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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
最終章「全ての終わりの始まりに」

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第七十話「対応コード101」④

 例えば、あの時アメリア司祭が抵抗の上で逃走を図ったのではなく、自ら進んで投降し、その上で、聞いても居ないようなことをつらつらと並び立てて、命乞いをしたのだとすれば?


 アメリア司祭とは会ったこともないんだけど、サトルくんやレインちゃんの話からすると、決して最前線に出てくるようなこともない、陰湿かつ、自分の興味と欲望に忠実なマッドサイエンティストのような人物……そんな印象だった。


 だからこそ、そんな彼女が見たこともない未知の敵……戦闘機械に遭遇した上で、命の危機に際して何をするのか……?


 むしろ、嬉々として降伏……恐らく、そんな風になったとしか思えない。

 そして、見敵必殺モードの戦闘機械にとっては、そんなケースは想定外……当然ながら、本国へ確認。

  

 対スライム用の毒を開発し、スライムと帝国を滅ぼす事に執念を燃やしていた異世界の研究職ともなれば、日本にとってもその利用価値は計り知れないし、案外本人が熱望した……そんな可能性だってある。


 かくして、その身柄を確保した上で、日本へ送り返した荷物に紛れて移送するよう極秘命令を下した。


 その上で、日本で空気感染型の生物兵器を完成させた上で、こっそりゼロワン達にばら撒かせた……。

 あくまで、憶測なんだが……鹿島さん達のやり口やアメリア司祭の人物像からすると、そんなシナリオが容易に見えてくるのだ。


「そうだな……。僕もこの件からは完全に蚊帳の外だったよ。まぁ、それどころじゃなかったってのが正確なところかな」


 いかんせん、僕もあちこち飛び回っていて、ゼロワンの監督どころじゃなかったのだ。

 

 とにかく、ほっといても何の支障なく動いていたようだし、飛行目的も帝国領内の偵察だと連中も言い張ってた。


 こちらも、ゼロワンは何もせずに帝国軍にその姿を見せて、あちこち飛び回っているだけでも十分な抑止力となると考えていたからね。

 

 ひっきりなしに出撃していったり、子機みたいなのをジャンジャカ完成させていても、それで帝国の村や街に無差別爆撃とか無茶やってたような事もなく、僕としても定例の偵察行程度だと認識していたんだ。


 そもそも、付きっきりで二十四時間監視していた訳でもなかったので、妙な装備品を作っていてもわざわざ用途を確認する事もなかった……なんせ、どれもこれもワケわかんねーんだもんっ!


「……正直なところ、なんとも複雑な気分なんだが。大帝がブルって思考停止して、スライム共がまとめて消えたことでの大帝の権威が失墜。そして、俺達反大帝派の躍進……それも全部日本からの援護射撃のおかげだったってことかよ……。これは、喜ぶべきか、はたまた踊らされていたって憤るべきか……。確かに、やたらとスムーズに話が進んだってのも……確かなんだがな」


 さすがの大倉も複雑な様子だった。

 確かに、大帝が震え上がって、フリーズしたところを見計らったように、たまたま起きた対スライム生物兵器によるスライムの大量死。


 反比例するように、反大帝派が踊りでた……これは、そう言う構図なのだ。


「なぁ、鹿島さん……一つ聞いていいかい?」


「はい、なんでしょうか?」


「聖光教会ジュバイク派のアメリア司祭って奴を知らないか? 前にサトル君たちが騒ぎを起こした時、ゼロワンがシュバイク派の移動拠点だった飛行船を撃墜して、その乗員達を捕縛したんだが、リーダーのソイツだけがどう言うわけか逃げ延びて、行方不明だったんだ……」


 はっきり言って、これはカマかけなんだが。

 僕の想像は恐らく間違ってない……シュバイク派の事実上のリーダー……大ボスだけがなんの痕跡も残さず消えてしまって、ゼロワンですら見失ってしまった……あまりに話が出来すぎているとは思ってたんだが。

 

 これで、全てのピースが埋まったような気がした。


「アメリア司祭……ですか? ああっ! シュバイク博士の事ですね。彼女については、当人の強いご要望でこちらにお招きした上で、我々の協力者となっていただいております。例のスライム特攻の生物兵器についても、彼女のご協力で完成まで導いて頂けました。もっとも、同時に帝国でも他の研究者が同じ様なものを開発していたようですね。事後にゼロワンが回収したサンプルの分析結果から、異種同系統の生物兵器だったとの結論に達しておりますが、シュバイク博士も何故帝国にアレが渡っていたのか、心当たりがないとおっしゃっていましたね……」


 ……案の定かよ。

 しかもシレッと博士号持ちになってるとか思いっきり懐柔されて、日本に居座って鹿島さん達に全面協力してるってことかよ。


 レインちゃんもなかなかの食わせ物だったけど、姉のアメリアも大概だな……なんか、異世界日本むしろ連れてけ! とかそんなんだったっぽいな。

 

 けど、このタイミングで隠し立てせず情報公開するってのは、こちらに対する誠意ってとこなんだろうな。

 まぁ……実際、鹿島さんも嘘だけは、付かないからな。

 

 もっとも、こんな風に聞かない限り教えてくれない……そこら辺、ゼロワン達とまるで一緒だ。


 ゼロワン達も「飛行船に乗り込んでたテロリストはどうなった?」という僕の質問に「テロリストは全員無力化した」と報告してきていたんだけど。

 

 自分から降伏して、進んで捕虜となったであろうアメリア司祭も無力化したということには違いない。


 その裏でゼロワンは日本側に判断を投げていて、テロリストではなく、協力者として日本へ連れ帰るように命じられていたんだろう。


 要は、僕の命令にゼロワンは忠実だった……それだけの話だ。


 酷い詭弁のように思えるけど、テロリストなんて言葉を使った僕が悪いのだ……敵対者とかそう言う言葉だったら、アメリア司祭の件も匂わす程度の事は言ってたはずだ。


 なにせ、僕は僕でその頃には、サトル君と飲み明かしてたし、その後については……。

 うん、そんなシュバイク派のボスの事なんて、割とどうでもいいって思ってたさ。


 まぁ、後日……レインちゃんとサトルくんから、捕縛したテロリスト達の中に、最重要人物のアメリア司祭が居ないって話になって、泥縄で森の捜索を始めたんだが……。


 ……見つからなかったのもむしろ当然の話だった


 けど、鹿島さんの話だと、大本の開発者のアメリア司教ですら、サルイーンの手に渡った経緯は解ってないってことか。

 そこのラインについては、当のサルイーンも詳しいことは解ってないようだし、何と言うか……そこがイマイチすっきりしないな。


 と言うか、そう言うことだと、帝国にも大帝とスライム共をまとめて始末したいと考えていたヤツが、他にいたって事でもあるんだが、いったい何者なんだ?


「やれやれ、サトルくん達の話だと、アメリア司祭って凡そまともなヤツじゃないと思ってたが、ちゃっかりそっちで拾って有効活用してたってことか。しかも、僕らどころか、女神様達にすら全く悟らせずに、大帝の命運を断ち切るべく暗躍してた……か。まぁ、お見事すぎて、怒る気にもならんよ」


 恐らく和歌子さん達も、知らぬ間にアメリア司祭を日本に連れ帰っていたなんて、解ってないだろう。

 和歌子さんもそんな横紙破りをやらされて、黙って見過ごすわけがない。


 っていうか、協定がどうのとか言ってたけど、バレなきゃおっけーとかガバガバじゃねぇかっ!


 実際、和歌子さんも部屋の隅っこで、今も僕らの会話を聞いているみたいなんだけど、露骨に嫌そうな顔して舌打ちしてるし……。


「本件については、誠に申し訳ありませんでした……なにぶん、シュバイク博士も日本行きを熱望しておりまして……こちらとしても、受け入れない理由もありませんでしたので……。我々としても、心苦しかったのですが……こちらの世界に残されたら、間違いなく殺されるとおっしゃっていて人道的見地から……ですね?」


 何が、人道的見地……だっての!

 当人から言質を取れたからって、嬉々としてご招待ってやっただけなんだろ?


「……それはもういいよ。アメリア司祭の人柄を聞く限りだと、そう言う人みたいだしね」


「ご理解の程、ありがとうございます。ですが、実行のタイミングとしては、なかなかのナイスタイミングだったはずですよ。結果的に、そちらの世界の最大級のガンだった大帝の手足と耳目……全てを失った事でその力を大きく削ぎ落とされた。さすがに、長年築き上げたすべてを失い自らの国にも見放されたとなれば、その命運も尽きる……。シュバイク博士もこれでも殺せないようなら、捕獲して溶鉱炉にでも投げ込むか……。いっそ液体窒素にでも漬け込んで冷凍保存でもするしかないと言っていて、そうなるとどうやって帝国に乗り込んで捕獲するかとか、色々ハードルもあったんですよ」


「なるほどなぁ……確かに大帝は不死身と言われてたけど、溶鉱炉にでも漬け込んで鉄の塊になっちまえばさすがに死ぬだろうし、カチコチに凍らせて封印しちまえば、なんとでもなりそうだな。つまり、向こうから来てもらったのなら、好きなように料理できる……そう言うことかい?」


「まぁ、そうですね。私達としても、世界の壁を超えて怪物を送り込んで来るような大帝の無力化を確認できないことには、いつどこに現れるか判らない脅威に、いつまでも怯え続けることになりますからね。であるからには、これも良い機会と割り切って、大帝を無力化し、徹底して憂いを断つ……そう言うことですよ」


 何と言うか、割り切ってるなぁ……。

 自分達の庭に仇敵が飛び込んできたんだから、遠慮なく全力で潰す……例えどれほどの犠牲を払ってでも……そんな覚悟が伝わってくるようだった。


「そして……その為には多少の被害には目をつぶって、最悪、自国での核兵器の使用すら辞さない……。だが、そこまでやるのは正直、賛同できないな……。はっきり言って被害が大きすぎるだろ。それに話し合いの余地はないのかい? まずは交渉して、互いの妥協点を探ってみる。戦争なんて最後の手段にすべきで、何より日本は専守防衛を謳ってるんだから、そうするのが筋だろう?」


 自分でも甘いこと言ってるって解ってるんだがなぁ……。

 現状は、鹿島さんの良識にすがるくらいしか、無茶を止める良い手立てを思いつかないんだ。 


「そうですね……核兵器の使用はあくまで最終手段ではあります。可能な限り避ける努力は致しますが、あの大帝は元日本人で良く解らない理由で、日本と言う国自体に深い恨みを抱いていたようなので……。話し合いと言っても、その段階はすでに軽く突破してるんですよ……一度ならず帝国軍、それも大帝の意思で送り込まれたスライム達と戦った高倉閣下なら、そこは身に沁みて解ってますよね?」


 確かに……スライム軍団との戦いは、交渉とかそれ以前の問題だった。

 問答無用で目についたもの、動くもの全てを殺す……奴らから感じた意思なんてそんなものだった。


 確かに、あれとの話し合いなんて、考えもしなかったな……。


「……そうだな。アレとの話し合いなんて……昆虫相手に話し合いを試みるようなものだったよ。すまない……自分のことを棚に上げて偉そうな事を言って……」


 そもそも、あの時もあんな50人にも満たない小集団相手に、二重包囲の布陣を敷いて問答無用で襲いかかってきたんだからなぁ。

 

 相手は、こっちの事なんて、路傍の石ころ程度にしか思ってなかっただろうし、一人たりとも逃さないと言う強い意志を感じた。

 石ころ相手に話しも何も無い……あの戦いはまさにそんな様相だった。


 ……世の中、話し合いなんて通じない奴らなんて、ごまんといる……。

 深き蒼……魔神ロアなんて、その代表格だったからな。


「お気になさらずとも結構ですよ。それに今回の件は言ってみれば、大帝が長年抱いていた日本への復讐心を満たす……それが成し遂げられなかったが為の最後のあがきでしょうからね。我々の分析では大帝の行動原理は自身の生き残りと、復讐心……その二つが全てだと、そのように考えられています」


「復讐心と生存って……なんだそりゃ! まさか、100年以上前からこっちの世界にいて、ずっとそんな事ばかり考えてたってのかよ! それに100年前なんて言ったら、日本じゃ大正時代……そんな昔になにがあったんだよ!」

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