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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
最終章「全ての終わりの始まりに」

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第六十七話「我が家に帰ろう」③

「ケンタロウさん、それにクロイエ陛下、アージュ様も、おかえりなさい! いやはや、遥か山の向こうオルタンシアから日帰りとはまた、随分とまぁ忙しいことで! うふふ……旦那様、キリカも戻ってきてるんで、会うのを楽しみにしてましたよ。早く顔を見せてあげてくださいね!」


 ゲートを越えると、森の中。

 帰還先の魔法陣などの準備担当だったランシアさんが真っ先に出迎えてくれて、抱きついてくる。

 ちなみに、ランシアさんも里帰りしてたんだけど、安定期に入ったとかでコンビニ村に戻ってきたばかりなのだ。


 このところ、僕も遠征隊にずっと同行してたから、コンビニ村に戻るのも久々でランシアさんとも、遠話水晶でやり取りはしてたんだけど、直接会うのはちょっと久しぶりのような気がする。

 

 おおぅ、ちょっと全体的にふくよかになったかな?

 胸も大きくなってきたし、腰回りもぷりっぷりだ。


「ただいまっ! まぁ、キリカも先週話をしたばかりだけどね。留守番、ご苦労様! リーシアさんは……ゲートキーパー担当で手が離せないみたいだったけど、まぁ、妥当な人選だよね」

 

 周辺はランシア隊の面々が警戒中で、ゲートキーパー……ゲートの維持役は、近隣でも最高レベルの魔術師でもあるリーシアさんと、レインちゃんが担当してくれている。

 

 リーシアさんは、何気にとんでもない魔力の持ち主で、アージュさんに次ぐとも言われるほどの大魔術師と言ってもいい人なのだ……なお、本人とランシアさんとご家族の是非にともご要望で、リーシアさんも僕の嫁となったのは既にご存知の通りではある。

 

 ちなみに、レイン司教も本来は留守番組で、ジャリテルム教育要員ではあったのだけど。


 基本的に、相性激悪のようで、一緒に旅なんかしてると喧嘩が絶えないとモンジローくんも文句言ってきたので、神殿に行くときの身分証明書代わりに時々合流して、いい顔してくるとかなんとも雑な事になってるのだ。


 それに、オルメキア国王の治療の際にも、一度コンビニ村まで迎えに行って、日帰りでトンボ返りとかそんな事をやってたりと、不本意ながら色々と頼ってしまってはいるんだよな。

 

 出来れば、レインちゃんには頼りたくはなかったんだが、オルメキアで彼女は治癒術師としても有名だったので、彼女のネームバリューがどうしても必要でねぇ。


 そう、ネームバリュー。

 あの子って、仮にも聖光教会の司教様だから、表向きのネームバリューは物凄いのだよ。

 

 で、オルメキアの奴ら、こっちがちゃんと治療したのに、本当に、治ったのか信じられないし、後遺症が出たりしないのかとか言って、問題ないか確信出来るまで帰さないとか言い出した。


 病気を直してもらってそりゃないだろって思うんだけど、身体の感覚を麻痺させることで治ったような気になるエセ治療や良くなったり、悪くなったりを繰り返す、慢性病特有のたちの悪さもあって、当人も側近もすっかり医療不信みたいになってたようなんだよね。


 事情は解るんだが、こちとらそんなのに付き合ってられるほど暇じゃない。


 やむを得ずレインちゃんにお越しいただいて、レインちゃんの完治お墨付きという事で、ようやっと皆、納得して解放されたんだ。


 まぁ、そこで終わってりゃ、めでたしめでたしだったんだがね。

 例によって、その日の夜中に、僕の寝室に忍び込んで来て、人を叩き起こすなり、ドヤ顔でパンツ脱ごうとするとかやらかそうとしたんで、むしろ逆に思いっきりパンツ引き上げてやったら、ハイレグみたいにケツプリ丸出しになって、もう色々食い込みまくり!

 その上でお仕置きと称して、そのプリケツに16ビートで平手打ちを刻んでやった。


 どうも、レインちゃんの価値観では、そっちの方がパンツ脱ぐより、余程恥ずかしかったらしく、もうお嫁に行けない……とか言って床に転がってエグエグ泣いてた。

 

 いやぁ、またわからせてしまったYO!


 わからせって、たまらんなっ! 

 

 サトル君も、うちの従業員として使っているのだけど、元は営業マンやってたとかで、その爽やかすぎる営業スマイルとイケメンフェイスで、女性人気が抜群に高く、ヤツがシフトに入ると、たちまち女性客で店内がいっぱいになるような有様だった。

 

 ……出来るイケメンってのは、ホントいいよな。

 うらやましいぜ、こんちくしょう。


 もっとも、意外なことに実はバツイチだったとかで、ランシアさんとキリカさんの懐妊の話を聞いて、まるで我が事のように喜んでくれて、妊婦さんには気遣うようにとか、色々とお説教もされた。


 詳しくは聞かなかったけど、どうもあっちでは色々とあったらしい。


 人生いろいろ……だよなぁ。

 

 もっとも、元々酒飲みだったとかで、夜になると打ち上げと称して、ビールをカパカパ開けて、今日こそは飲み勝つとか言っては、僕に返り討ちにあっている。

 

 酒飲みで酒好きなんだけど、アルコールには意外と弱い……なんとも、人間味あふれる話ではある。


 飲むと大抵、どこでも寝てしまうので、地べたの上で何度も共に雑魚寝した仲でもある……。

 野球拳もからっきし弱いので、大抵他の連中にもカモられ、まっさきにパンイチになってる……。

 

 イケメンなのになぁ……このそこはかとなく漂う残念臭はなんなんだろ。

 これが帝国からも恐れられた獄炎の使徒の成れの果てだというのだから、そりゃ大倉だって驚くさ。


 ラドクリフさん共々、コンビニ村の警備担当も任せていたのだけど、そっちも上手くやってくれているようで、もうすっかり顔役の一人になってる。


 おまけに、クレーム対応なんかも手慣れてる感じで、僕がいない時でもサトル君が対応してくれるようになったので、なんと言うか……事実上の副店長とか、そんな感じになってしまっているのだ。


 ちなみに、レインちゃんとの関係も、レインちゃんも事あるごとにサトルくんに、色々とある事ない事吹き込んでいるんだがね。


 大抵、ふ~んで終わらせて、レインちゃんがブチ切れてギャオーンって、吠えて終わってる。

 

「えっと……変態オーナーさん、おかえりなさい。どうです? 魔術研が開発したばかりの新式の魔法陣なので、ゲートの安定性と魔力効率がまた一段階、向上したんですよ。これなら、もうワンランク下の術士でも二人、三人くらいでなら、リーシアさんやアージュ様の代わりくらいは務められそうですよ」


 ……レイン司教。

 思いっきり、わからせてやって以来、大分おとなしくはなった。


 元々変なスイッチさえ入らなければ、至って真面目ないい子ではあるのだ。


 しれっと、変態オーナーとか抜かしやがった気もするけど、そこは聞かなかったことにしてやる。 

 下手にツッコむと、またブチ切れて奇行に走るからなぁ……。


 まぁ、そん時はそん時でまたわからせてやるだけなんだがなっ!

 

 今回はゲート維持のバックアップ担当みたいなんだけど、リーシアさんの魔力容量だと軽く一時間位はゲートを維持できるので、手は空いてたらしく、こっちに来たようだった。

 

 一応、転送元か転送先のどちらかにそれなりの魔力所持者がいれば、ゲートの維持は可能なんだけど、一人でそこまで出来るのはアージュさんとテンチョーくらいなので、今回はアージュさんが送り側のクロイエ様の魔力補助担当、リーシアさんとレイン司教が受け側の維持担当とすることで、安全にかつ大規模なゲートを生成できていた。

 

 この方式の良いところは、魔力の総コスト自体は倍増してるんだけど、負荷分散が可能になったことに尽きる。

 まだまだ、実験段階のものだから、維持担当はリーシアさんクラスの大魔力の扱いに長けた者に限定してるけど、ヒヨッコ術者を100人とか集めて、束にする事で肩代わりさせる事だって可能らしい。

 

 この辺は安全性重視と言う事で、まだそこまでやってないのだけど、やっぱ発想がいいよね。

 一人の力に頼り切らずに、皆で力を合わせるとかさ。

 

 ちなみに、リーシアさんもエルフでも魔術適正の高いものを集めたアージュさん率いるフロレンシア魔術研究開発師団……通称、魔術研と呼ばれる隊の一員となっている。

 

 本人は、エルフの村を出て僕やランシアさんと気軽に会えるようになったことと、結構な額のお給料がもらえるようになった事で素直に喜んでいた。

 何より、エルフ達にとっては、伝説の古エルフ、アージュさんの直属配下になったと言う事だけで、大変な名誉だとして扱われているらしく、リーシアさんも色々やらかしてることもあって、すっかりエルフの強豪魔術師として有名になってる。

 

 それに、フロレンシア魔術研の話を聞いて、各地のエルフの里から集落一の魔術の使い手やら、一族の秘蔵っ子などが続々と集結して、一大精鋭部隊となりつつあった。

 

 魔術技術の研究開発に関しては言えば、もはやロメオは世界最高峰の先進国だと言えるだろうな。

 

 この魔術研究の分野に関しては、元々帝国はあまり熱心ではなく、法国は法術と呼ばれる治癒術系の魔術の研究にばかり熱心で、一番魔術関連の研究開発に熱心だったのが、エルフ系の魔術師……というのもやっぱり大きいだろう。


 リーシアさんみたいに、個人レベルで色々やってるうちに突き抜けてしまった人も結構多くて、アージュさんですら驚くような使い手が続々と集まってきてしまって、色々大変らしい。

 

 もっとも、そんな頼もしいエルフの研究者などの協力もあって、この転移ゲート魔術開発は、おっそろしい速さで進んだのもまた事実だった。

 

 なにせ、このゲート式転移魔法にしても、三ヶ月前は概念すら無かった上に、アージュさんもクロイエ様も建前上は、四カ国交渉出席の旅の身の上……。

 あまり派手に動けない立場であり、普通なら、戻ってきてからゆっくりってなるのが普通なんだけど。

 

 クロイエ様がいれば、車列を抜け出して、ラキソムの魔術師団本部……要するに研究所に転移なんて訳なかったし、この旅をしながら度々転移魔法で戻ってくる……なんて事をやってると、もうちょっと便利にならないかと言う当然の需要が発生したのだ。

 

 そんな調子で、実地での実験と後方での研究を繰り返し、この転移魔法ver2.0は完成した。

 なお、ゲートの向こう側に転移魔法陣を残していく事で、いつでもそこへ転移が出来るのだが。


 仮にも外国に勝手に裏口作って、それをそのまま放置していくのは明らかに問題あるので、その辺もちゃんと対策している。

 

 実は、一度接続して受け側の術者による維持状態に持ち込めば、送り側の魔法陣もゲートキーパーも用済みという事になるのだ。

 

 なので、途中で魔法陣をオフにして撤去してしまっても問題ないし、向こう側に残って魔法陣を処分する担当者は、取り残されて帰りは徒歩とかそんな悲しい事にならないようになっているのだ。


 今回も、儀装用の空馬車と、その警護隊の引率役のウルスラさん達が、向こう側で魔法触媒の回収や、地面を掘り返して埋め戻したりで、きっちり処理してくれている所だ。

 

 道中、ウルスラさん達もなんだかんだで大活躍だったからな……まぁ、コンビニ村に戻ってくるのは、次の交代予定の1週間後だからそれまではしばしのお別れだ。

 

 やがて、続々とゲートを親衛隊の子達の馬車の車列が通過していく。

 ウルスラ隊以外の面々が引き上げてきたのを確認し、リーシアさんとレイン司教がゲートを収束させる事で、転移の一連のプロセスは、完了する。

 

 そう、クロイエ様のお役目も、最初のゲート接続の際に手を出すだけで、後は何もする必要もないのだ。

 

 今回は、親衛隊と警護隊のほとんど全員をまとめて転移させる……そんな大人数の転移だったのだけど、遅滞もなくトラブルもなく上手く行ったようだった。

 

 親衛隊の子達も戦闘力は微妙だけど、統率は取れているので、道中出ずっぱりで今回初めてゲートを使う子もいたにも関わらず、慌てず騒がず、整然と通り抜けてくれたようだった。

 

 向こう側には、ウルスラさん達が残ってるけど、そっちはそっちで、定期的にゲートを繋げてもらって、要員を交代させつつ「お客さん」を引き連れながら、のんびりと帰国させる予定だった。


 この「お客さん」と呼んでる連中は、要するに国籍不明の諜報員達なんだが。

 まぁ、当然のように遠巻きにしながら、道中延々つきまとっていた。


 そんな諜報員に付きまとわれるなんて、間違いなくウザい。

 そこで、手っ取り早く、捕縛したり排除するようにウルスラさん達にも命令したんだけど。

 

 余程のことがない限り、諜報員に手出しは無用と言う無言の紳士協定みたいなのがあって、諜報員を見つけても、問答無用で捕縛したり、処刑したりとか野蛮なことはしない事になっているって事で、見てみないふりをするようにって言われた。


 この辺は、どうも各国の諜報員達は根っこの所で繋がっているらしく。

 現場の同業者同士で話し合ったり、ここからは見せられないと言うラインを明白にした上で、なるべく穏便に済ませると言うのが、常態化しているようなのだ。


 なかなかに、酷い出来レースだと思うんだが……この業界、帝国のスライム軍団と言う最大手がいたので、それに対抗するために色々と諜報系組織同士でお話し合いを続けるうちに横の繋がりや紳士協定とか出来て、そうなったらしい。


 基本的に、雇い主に不利になるようなことはしないし、同業者同士であっても譲れない一線はあるのだから、諜報員同士の激突が起こることもままあるんだがね。


 今回にしても「お客さん」達は野盗やモンスターの襲撃の時には、当たり前のように助っ人として参戦してくれたり、クロイエ様や僕がいる時はこっちも野営地に招き入れて、一緒に飯食ったりとかしたんで、すっかり気心もしれた仲になってしまっている。


 向こうも、影武者を置いて、ちょくちょく僕らが姿を消している事にも薄々気付いているフシがあったんだけど、連中は見聞きしたことを判断なんてしないってのもルールの一つらしい。

 

 諜報員が集めて、彼らからヒアリングした情報をどう判断するかは雇い主の仕事なのだ。


 まぁ、どのみち……建前上は二ヶ月もの大旅行をしている事になってるから、そんな風に見えればそれでいいくらいの感覚で、こっちもやってたから、そんな見も知らない奴がどう思うかなんて、こっちもべつに気にしてないのだ。

 

 クロイエ様の元にはタオルやら飲み物を持った親衛隊の子達が群がっていって、遠征お疲れ様でしたーとかやってて、出迎えに来た留守番部隊の子達も合流して来て、任務達成おめでとーっ! とか言ってハイタッチやら、お互い抱き合ったりしつつ、盛り上がってる。

 

 本人達もお飾り部隊ってのは解ってるし、御親征の随伴だけでも結構苦労してて、落伍者も少なからず出てたからねぇ。

 

 もっとも、怪我人や病人は、サッサとクロイエ様に戻してもらってたし、頭数が減ってきたら、本国の留守番部隊から交代要員を抽出して送り込むとかやってて、ズルしまくりだったんだけどね。

 

 でもまぁ、十代の女の子達が年相応にはしゃいでるのを見るのは、微笑ましくて、結構なことだった。

既存のキャラクターイメージイラストを全部、Copilot版に更新しました。

どれもいい感じに仕上がったと思います。


これまでイメージイラストの無かった高倉オーナーや、モンジロー先生のも追加してます。

是非、ご覧あれ!

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