11ニャンニャンハニートースト
あの後、すぐに胡桃が帰って来た。
ただ拗ねている様で頬を膨らませながら、貰って来たおもちゃで猫と遊んでいる。
「なあ、胡桃?」
「ぷいっ」
ああ、これはご機嫌斜めだな……。
「にゃあ~」
「きゃわ……っ! ……ぷいっ」
ただ、可愛い猫を見てニマニマするのを我慢しているので、完全に怒ってるワケではなさそうだ。
胡桃がおもちゃと一緒に連れて来たのは、まだ子猫のマンチカンだった。
ふわふわでごろんと転がりながらおもちゃとじゃれる姿は何とも愛らしい。
ちなみにジェーは今、俺の脚の上ですやすやと眠っている。
こちらも可愛い。
(どうやって胡桃の機嫌を直そうか……)
確か前は甘い物を奢って、それで機嫌を直したんだっけな。
甘い物か……。
「あ」
ちょうどその時、壁に貼ってあった紙が目に入った。
それを見て行けると思った俺は財布を持って席を立つ。
「ちょっと行ってくるわ」
「にゃ~ご」
「にゃあ」
「ぷい」
足に乗っていたジェーにはクッションの上に移ってもらった。
ただ、返事が猫だけか……。ちょっと悲しい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
両手に花ならぬ、両手に皿を持って戻って来た。
「な、なにそれ……!」
「ニャンニャンハニートースト、だ」
胡桃の疑問に答える。
そう、俺が買ってきたのはこの店の看板メニューでもある【ニャンニャンハニートースト】だ。
テーブルの上に皿を置いて、俺も反対側に座った。
胡桃の向かいに置かれたハニートーストには、胡桃がさっきから可愛がっている子猫のキィの絵がチョコで描かれていた。
俺の方はジェーの絵だ。どっしり構えていて、どことなく横綱に見えるのは気のせいだろうか?
ぶっちゃけ、これは普通のハニートーストにチョコで猫の絵を描いただけの代物だ。
だが、お気に入りの猫の絵を描いてくれるのは素直に嬉しいし、映える写真が撮れるのは今時の若者には嬉しいだろう。
「可愛い~~っ!」
胡桃は色々な角度から連射しながら撮っている。
機嫌も直ったみたいだ。
俺はSNSには上げないが、ジェーの絵があまりにも上手だったので写真を撮った。
するとふと胡桃の方を見た。
もう写真を撮り終えたのか、スマホのフォルダを開いて整理していた。
あまりにも愛おしそうに写真フォルダを眺める胡桃が今まで見て来たどの表情よりも美しくて、自然とレンズを向けて胡桃の写真を納めていた。
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