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10猫カフェとジェネヴィーブ

 胡桃が好きなもの、その一つが猫だ。


「やって来ました、猫カフェです!」

「テンション高いな」

「だって初めてなんだもん!」


 俺達は水族館を後にした後、駅前の猫カフェにやって来た。


 駅前は人通りが多く、


「ゆう君も猫、好きなの?」

「いや……」

「まさか、犬派!?」

「どっちも好きだけど」

「そっちかぁ~!」


 どっちだよ。


「ふふんっ! なら、今日で君も猫派に染め上げてあげよう!」

「それは楽しみだ」


 胡桃が連れて来たのは駅前にある、ネットでも有名な猫カフェだ。

 少し前にテレビで取材されていたこともあった。

 昼食もここで食べれるそうなので、猫と遊ぶついでに食べて行くらしい。


 二人で猫カフェに入る。


「いらしゃいませ。まずはアルコール消毒をお願いします」


 猫たちに感染症や、悪い菌を持ち込まれないための配慮らしい。


 そのまま猫が外に出ない仕切りから、内へ入った。


 猫カフェは思ったよりも広かった。


 中央部は二階をくりぬいているのだろう、天井が高い。

 それはあのキャットタワーのためだろう。


 かなり巨大で、まるで木の様だ。


 枝の先には猫が遊べるおもちゃや眠る場所があったり、猫が楽しめる造りになっている。


「それではお楽しみください。カウンターに言えば、猫ちゃん用のおもちゃの貸し出しや、お菓子もありますので」

「「ありがとうございます」」


 ふむ。おもちゃにお菓子か。

 あとで頂くとしよう。


 すでに沢山のお客さんが猫と遊んでいたが、ちょうど人をダメにするクッションゾーンにいた人が帰って行ったので、そこで俺達も猫と触れ合うとしよう。


「私、おもちゃ借りてくるね~!」

「おーう」

 

 荷物を置いてすぐに小走りで行ってしまった。


「むっ」


 ふてぶてしい猫がドスンと人をダメにするクッションの上に腰を下ろした。


 その姿、まるでこの猫カフェの首領(ドン)だ。


 ギラッと輝く目が合う。


 何だ、この人の心の奥底を見通すかのような瞳は。


 目を離したいと思っていても、離す事が出来ない。


 しばしの間、睨み合いが続く……。


「ニャァア……!」


 そして、低いにゃあと共に猫が歩み寄って来た。


 一瞬、驚いて身構えてしまったが、そのまま俺の膝の上に乗って来た。


「あら。珍しいですね、ジェーが懐くなんて」


 店員のお姉さんが話しかけて来た。

 そんなに離れてなさそうなので、一つ上くらいだろうか。


「ジェーっていう名前なんですか?」

「ええ。Genevieve(ジェネヴィーブ)なので、略してジェーってみんなが呼んでるんです」


 何故、そんなに長い名前に……?


「この子、実はこの猫カフェで一番長く勤めてるんですよ」

「へえー。だからこんなに貫禄あるんですね」

「ふふっ。そのせいですかね、新しく来た猫達を子供の様に扱ってしまうんです。だから、中々友達を作れなくて」


 あー、なるほど。

 年長者あるあるだな。


「お客さんのところにも行かずに、大抵は遠くから猫達を見守ってるんです」

「何か、公園デビューする息子を心配する親みたいですね」

「あははっ。確かにそうですね! 例えが的確ですね!」


 店員さんはツボにはまったらしく、お腹を抱えるほど笑った。


 それから笑いが収まった様で、少し涙目になりながら


「お客さん、面白いですね。よかったら今度一緒に――――」

「ゆう君、お待たせ」

「――――へ?」


 いつの間にか胡桃が帰って来ていた。

 

 片手には猫じゃらしを持ち、服には猫の毛が沢山付いている。


 ……途中で寄り道して猫と遊んできていたな。


「あ、えと、あそうだ! 私、仕事があったので失礼しますね~」

 

 そんなに急いでいたのか?

 それにしては長い事話していた気が……。


 すると胡桃からゴゴゴゴ…………と殺気が放たれた。


 え、何でこんなに怒ってるの?


「もう! ゆう君……?」

「え、何でそんなに怒ってるの?」

「……はあ」

「だから何で!?」


 結局、答えてはくれずに胡桃は隣に腰を下ろした。


 胡桃は頬を膨らませて、まだ怒っている。


「ニャアア…………」


 何故かジェーにまでため息を吐かれた。


 解せぬ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

「胡桃可愛い!」「ジェー!」「お姉さーん!」「続きが読みたい」

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