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4水族館

 腕に当たる柔らかい感触にどぎまぎしていると、あっと言う間に水族館に到着した。


 自然な仕草で手を繋いでバスから降りる。すぐ目の前が水族館だ。

 水族館のイメージキャラクターのジンベエザメが出迎えてくれた。


「おー! 変わってないねー!」

「そうだな。昔と一緒だ」


 水族館は外見も何もかも、昔と全く変わってなかった。


 俺達はそのまま、切符売り場まで行く。


「いらっしゃいませ! 忠海水族館へようこそ!」


 するとジンベエザメの帽子を被ったお姉さんが対応してくれた。


「カップル料金でしたら千三百円になります」

「いや、俺たちは……」


 すると何を勘違いしたのか、そんな事を言って来た。


 胡桃とカップルだと思われるのは、正直凄く嬉しいが嫌な思いをされるのも嫌なので否定しようとする。


「わあ! ありがとうございます!」


 胡桃は笑顔で俺の腕に絡ませてきた。


 おそらく、料金を僅かにでも安くするための演技なのだろうが、そのあまりの自然さに「あれ? 俺達ってカップルだっけ?」と錯覚しそうになるところだった。


 演技でも嬉しい。


「ふふ。お似合いのカップルですね」

「そうですか!? ありがとうございます!」

「デート、楽しんでくださいね! 十一時からイルカショーのイベントもありますから、是非参加してみて下さい!」

「はい!」


 お姉さんから十一時からイルカショーがあるとの情報を頂き、俺達は水族館に入園した。


 暗幕をくぐり抜けて、最初に広がるのは様々な魚が泳いでいる巨大な水槽だった。

 薄暗い空間がライトアップされて、水槽の中の魚たちが煌びやかに輝いている。


 客は少ししかいないが、そのおかげで水槽の全面を見渡すことが出来た。


「凄い……。綺麗……」


 胡桃の言う通り、水槽の中で泳ぐ魚たちは綺麗だった。


 色鮮やかで、どうやって共存しているのかわからないが鮫と一緒に泳いでいる魚もいた。こういう巨大水槽でよく見るエイの姿もあり、小さい頃は感じなかった感動を今、感じていた。


 綺麗だな、と言おうと胡桃を見て一瞬、時が止まった。


 水槽から反射した薄青色の光が胡桃を照らしていた。


 水槽を見ている胡桃の姿があまりにも幻想的で、美しかった。


 それからしばらく、胡桃が俺に声をかけるまで俺はずっと胡桃に見惚れていた。


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