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しっかりと一晩かけて私は書き記しておく書類の草案もしくは下書きを作って宿屋の食堂で朝食を手にしながらカイトに言った。
「婚約者らしくデートをしようよ。誰から見ても恋人同士で羨ましいと思えるような観光地デートしよう。あっ、すみませんお水もらってもいいですか。」と定員さんを呼び、近くに来た所で定員さんを見て声をかけた。
「ねえ、結婚を家族に反対する人がいる時に教会に相談に行ったら結婚できる方法があるって聞いたのだけど貴女は知ってる。」お水を渡してくれる彼女に聞くと
「私は体験してないけれどそんな話を聞いたことあります。教会でそういった方用の書類があるそうですね。」と言って聞いた話を教えてくれたので
「ありがとう。助かるわ。」と言ってチップを握らせる。すぐにカイトに
「デートに行ってから教会に相談に行こうね。」と私は言って微笑んだ。
人が多い観光地を一緒に笑顔で手と手を繋ぎ時には肩を寄せ合って何か有ると私がカイトに抱きついたりして過ごして観光地デートをしっかりと過ごしてからドラァイの教会に相談に行った。
デート中のカイトは微妙な表情をしていた。
ドラァイの教会でお祈りしてお布施を渡してから相談に乗ってもらえるお時間があるのかを確認してもらう。
結果として家族の承認が得れるなら承諾書をもらえば結婚できるし反対されたら駆け落ちで結婚する制度があるので反対意見なんて気にしなくてもいいことがわかった。
でも、家族が他の相手を結婚相手に選んで承認を得るとそれを取消しての結婚は大変だという事を教えてもらった。
まずは教会に誓約書や承諾書を預けて置くことができるのでそれの準備、本人確認で見せた私のギルドのタグから商業ギルドと薬師ギルドにも預けておくと良いとアドバイスを貰った。
財産が多少でも発生するのでその管理で揉める事があるそうだ。
嫌な話だが結婚や亡くなった時によくあるそうだ。
兄が勝手に結婚相手を押し付けてくるから困ったと言う私の話からその事を思い出したようで教会の方であった似たような例を参考にしてその時の対策を私達にも教えてもらった。
私が少し席を外し戻る時に少し聞こえたのが対策の話で一緒にいた1人のシスターにカイトが
「対策とかして罠にかからないようにと言うけど罠にかけようとしているみたいで本当に俺と結婚したい思っているのかが不安なんですが、他の方から見て彼女は結婚したいと思っているように見えますか。」と聞いています。シスターは
「たぶん話を聞いた感じ彼女さんも不安なんじゃないですか。貴方と結婚を考えていたのに。話の通りだと結婚相手が別の人に変わってしまい更にお金の為に自分だけ働かせられる。そんな人生なんて誰が考えても嫌ですよ。本当に嫌だったら貴方とも結婚しないです。」と話しているのが聞こえたのですぐに部屋に入れなかった。私は話が終わったところで勢いよくドアを開けて聞いてない振りで声をかけた。
「ごめんなさい。おまたせしてしまってどこまで済みましたか。」と部屋に入った。
「ほとんどの作業が終わってますよ。他のギルドに届ける書類がまだなのでこちらを書いてから届けてもらうと終了です。」とシスターが言った。私が書類の記載する欄を見ていると
「既に婚約の書類の受理は完了していますから、もしよろしければ結婚は2年後ですが書類を預かったのもご縁ですので祝福を授けさせていただいてもよろしいですか。」と最初に相談した男性から声がかけられた。
「ありがとうございます。お願いします。」とカイトが言って私も同じように
「お願いします。」と伝えた。シスターが一度部屋を出て何かを持って来た。
書類が終わったカイトの服の胸に花を付け私にベールを被せて神さまの本からお言葉をいただき祝福をしていただいた。
「おめでとうございます。2人が夫婦として歩まれる事を見守ります。」と言われて
「「ありがとうございます。」」と2人でお礼を言った。シスターが
「今後ともお幸せに。お2人でしたい事やどこで住んで何をしたいとかそういうのは決めているのですか?」と聞いて来た。私はカイトを見て
「特に決めてないけど私達は同じ廃村の出身なので一度は両親のお墓参りに行きたいかな。村で過ごしたようにのんびりと暮らしたいかな。カイトはどう思う。」と言った。
「ずっと行ってないから確かに行きたい。時間を取って準備をしてなら行けなくもないかな。その辺は宿屋に戻って話そう。」とカイトが言った。
「よかったですね。2人のしたい事があってそれに向けて話し合っている姿が仲睦まじくて羨ましいです。このままお幸せにね。」とシスターが笑顔で言って見送ってくれた。