はじまり
死んだもん勝ち
右の脇腹に痛みが走る。でもこの痛みにはもう慣れた。毎日毎日、何度も何度も殴られ叩かれ、物は飛んでくるわ、心ない言葉が降ってくるわで、もう呆れて笑うしかない。こういう人生もあるもんなんだなと世間を知った後では、現実を受け入れるくらいしか出来なかった。
優は、今年で十五になる。最近では隣に住んでるおばちゃんに
「やっぱあんたいい骨だねぇ」
なんて褒めてもらえる。優がここに来たのはかれこれ一年ほど前だが、前より断然楽しい。
心から思う。死んでよかったと。
ことの始まりは、優が中学に上がった時だった。優に弟ができたのだ。虹という名前の可愛い弟は両親を虜にした。もちろん優も虹のことが可愛くてたまらなかった。だから、勉強の合間に虹と遊んだりしていたのだが、両親はそれが気に入らず優を叩いた。今まで叩かれたことなかったの、訳のわからないことでいきなり叩かれ、優の中で両親はすっかりトラウマになってしまった。それから両親は、まるで優を悪役のように扱い始めた。虹に触れることはもちろん許されなかったし、虹の部屋に入ることも許してもらえなくなった。そして十五の夏には、自室に閉じ込められ、ご飯もろくにもらえなくなった。部屋から出ていると、暴力を振るわれるし、聞きたくない言葉がたくさん降ってくる。今日は水を飲みに行こうとしたら母親に見つかり、いつものように拳が降ってきた。そして今はやっとのことで部屋に戻ったところだ。少し痛む脇腹を押さえながら眠くなるほど暖かい部屋で優はゆっくりと眠りについた。
眠りながら優は考えた。俺の何がいけなかったのか?どこで親の地雷踏んだ?虹に触ったことか?それとももう可愛くないからか?何がいけない?お前らの子供なのは俺も虹も変わらない。なのに…なのに…
優は考えるのを辞めた。もう考えなくてもいいと思った。こんな日々も今日で終わりだ。
初心者なので一回一回が短いかもしれませんが大目に見てください。
ジャンルとかよくわかんないまま登録してるのでなんかあったら教えてください