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結局、ハニートーストを食べて胡桃は機嫌を取り戻してくれた。
俺が食べても美味しかったし、結構なボリュームもあったのでお腹いっぱいだ。
まあ、機嫌が直ったのはいいんだが、次の問題が出来てしまった。
「うえ~んっ! じゃあね、キィちゃん! また来るからね!」
「にゃぁ」
胡桃が子猫のキィと別れを惜しんで大変なのだ。
キィは若干面倒くさそうに目を細めながらも返事をしている。
「またな、ジェー」
「ニャァ……」
俺が拳を突き出すとジェーも肉球を合わせてくれた。
まるで親友が分かれる時の様に、二人の間には確かな絆が紡がれていた―――――。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
猫カフェを後にした俺達はデパートに向かって歩いた。
「楽しかったね」
「楽しかったな」
二人で猫カフェの余韻を味わう。
猫を撫でたり、猫と遊んだり、猫を吸ったりして至福の時間を過ごした。
最高だった。
するとおもむろに胡桃が俺の手に指を絡ませてきた。
ただ、指を絡ませるところで躊躇しているのか、先には進まない。
それを女の子にやらせるのは酷だろう。
「……手、繋ぐか」
「うん」
俺の方からぎゅっと手を繋いだ。
まだ少し緊張するのか、胡桃の頬はピンク色に染まっていた。
もちろん俺も動揺して心臓がバクバク言っている。
胡桃と手を繋ぐと心が温かくなって、凄く幸せな気持ちになる。
ずっとこうしていたい。
でも、いずれ終わりは来る。
(だってこれは、練習なんだから)
水族館も猫カフェも順番は違うが全部、胡桃と一緒に考えたデートプランだった。
胡桃が好きな人と行くためのデートプランだ。
失敗はしたくないだろうし、必ず成功させたいだろう。
ならば下見をしておきたいが、デートなのだから男性の意見が聞きたいとなってくると、変な噂とかを気にせずに気軽に誘える男友達は俺くらいしか胡桃にはいない。
つまり、練習相手ってことだ。
でも、それでも俺は嬉しい。
こうして胡桃と、好きな人と一緒に遊べるっていうことが。
これで最後になるかもしれないんだ。
楽しまないとな。
そう思いながら、次の目的地であるデパートに向けて歩いた。
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