで盛り上がる男女の高校生にしか見えないだろうけど、めっちゃ楽しいんだよ。ナマコ。
俺も今までは知らなかったが、この感触を知ればきっと病みつきになるはずだ。
水族館の触れ合いコーナーでナマコがいれば、是非触れ合って欲しい。
きっとナマコ大好きになるぞ。
ただ、ここにはナマコ以外にも触れ合える。
ナマコは一旦放して、ヒトデを持った。
「ヒトデってさ、手裏剣みたいだよね」
「そうだな。俺、釣りに行く時に釣れたヒトデを海に投げてたよ」
「あー、やってたね~」
そう言えば、胡桃とは釣りにもよく行ってたっけな。
と言ってもあの時は小学生だったけど。
「また行きたいな」
「行こうよ。絶対」
「……そうだな」
でも、胡桃に彼氏が出来たら一緒に釣りになんて行けないだろう。
そう考えるとズキッと胸が痛んだ。
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