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私はどうしてもお姉ちゃん達(お兄ちゃん以外)が気になってこっそりと見に行きたいと我儘を言ってみた。
うちの番犬はくっついてお願いすると耳を赤くしてだいたいのことは叶えてくれる。
すると今のペースでツヴァイに行こうとなった。
ツヴァイに着くまでにお姉ちゃんを呼び出すか何か方法を考えて会いに行こうと言う話になった。
移動が決まったのでいつものように薬屋さんに行って手紙を頼むとそこのおじさんが手紙を受け取って
「ドラァイで薬屋さんの研修が近いうちにあるから急がないならそこで渡してあげるよ。それだったら料金要らないよ。」と親切に言ってくれたのでお礼に消毒のアルコールを余分に買った。
ついでに研修がいつどこであるかも聞いておいた。
お姉ちゃんが来るとは限らないし、お婆ちゃんかもしれないけどドラァイに先に行って情報を集めようと依頼は受けないですぐに乗り合い馬車でドラァイに向かった。
ちょっと急ぎ過ぎて私の髪が犠牲になった。
髪を見た番犬が顔をしかめていた。ちょっとめんどくさい状態だった。
お姉ちゃんやお婆ちゃん達のお土産を道中のお店で買ったり、私には甥っ子や姪っ子がいたので可愛い服や雑貨など買ってみた。
番犬が寂しそうにするので夏に首周りを冷やせる細いスカーフを買ってあげた。
そのうち氷魔法ができるようになったらもっと涼しくしてあげよう。
ドラァイに着いたら観光の恋人同士のお客さんらしくちょっとオシャレな宿屋を取った。
宿屋の方に見所や混み具合や特産品を聞いて研修後の観光があるかなぁと想定して考えた。
薬屋さんにも行って買い物もして来た。ここはポーションも扱っていたので安いのを補充しておく。
薬屋さんにも見所を聞く。誰にでもお勧めの場所がある良い町のようだ。
薬屋さんの研修のこともその流れで聞いてみると薬師ギルドで講演会タイプの研修で薬師なら誰でも参加できるそうだ。
冒険者ギルド、商業ギルド、薬師ギルドの依頼を見に行く。
1人だとめんどくさいことが起きそうなので番犬を連れて行く。
ギルドに研修に関係したものがあるのか確認できなかったので当日は近くのお店巡りをすることにした。
朝から営業している飲食店にお勧めのお昼のお店や研修で来た人が泊まる宿屋の近くのお店を探しておいて当日巡る順番を決める。
研修が終わってから飲食店を巡ると食事会をしている薬師ギルドの関係者に会うことができた。
飲食店を探すと薬屋さんのお婆ちゃんを見つける事ができたので近くに行くことにした。
周りの様子を見てお兄ちゃんやお姉ちゃんがいないことはすぐにわかったので堂々と2人で近付いていく。
薬屋さんのお婆ちゃんは少し驚いていたが私はメモを渡して時間があったら連絡が欲しいと伝えてすぐに立ち去った。自由な感じの交流会だったので私達が飲食店に紛れ込んでも大丈夫だった。
次の朝早い時間に薬屋さんのお婆ちゃんが宿屋に来たとの連絡があった。
今から準備ができたら朝食のお誘いをしたいとのことだった。
朝の挨拶をして3人で宿屋の朝食を囲む。
朝食に私の苦手な白身が生の所がある半熟の目玉焼きがあったので素早く隣のお皿に入れる。
デザートの苺が付いていたのでその器もお隣さんへ置くと野菜サラダが替わりに空いた所に来た。
何事もなかったように私達が食事を始めるのを見て薬屋さんのお婆ちゃんは
「2人とも相変わらずだね。側から見ると仲良しの新婚さんにしか見えないよ。」と言って笑った。
「私達は恋人同士の設定でここにいるからちょうどいいかな。」と私が言ったら
「本気で対応してくれないと困るから。」番犬に叱られた。ごめん。私は役になりきってなかった。
「私とお兄ちゃんとのことをどう聞いているかとかお姉ちゃんの様子とか知りたかったから連絡したの。忙しいところにごめんなさい。できたらいろいろ教えて欲しいの。」
と聞いたら薬屋さんのお婆ちゃんは優しく諭すように
「まず、わたしゃあんた達の味方じゃ。あんたの姉ちゃんもそうじゃ。あんたの兄ちゃんが勝手過ぎたと思っておるのじゃ。最後の見合いの話なんて最低じゃよ。あんた達2人の仲を裂こうとしてるんじゃないか。わたしゃずっと見て来て本当にあんた達はお似合いだと思っていたんじゃ。わたしゃ2人が成長するのをずっと見て来たのじゃ。それを他の人の意見も聞かずに勝手に行動してみんなを振り回して本当にあんた達も大変だったのじゃ。」と言った。
「2人の仲って何かしら。お婆ちゃんお姉ちゃんは元気?お土産があったんだ。部屋に取りに行くから待ってて。」と言って残っているおかずを隣に渡して私は急いで席を立つ。
「すみません。現実逃避してて恋愛方面は特にダメみたいです。ちょっとずつ俺を認識しているかもと言う感じです。」と言う声が聞こえるがそのまま部屋にお土産を取りに行った。
朝食が終わってテーブルにはお茶が出されている。
私は2人が何か話し合っていた所に戻りお土産を渡した。
薬屋さんのお婆ちゃんが
「いろいろ聞いたし、話したんじゃ。姉ちゃんは元気にやっているのじゃ。もちろん家族もみんな元気じゃよ。また、みんなで会えるように手伝うかね。ツヴァイの薬屋さんに知り合いがいるからそこに頼もうかね。薬師の腕が落ちない程度に薬は作るんじゃ。まずは準備じゃな。」
と言って薬屋さんのお婆ちゃんは私の隣の人を見た。