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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第一章「猫テンチョーとコンビニ……異世界に建つっ!」

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第十三話「かくて、異世界の夜は更けゆく」①

「……いやはや、配送に来たらびっくりしたわ。誰も出迎えに来ないと思ったら、テントの周りで、大勢の人達が突っ伏してるし、高倉オーナー達もカレー皿抱えて、ブツブツうわ言言っとるし……確かに、こりゃトリップしても不思議じゃないくらいには美味いね! 驚きの美味さってやつじゃないっ!」


 ……あれから、何がどうなったかよく覚えてないのだけど。

 気がついたら、和歌子さんに揺り起こされていた。

 

 なんでも、食堂のテントの外は死屍累々の有様だったとか。

 美味すぎて、気絶するってどんだけなんだか。

 

 サントスさん、まさに悪魔の所業だった。

 味については、もうちょっとデチューンするそうな……うん、多分それで正解。

 

「すまないね。和歌子さん……おかげで搬入が随分遅れちゃったし、長々と足止めさせちゃったよね……って、何ビールなんて飲んでるんだよ! 和歌子さん、帰りも運転するんだよね?」


「はーはっはっ! こんだけ美味いカレー食って、飲むなとかそっちが酷って思わない?」


「……思いませんっ! そんな飲んじゃって、どうやって戻るつもりなんだよ! 飲酒運転はご法度だよっ!」


 言ってる矢先から、更に目の前でビールの残りをゴキュゴキュと一気飲み!

 プハァと酒くらい息が顔にかかる。


「……大丈夫だって! 明日は休み……今夜はここに泊まっていくつもりだったから、運転もしません! そう言うことでよろしくー!」


 ……はい? まぁ、酒飲んでる人を解ってて、車に乗せると飲ませた方も同罪ってなるから、アルコール抜けるまでは何が何でも運転させるつもりはなかったんだけど……。

 

「……泊まるってどこに?」


「オーナーの家。要するに二階。昔だって、何度か泊まってったじゃない。勝手知ったるってとこよねー」


「……そりゃ、別に構わないけどさ。うちの子達も二階に寝泊まりさせてるから、空いてる部屋なんて無いよ?」

 

「そうなの? でも要するに、今の従業員の子達って、あたしの後輩達って事よね? なら、別にいいじゃない!」


「……トラックの姉さんは、うちらの先輩なんか? でも、一緒に仕事なんてしとらんし、その理屈、いまいち良くわからんのやけど……」


「この和歌子さんは、日本にこのコンビニが建ってた頃は、バイト従業員の中で最もエライバイトリーダーの称号を持ってて、オーナーの嫁に来ないかって言われたこともあったのさ! どう? 立派に大先輩だと思わない?」


「ぶぅっ!」


 思わず吹いた。

 一緒にうっかり鼻水も出た……きたねぇ。


 隣にいたモモちゃんがうわぁって感じの表情で見てくるんだけど、近くにあったティッシュペーパーで顔を吹いてくれる。

 ……モモちゃん、優しい子なんだけど、その表情はちょっと汚物を見る感じで……直球すぎて辛い。

 

「はにゃっ! 和歌子なら、テンチョーもよく知ってるのにゃ! でも、和歌子のナデナデは頭が焦げそうになるのだにゃ!」


 超高速ナデナデ……とか言って、テンチョーは和歌子さんに頭をこすられたもんだ。

 摩擦熱で頭が熱くなるほどこするもんだから、たまにテンチョーに全力で拒否られていた。

  

「ええっ! この猫耳娘って、あのテンチョー? え? え? 何度か会ってたし、すっごい仕切ってたから誰って思ってたんだけど……。そういや、建物はそのまんまなのに、テンチョーの姿見ないなーって気にはなってたのよね……。ちょ、ちょっといい?」


 そう言って、ガバリとテンチョーに抱きつく和歌子さん。

 耳の後ろの匂いとかクンクン嗅ぎながら、何故か片手でテンチョーの胸をホヨホヨと摘んでる。

 

 ……和歌子さんの問題点。

 

 この人、男も女もどっちでもオッケーと言う所謂バイセクシュアル。

 その上、男女問わずスキンシップ大好き……つまり、事案メーカー、歩くセクハラ女なんである。

 

「う、うにゃーん……和歌子、何するにゃっ! くすぐったいにゃあっ!」


「何ということでしょう……この香ばしい香り、そして味っ! これは……間違いなくテンチョーッ! 君、どうしちゃったわけ? ね、ねぇ……オーナー……この娘、ちょうだいっ! う、うちの子にするの……実は、前々からテンチョーこっそり、あたしンちに連れて帰ったりしてたんだよね!」


 匂いと味って……そんなもんで判別するなよ……。

 確かに……たまにテンチョーが帰ってこない日があって、心配したりしてたんだけど……犯人はアンタだったのかい!

 

「なるほど、和歌子さんとしては、テンチョーがネコ娘になって、もはや最強って思ってるわけだね?」


 ……和歌子さんの考えそうな事だ。

 次なる一手は……当然、拉致監禁くらいは考えてるに決まってる!


「……そりゃそうよ! 猫の時点でも、悶絶級の可愛さだったんだから、それが美少女よ! 美少女っ! テンチョー、はっきり言うわ! このオーナーって割と変態さんなのよ? 一緒に住んでたら、あんな事やそんな事されちゃったりして……きっと酷い目にあうわっ! 最悪、妊……」


「……あんな事やそんな事ってなんだよ! 人聞き悪いコト言わないでくれるかな?」


 和歌子さんのセリフなんて、最後まで言わせてたまるか!


 けど、この時点でもう、モモちゃんの僕を見る目が冷たい……なんで、真に受けるかな?

 ミミちゃんは、純真な子なのかセーフ。


 でもキリカさん、なんで君はワクワク……みたいな顔してるのかな?

 

「大丈夫だにゃ! ご主人様とは、もうずっと一緒に暮らしてるんだにゃ! ご主人様以上のご主人様はいないんだにゃーっ!」


 テンチョーの言葉に、付け込む余地なしと悟ったのか、和歌子さんがヨヨヨと泣き崩れるようなリアクションを見せる。


 ……和歌子さんの攻撃は、主に僕にだけダメージを与えて、虚しく散った。

 

「そんな殊勝な態度しても駄目でーす! まぁ、今夜一晩くらいなら泊まっていってくれてもいいけど、和歌子さんは裏にテント張ってあげるからそこで寝てくれ! ぶっちゃけ貴女が一番危険人物です!」


 バイト女子高生相手に同性だからって、おっぱい発育チェックだの、パンツチェックだのやりたい放題やってたのを僕は知っている。

 でも、不思議と女子校のノリ……みたいな感じで、許されてたんだよな……。

 

 だが、うちの子達にそんな狼藉……この僕が許さないっ!


「……た、高倉オーナー! 良いじゃない、あたしも屋根の下がいい! こんな異世界で、うら若き乙女に布切れ一枚のテントで寝ろなんて……酷いっ! 酷すぎるわっ!」


 ……僕は知っているんだ。

 

 和歌子さんは、強盗をワンパンでノックアウトした以外にも、店内で立ち読み女子高生を盗撮しようとしてた変態さんのケツにモップの柄をねじ込んだりだの、駐車場で大騒ぎしてた一ダースはいた暴走族を全員殴り倒しただの、数々の武勇伝を誇る猛者なんだと。

 

 ゴブリンやオークなんて、ワンパンで沈めちゃうんじゃないかな?

 

 この人を襲ったりなんかしたら、絶対襲ったほうがヤバイ。

 まぁ、ケツから木の枝が生えさせられるくらいは覚悟しないとな! ムザーンッ!

 

「オーナーはん、良く解らんけど、うちらは別に構わんで? どうせ昨日と同じ様に皆で、雑魚寝すりゃええんや。なんなら、オーナーも一緒の部屋で仲良うすりゃええんやないかな?」


「そうよね! 犬耳ちゃん、話わっかるーっ!」


 ……あれ? なんで、そう言う流れになったの?


「うにゃっ! 和歌子はいつも美味しいご飯くれてたし、お泊り行った時も一緒にお風呂入ったりした仲なのにゃ! 一緒にお泊りするにゃっ!」


「なんや、要するにオーナーの身内みたいなもんなんやな! ほな、ますます外でなんて、寝させられないやんけ!」


「そうなのよね。まったく、こんな女の扱いも解ってないようなオーナーの下で働くなんて、君らも大変よね。でも、オーナー……あたしは、外でごろ寝が似つかわしいとか言ってるし、しゃあないから、言われたとおり野宿でもするわ! まさに外道の行いよね!」


 ……僕は、そこまで言ってない。

 

 くっそぉおおおっ! これだよっ! これっ!

 この妙に同性ウケがいい所と独特の姉御肌……。


 こうやって、ナチュラルに他人に受け入れられて、無条件で従うようになる生まれついてのリーダー素質。

 そして、大の男を軽くノックアウトする腕っぷしと、強盗にナイフ突き付けられても、微塵にもひるまなかったクソ度胸っ!

 

 これが、時羽和歌子と言う無敵鉄拳ヒロインの本質なのだ! やべぇ、やべぇよ!


……和歌子さんの出番は控えめにする予定です。(笑)


この人、普通に主役食っちゃう。

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