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黒ローブの男

食事を終え、カインさんが見張りで俺は寝ることになった。いざ寝るとなると数カ月ぶりの睡眠で眠りにつくまでに一秒もかからなかった。


朝焼けで目を覚ました。


「おはようございます、カインさん」


「おう、起きたか、じゃあお前さんの村に向かうとするか」


カインさんが先頭で俺達は歩き始めた。


「止まれ、なにか来るぞ。ゴブリンだ、俺が殺るお前はここにいろ」


しゃがみ状態でゴブリンに近づくカインさん


「おらぁぁぁ!」


ゴブリンを斬りつける音がしてカインさんが帰ってきた。


「良かったぜ。ここであの強個体が出てきたらどうしようもないからな」


強個体とはなんだろうか? 分からないが関わったら駄目のようだ。


「おい! エルビス後ろ!」


カインさんの鋭い声に反応して、背後見ると欠けたナイフを持った黒い魔物が俺の首から腹にかけて剣を振り下ろした。


「エルビス大丈夫……か。なんで怪我してないんだお前」


「GYAGYAGYA」


再びナイフで切りつけてくるゴブリンの攻撃を避け破壊属性を付与した足でゴブリンの心臓部分を蹴り上げた。ゴブリンは心臓を破壊され息絶えた。


「お前強かったんだな……そりゃそうか普通のこどもが半年間生きてるわけがねぇお前は何者なんだ?」


「すみません。ちょっとわかりません。記憶がないので」


とっさに、嘘をついた。精霊の泉で半年間溺れてましたなんて言うわけにはいかない。


「そうか……溺れた時の後遺症か? 今の蹴り的確に心臓を蹴り上げて心肺停止まで持っていった。その技術普通の環境で手に入るもんじゃない。相当過酷な訓練をしたんだろうな」


違います。スキルの力です。


「あの、ナイフの攻撃を無効化したのも、その技術によって培われた回避技術とかなんだろうなすげーよ」


違います。すみません、そんなキラキラした目で見ないで下さい。スキルの力です。


「取り敢えずその技術があればなんとかなるな。なぁエルビス、マルの村に向かう途中少し寄り道していいか?」


「え、いいですけど」


「そうか。じゃあ俺の短剣を貸すからこれで魔物を殺ってくれ」


「え? 俺が殺るんですか? 6歳児に何を……」


「大丈夫だ。さっきのお前を見てればこっちも安心できる。昨日言ったろ?怪しいやつがいるって、そいつの討伐だ、報酬は一部渡すからどうだ?」


「わ、わかりました」


カインについて森の奥へどんどん進む。陽の光を木の葉が覆い隠し大分暗い。


「少し待て」


カインがしゃがみ土を調べている。かなり集中しているようだ。だから目の前から来ているゴブリンの集団に気がついていない。


俺は、ゴブリンに向かって走り、手に持ってナイフで首を切る。血を吹き出しゴブリンは倒れた。その音でカインさんが気がついたらしい。剣を構える音がした。


「エルビス! 今助けるぜ。おらぁぁぁ!」


カインさんはゴブリンを一刀両断する。そのまま剣を横薙ぎに払いまとめて敵を薙ぎ払った。


「ふぅ、助かったぜ。でもな、戦う時は先に突っ走るんじゃなくて俺に声をかけろ」


「はい、すみません」


「おう、じゃあこっちだ。目的地は近い」


カインさんが向かったのは洞窟だった。中には黒ローブの男がいた。


「動くな、お前は、完全に包囲されている」


「ヒャハハ、ガキ連れが何言ってるでしょうか? 私を捕まえたいなら私を倒すんですね!」


ありえないほど早い速度で黒ローブはこちらに走ってきた。そして俺に向けて剣を刺突してくる。剣は脳天に直撃した。


「いてぇぇ」


とっさに蹲った。黒ローブの男は驚き後ずさる。


「ば、馬鹿ななんで生きてる。お、お前はバケモノなのか!」


「へへっうちのエルビスはそんな、へなちょこ刺突じゃ倒せないぜ。内心焦ったけどな!」


それは堂々というべきことではない。


「こっちの番だ! おらぁぁぁ!」


カインは大剣を振り上げオーブの男に振りかぶる。だがあっさり回避され蹴り飛ばされた。


「カインさん!」


「大丈夫だ! 気にするな。それよりやつをなんとかしろ」


カインさんに従い黒ローブに近づき彼の攻撃をギリギリ避け彼の足を破壊属性を付与して蹴った。


「ぐおぉぉぉ貴様何をした。クソ! ここは一旦離脱させていただく」


黒ローブは煙幕を巻いた。


「逃がすかよ!」


カインさんが剣を煙幕に振ったが掠りもせず煙幕が消えた頃には何もいなかった。


「クソ、逃したか、洞窟内のものも綺麗サッパリ無くなってやがる。仕方ねぇ、エルビスを村に送り返すか」


カインさんに連れられ村の方に歩き始めた。


「それにしてもお前本当に頑丈だな。流石に死んだと思ったぞ」


「俺もそう思いました」


「そういや、エルビスには魔法の才能はあるのか?」


「はいあります。まだ使ったことはありませんが」


「そうか……じゃあ将来は魔術学校に行くんだな?」


「え? 魔術学校なんてあるんですか?」


「おうともよ。お前は絶対に強くなる。Bランク冒険者の俺が太鼓判を押してもしょうがないかもしれないが間違いねぇよ」


彼の言葉はオレの心に強く残り続けた。魔術学校いいかもしれないな。


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