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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
最終章「全ての終わりの始まりに」

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第七十三話「日本のとても長い一日」⑤

 ちなみに、光学迷彩と言っても別に透明化してるんじゃなくて、反対側のカメラ映像を投影して、一見風景が透けて見えるようにしたってだけの代物だ。

 

 なにせ、地上戦仕様のブンチャンで、ロービジリティ装甲仕様ってのがテストされてて、「人間の目だとどう見えますかね?」とか言われてテストに付き合ったから、実はこれも知ってた。

 

 ぼんやりと向こう側の景色を映し出した看板みたいなのを背負うことで、透明みたいになってたけど、近くならもろ解りだった。

 もっとも、夜間や森の中に潜まれると、その程度でも止まってるともうまるで見つけられなかった。


 夜行性で夜目も利いて、気配察知の名人のミャウ族の子達でも、隠蔽モードを起動するとあっさり見失ってしまっていたので、もうその時点で光学迷彩としては、かなりのレベルだったのだから、それを応用して見えないおばけドローンが完成していても、別に驚かない。


 まぁ、一応夜なら懐中電灯で照らされるとそこだけは光が届かず暗く見える事で一目瞭然って欠点があるって解ったんだが。

 そんな状況むしろ、レアケースなんで問題にはならなさそうだった。 

 

 恐らく、あっちで色々熱心にやってた謎の兵器実験やらの集大成のひとつがこれなんだろう。

 アイツら、デカい3Dプリンターみたいなのをいつの間にか作ってて、現地装備も次から次へと量産してたからなぁ……。


 ちなみに、このヘリも近くだと結構解るんだけど、100mも離れるともう、何処にいるんだか解らなくなる。

 

 何より、こんな夕暮れ時に音もなく空を飛ぶ半透明の移動物体なんて、目視で見つけろと言う方が無理がある。

 レーダーにもそもそも映らないし、ローター音もほとんどしないので、堂々と東京湾の上空を飛んでても、誰も気づいていない様子だった。

 

 いずれにせよ、これの出どころは向こうの世界ってことになる。 

 まぁ、この自衛隊の新型無人兵器群を生み出した元凶が誰かってなると、恐らく僕……のような気がする。

 

 実際、ゼロワン達も最初は律儀に、何をするにもお伺いを立ててきてたんだけど、段々面倒くさくなって、人様に迷惑をかけないなら、ある程度好きにやっていいから……なんて、要らないお墨付きを与えてしまったのだ。


 それ以来、ゼロワン達はミャウ族と一緒になって、森の中の湖やら奥地の方やらまで出張って、大量のアクセスポイントを設置して、行動範囲をガンガン広げて、偵察と称して帝国に進出したり……文字通り好き勝手にやるようになったんだけど。

 

 ゼロワン達と仲の良いミャウ族の子たちの話を聞く限りは、別に悪さとかはしてないみたいだし、誰かが迷惑してるって話もまるで聞かなかったし、何より僕だって忙しかったんだ!

 

 知らず知らずのうちに、とんでもないことを仕出かしてたって気もするんだけど。

 ……別に僕は悪くない……悪くないったら、悪くないっ!


「なぁ、大倉……これは従来の軍事企業の何処からも離れた完全な独立系とでも言うべき、新技術体系の産物なんだろうよ。すまんね……稲木一佐さん。僕も事情はおおよそ解ってるから、大倉もこれ以上追求するのは野暮ってもんだから、もう余計なことを聞くな」


「お気遣い申し訳ない。おっしゃるとおり、この機体はMHIやIHI系列でもないし、アメリカ系でもないです。日本の独自開発機ではあるんですが、完全なAI設計……それも基礎設計をVRにて膨大な回数の試作設計を繰り返す仮想設計技術と言うべき、画期的な新技術を用いて設計、さらに新開発された自動制御工作機械を使って試作、ロールアウトしたと言う代物でして、実のところ……人間が開発した機体とは言えないんですよ」


「完全なAI設計生産機だって? つまり、人間が一切ノータッチで、基礎設計から生産まで全部機械がやったってのか! 馬鹿な! 今の技術はそんなところまで進んでるってのか! 確かに、あの硫黄島基地からして、SF映画の宇宙基地みたいな感じだったが……」


「そうですね……我らが硫黄島基地は今や10年どころか半世紀先の技術……そう言っていいほどには先進的な技術開発の拠点となっておりますからね。この機体についてもパイロットもなしで勝手に飛ぶ完全自律AI制御機で、無音ローターや光学迷彩にしても、どんな仕組みなのかは小官はもちろん、誰も詳しいことは理解しておりませんし、つい最近まで未来の技術と言われていたような代物でしたが、ご覧のとおりです。「しょうかく」「ずいかく」もですが、いよいよ「空牙」までもがお披露目しているようでしたからな! 些か予定より早かったとは言え、我々の本領発揮と言ったところです」


「ああ、中露の偵察機相手に無双したって言ってた奴か……。無人の艦上戦闘機なんだっけ? もう、なんでもありだな……あれって、出して良いものだったのかなぁ……」


「はははっ! さすがに、この四面楚歌のような状況では出し惜しみしている場合ではないですからね。たまたま日本海に両艦が試験航行中だったので、「空牙」もぶっつけ本番での実戦投入となりましたが。抑止力として十分に機能しているようですな」


「たまたま……ねぇ」


 前々から、新型の戦闘艦艇がボコボコ配備されてたし、海上で海自所属の無人空戦ドローンが領空深く侵犯していた国籍不明のドローンを撃墜したとかそんなニュースも流れてたし、この様子だと海自も鹿島さんあたりと繋がってたんじゃないかなぁ。


 実際、ドローン母艦とは言え帝国海軍の「翔鶴」「瑞鶴」の名を関した艦艇を出してきた時点で、思いっきり硫黄島の無人兵器軍団に取り込まれてしまってるんだろう。

 

 確かに、護国の鬼共と帝国海軍の末裔とは相性も良さそうだし、空牙なんてネーミングももろ旧軍系だしなぁ……。

 そもそも、硫黄島の管轄も航空自衛隊は入間基地の出張所みたいなのがあるだけで、陸自も不発弾処理部隊を派遣してる程度で、ほぼ海自が仕切ってて、現状も島の上の飛行場やオンボロな建物もそのまんま。


 全周ほぼ砂浜って地形で、港湾施設を作るのにはあまり向いてない島ではあるんだけど、いつのまにか広大な砂浜に立派なドック付きの港湾施設を作ってて、乾ドックに偽装した地下秘密基地へ繋がるトンネルまで作ってて、地下施設なんてもうSFの宇宙基地そのままみたいな感じだった……。

 

 なんとなくなんだけど、空母と無人機あげるから、アメリカも空自も追い出して、硫黄島を開発拠点にさせろって、海自と交渉してそんな感じになったっぽいな。

  

「ふむ、どうかされましたかな?」


「いや……偶然にしては出来すぎかな……と思ったんだが。どうなんだ?」


「そうですねぇ……。異世界の帝国がスライムを使って、日本を攻撃していると言う情報は、一般には伏せられていましたが。アメリカはもちろん、中露なども知っていたようで、日本海方面では海中ドローンや長距離ドローンによる浸透偵察が日常茶飯事になっており、その対抗戦力として「しょうかく」と「ずいかく」が佐渡ヶ島を拠点に以前から対ドローン戦を繰り広げていましたからね。その流れで前々から試験航行と称して、日本海に張り付けていたんですよ」


「なるほどねぇ……そう言えば、アンタは陸自所属なんだっけ?」


「以前はそうでしたが、今は海自……それも先進兵器開発局の地上戦闘教導隊の所属ですね。陸戦ドローン達に地上戦闘を教える教官アグレッサー役で、部下たちも似たようなものですよ」


「海自が陸戦って、それどういうこと?」


「本来ならば、島嶼奪還や防衛戦は海自の仕事ですからね。元々、この「SHINOBI X4」も「しょうかく」と「ずいかく」の艦載機として設計されており、降下揚陸戦も視野に入れていたんですよ。今回の状況はまさにうってつけ……備えあれば憂いなし。まぁ、そう言うことです」


 なるほどねぇ……。

 このSFヘリみたいにバカ高い技術力があるにも関わらず、陸や空は割と旧態依然で、海だけ突出してて、やたらと明暗分かれてる印象だったんだけど。

 

 この様子だと、海自と戦闘機械連中の間で取引みたいなのがあったのか、或いは、始めから海自用の装備として、研究開発を進めてたか。

 

 まぁ、確かに日本を守るとなると、上陸されたらもう負けと考えて、海と空の守りを固めるのがベストであり、空母なんかにしても艦載機の所属をどっちにするかとかで揉めてたくらいで、空自と海自の不仲は結構有名な話じゃああるからな。


 それに、海の上に出たら、何やってるのかなんて、簡単には解らないから、機密保持に関しても、陸暮らしの連中に比べたら断然楽だろう。

 必然的に、コラボ相手としては海が最適って考えたんだろう。


 そして、海自にしても空母に無人艦載機、無人艦艇特盛あげるなんて言われたら、喜んで手を結んだ……多分、そう言う構図なんだろう。


「そうなると、僕のところに来てたゼロワンなんかも、元々海自の系列だった……そう言うことかな?」


「さぁ……そこまでは小官も解りかねますね。それより、どうでしょう……本当に当機は実に静かなものでしょう? 本日は、本番の実戦投入と言うことで、スモモ……パイロットAIも随分と張り切っておりまして、あまりに騒々しいので、コミュニケーション機能をオフにさせたので、至って静かなものですよ。はははっ」


 あ、笑って誤魔化した。

 まぁ、いいか……別に追求するようなことじゃないし。


 確かに、ヘリに乗ってる割にはものすごく静かで、遠くの方から冷蔵庫のコンプレッサー音みたいなブーンと言う小さな音やキーンと言う高周波音が聞こえてくるだけで、ものすごく静か……確かにスゲェ技術だよな……これ。


「ああ、そこは解るなぁ……。ゼロワンとかも、ほっとくと延々喋り続けたりするからなぁ」


「ええ、AIと言っても、普段は人間のように調子の良いおしゃべりをしたりするので、慣れない頃は戸惑いましたが、硫黄島にいるともう嫌でも慣れますからね。慣れるとあれはあれで、可愛げあると思えてくるので、なんとも不思議なものですよ……」


 そう言って、苦笑する稲木一佐。

 

 なんでも、少し前から硫黄島は、元々海自管轄の絶海の孤島で、自衛隊や政府関係者以外誰も訪れない事を良いことに、秘密兵器開発基地みたいになってたそうで、稲木一佐とその部下達も新開発されたばかりのパワードスーツ降下兵として、帝城への降下作戦の露払いを引き受けてくれる手はずだった。


 なお、指揮官の稲木一佐以外の壁際に座っている6人の兵隊は、微動だにせずに沈黙を貫いており、こいつら実はロボット兵なんじゃないかって疑うほどには静かだったし、名前なんかも一切聞いてない。

 

 そして、帝城への降下作戦は、海自の護衛艦隊と陸自の対艦ミサイル部隊、それに加えて自走砲部隊による一斉集中砲火による事前警告なしでの第一次攻撃直後に決行される予定だった。


 本当は、空自のF2辺りでの対艦ミサイル攻撃も加えたかったらしいんだけど、いくつかの空港が使い物になっていないのと、対ロシアシフトで北海道方面に回しているとかで、陸海だけでやる方針になったらしい。


 いずれにせよ、そんな盛大な援護射撃で見送られるとかそれもどうなんだって、思うんだけど。

 

 一次攻撃の開始日時についても、ご丁寧に情報公開しているようで、体の良い軍事パフォーマンスのようなものでもあり、米中ロやらEUの偵察衛星や超高空偵察機あたりが揃い踏みでの高みの見物と洒落込むだろうし、そうやって耳目を集めた中で、大帝を無力化した上で、帝城を地に落とし、衆人環視の上で完全無力化を宣言する事で、米軍の鉾を引かせる。


 どうも、そんなシナリオらしい。

 もちろん、この第一次攻撃であっさり帝城が落ちて、大帝の死亡が確認されれば、それはそれで良し。


 この場合は、完全勝利シナリオと言うべきで、僕らは黙って、ズコズコと僕らの世界に帰還するまでの話。


 別に僕も大倉も救国のヒーローになりたいなんて思ってない。

 誰かがやらないといけないと思ったからこそ、この役割を引き受けたのだ。

 

 まぁ、どのみちそんな通常兵器をいくら叩き込んだところで帝城は落ちないだろうというのが大方の予想だった。


 なにせ、帝城自体がその下半分は巨大な岩盤をそのままくり抜いたようになっており、その総質量はとてつもないもので、地下要塞破壊用兵器や、それこそ核でも撃ち込まないと破壊し尽くす事は出来ないと目算されていた。


 もっとも、真っ当ではない方法ならば、可能らしい。

 そうなると、核兵器だのSF兵器みたいなのを使ってって話になるらしいので、それはそれでパラダイムシフト待ったなし。

 

 世界の変革、パラダイムシフトはもう嫌が応にでもやってくるけど、それはもっとゆっくりと時間をかけてなされるべきで、劇薬を使った強制的な世界変革は要らぬ混乱と戦乱を生むばかりで、誰も望むところではない……だからこそ、向こうの世界の第三勢力として帝城を攻略し、大帝を討つと言う僕の提案が通った……少なくとも僕はそう考えている。


 なにせ、そう言うことなら、この戦いは異世界人同士の戦いだったという事になり、日本はそのお手伝いをしただけで、別にどこかと戦争やってたわけじゃないよって言い訳が通るからな。

 

 大倉の話だと、上のお城や建物はただの飾りのようなもので、本命は地下迷宮のような構造の地下エリアで、内部は複雑極まりない構造になっていて、最深部に大帝の居室があるという話だった。

 結局、空中城塞の機能を停止させるにせよ、大帝を始末するにしても誰かが直接乗り込まなければならないことには変わり無い。


 けど、そんなラスダンみたいなところの最深部にまで殴り込んで、生きて無事に帰れるか……そこは、なんとも微妙なところで、稲木一佐やその部下達は片道切符上等の覚悟で乗り込んでいるとのことで、彼らについては例え戦死したとしてもその事実は闇に葬られて、その名もその存在自体もなかった事にされ……葬儀どころか墓標すら立てられることもなく、全て闇の中に消える……そう言う事になってるらしい。


「テンチョーさん、見えますかぁ? 海の上に夕日が沈んでいってますよぉ。あれは日本の山ですかねぇ? とっても大きいし、とってもキレイですねぇ。うふふ……」


「にゃおーんっ! にゃむにゃむ!」


「あれが富士山なんですか? へぇ……確かに日本の雑誌で見たことありますね! そんなものより、あの綿あめみたいな雲が気になりますねぇ……え、とっても美味しそう? 確かにそうですねぇ……うふふっ!」


 ……そんな悲壮な覚悟や盛り上がりを他所に、隅っこの方では迷彩服を着たトンガリ耳の三つ編みお姉さんとその豊満な胸に抱きしめられた赤いスカーフを首に巻いた黒猫が壁に吊るされた小型モニターにへばりついて、のんびりとした嬌声をあげていた。

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