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神戸の星

神戸アラベリオスは、IT企業好天のオーナーが買収し、今ではJリーグ1の資金力を持つクラブだ。

スタメンには元スペイン代表やドイツ代表プレーヤーが顔を並べJ屈指のタレントを誇るチームである。

そんなアラベリオスの練習場は神戸市の郊外にある。


「月刊クラッキの愛原さんですか?」


クラブハウスに着くと、初老の男性が人の良さそうな笑みを浮かべながら、握手を求めてくる。


(このスポーツ界の握手する習慣って慣れないな)


こう見えて23歳の女子である。

イケメンスポーツ選手ならまだしも、脂ぎったおじ様達との握手は正直遠慮したいところだ。


「初めまして。光山です。」


慣れた手付きで名刺を差し出され、誘導されるようにそれを受けとると、慌てて自身の名刺を探す。

バックの中の名刺入れを見つけると、光山とは違いぎこちない手付きで名刺を差し出す。社会人となって二年目になるが、中々このやり取りには慣れることが出来ない。

あの然り気無い仕草を出せる人間には憧れを抱いてしまう。


「今日は荒川の取材との事でしたね」


「あっ。はい」


渡された名刺に目を通していた所に声を掛けられ、慌てて返事を返し、チラッと見た名刺を再びしっかりと見る。

そこには、


代表取締役社長

光山 春樹


と書かれていた。


「大変失礼をしました。光山社長」


取材を申し込んで、相手の社長の名前も知らなかったなど、記者として恥以外の何物でもない。

事前にそのくらい調べとけよと、言われてしまえば返す言葉もだすことは出来なかっただろう。

穴があったら入りたいといった風に恥じる私を見て、光山は微笑みながら、


「見えないでしょ社長に。よく気づかれないんですよ」


と、然り気無いフォローを入れる余裕を見せてくれ、握手嫌だななどと、本当に失礼だったと、改めて反省させられる。


「それで、荒川の取材なんですが、荒川は今、ユースの練習に出てるんで」


ユースの練習場に行きましょうか。と、にこやかに促され、私は光山社長と共にユースの選手が練習しているグラウンドへと向かった。

そこに、圧倒的な存在感を漂わせ神戸の星はプレーしていた。




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