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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
最終章「全ての終わりの始まりに」

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第六十六話「和平会議」⑤

 ちなみに、例の月・アートの件は、聖光教会のイザリオ司教あたりは、女神の使徒の起こした奇跡……空から、いつでも女神が見守っていると言う意味なのだと大々的に喧伝することにしたらしい。

 

 ついでに、テンチョーもモデルになった猫耳少女としてご紹介。

 通りががりにラーテルムの意思を地上へ届ける代弁者の役を担ってことで、聖人としてあつかわれるようになったと、微妙な触れ込みで紹介するとのことだった。


 うん? ジャリテルムって正真正銘の代理人がいるんだが、そこには触れないの? とか思ったけど。

 アイツ、本気でただのクソジャリなんだもんなぁ。


 奇跡の一つも起こせないし、基本的にモンジローくんの描いた腐ったBL本を涎垂らしてむさぼり読んで、食っちゃ寝してるだけ。

 確かに、そんなのを表に出したくないってイザリオ司教の判断はご尤もだ。

  

 まぁ、月・アートの件は、大帝様の心に深いダメージを与える事になったのは事実だし、救世の号砲にになったのは、間違いないだろう。

 

 あの一撃は……世界を変えたんだっ!


 あれでバーサーカーだったサトルくんもボッキリ心が折れて浄化されたし、どんだけ大帝が不死身で悪運が強くたって、ゴッドデコピン一発で粉々に消し飛んじゃったら、確実にジ・エンド。

 まさに指先一つで、ダウンさっ! ユアシャークッ!


 ……大帝もサトル君同様に、いとも簡単に自分を消し飛ばしかねない存在を実感したことで、もはや完全に使い物にならなくなってしまったのだろうな。

 

 伝え聞いた話によると、どうもリアルタイムで月に萌え絵が描かれる瞬間を目撃してしまったらしく、窓の前で立ったまま泡吹いて気絶してる所を側近達が見つけて、ちょっとした騒ぎになったらしい。

 

 だが、あれは……もうひれ伏すしか無いだろ。


 大帝もなんというか、まだ何もされてないのに勝手に精神崩壊して、何もしないが故にすべてを失いつつあるとか、不憫な話ではあるわな。

 

 そして、帝国の最高権力者のひとり、帝国宰相フランネルについても、大帝共々帝都の居城に引き篭もっていて、不気味な沈黙を続けているらしい。

 

 アージュさんの話だと、コイツは100年どころか1000年以上前から、生きている正真正銘の化け物で……。


 帝国の宰相と言う立場に君臨し、強大な力を持つ大魔術師でもあるようなのだが。

 大帝共々引きこもり中で、やっぱり何もしていない……何がしたいのか、イマイチ解らんのだけど、いい加減ボケてきたんじゃないのかね。

 

 帝国もそんな引きこもり共にかまってられるような状況でもなく、事実上、帝国の国家運営については、大倉達経済官僚と完全に日和った軍幹部と、そろそろ出番とばかりにしゃしゃり出て来た旧来の門閥貴族達や地方領主達が合議制で仕切ってるような感じになってるらしい。

 

 まぁ、帝国のお財布を押さえてる経済官僚と帝国の力の裏付けと言える軍部が、揃って国を支える本来の使命に返り咲いたのであれば、元々国としてはハイレベルにまとまってた帝国なのだから、すぐにでも立て直せるし、一番のガンだった大帝が大人しくなってくれたのであれば、まともな国になるのも時間の問題だった。

 

 そして、これは密約と言うものなのだけど。

 もしも、大帝が帝国の指導者として返り咲くようなことがあれば、帝国軍も官僚機構も総力を結集して、それを阻止すべく動き、女神の使徒は立場を超えて、その総力を結集して、大帝を討つ……そう言う話になっている。

 

 これは、あのサトルくんもだけど、モンジロー君やテンチョーも了解しているし、厳密には使徒ではない僕も言い出しっぺとして、参戦することになっている。

 

 まぁ、僕の戦力なんてたかが知れているのだけど、大帝の再来だけはなんとしても、阻止せねばなるまい。


 大帝カスなんとかは、間違いなくこの世界にとっては、ガン細胞のようなものだ。

 このまま静かに消えるなら、それはそれで良いのだが……再び帝国に返り咲くなんて、以ての外だ!

 

 せっかく、この混沌としていた世界がいい方向へと向かおうとしているのだから、その流れに水を指すような真似は絶対にさせてはいけないのだ。

 

 実は、この辺は一応、ラーテルム様のお墨付きだったりもする。

 

 ジャリテルムのヤツ……色々と偉そうなことを言ってたけど、結局無能なことには変わりなく、その上何するわけでもなく、コンビニ村の聖光教会に囲われながら、自堕落な暮らしを送ってたような有り様だったんだけど。


 モンジローくんがこの話を振ったら、まさかの快諾が得られたという。

 

 その決定は女神のお告げという形で、世界中の使徒の耳に届けられ……。

 その日がくれば、世界中に散らばった女神の使徒に、女神様直々に、大帝討伐の命が下ることになる。

 

 なにげに……すっげぇ話になってきてるんだよな。

 

 まぁ、事実上……ラーテルム様はジャリテルム化した結果、何の役にも立たなくなってるんだけど。

 使徒へのお告げくらいのことは出来たので、有効活用してやった。

 

 さすが、モンジローくん……ポンコツ女神でもちゃんと有効活用してくれて、ヨイショしまくりでご機嫌だって、取ってくれて、食っちゃ寝生活とかひどい有り様だったので、セレイネース様がブチ切れて、聖光教会巡礼の旅とか出させられたものの。

 モンジローくんも付き人のように巡礼の旅に同行して、ちゃんとあの無軌道無能女神を制御下に置いてくれている。


 もやっしー青年なモンジローくんが、ジャリテルム様と徒歩の巡礼の旅とか大丈夫かって思ったけど。

 数日ごとに「クロイエ様にお迎え頼んで良いすかーっ!」とか連絡が入るので、その度にお迎えに行ってあげている。


 まぁ、毎回ジャリテルム様も一緒に戻ってきてるんで、修行の旅になってるかは微妙ではあるんだが。


 ただひたすら歩くだけの苦行のような巡礼の旅から、コンビニ村に戻るとまるで天国と地獄のような差があるらしく、飯なんかも当たり前のように貪るのではなく、いっちょ前に感謝の祈りを捧げて、泣きながら食ってたりするんで、それなりに修行にはなっているようだった。

 

 ぶっちゃけ目的地まで行きも帰りも送迎しても、良いんじゃないかって思うんだけど「せめて、行き位は自分の足で歩いて行かせないとジャリテルム様がダメテルム様になるから、ここは厳しくやります!」……とのことだった。

 

 さすが神の右腕だ……駄女神様の更生までやるなんて……もはや、正真正銘の聖人だろ。

 しっかし、僕の目から見ても、モンジローくんの精神的な成長は著しい。


 かつては、ただのエキセントリックな変態さん……みたいな調子だったんだけど、女神様達に真っ向から意見したり、色々と暗躍してたり、なんだかものすごく頼りになる奴になりつつあるんだ。


 実力にしても、チート能力が使えないリヴァイアサンとの戦いでも、逆転の一撃をブチかましてくれた事で、僕の勝利の助成になってくれたんだからね……。

 

 まぁ、神の右腕にかかっちゃ異世界の一つや二つ軽く救えるだろうし、使えない女神も使えるようにしてくれるのは確実だった。

 やっぱ、神だと思うんだよね……モンジローくんって!


 もっとも、僕の耳にはジャリテルムが放った女神様のお告げは一切届かず、やっぱり使徒でもなんでも無いおまけ扱いだったのだなーと、今更ながら思い知ったのだけど、これは些細なことだと思う。

 

 こんちくしょーっ! 結局、ジャリテルムのヤツ! 最後までそれかよっ!

 

 さてさて、それから……。

 停戦交渉会議も予定通り、淡々と進み、和平会議のハイライト……調停者たるクロイエ様の停戦宣言まで、話は進んでいた。


「それでは、我が名ロメオ・クラン・ヴェラン・クロイエの名に於いて、両国が長きにわたる争いを止め、今後平和裏な関係を築くと誓い合ったことをここに認めるっ! 両国代表は前に……互いの停戦宣言書をサインの上で、和平の証として、代表者達に固く握手を交わし合ってもらおうではないか。それを見届けた上で、此度の停戦が正式になったと我が名において宣言しようではないか!」

 

 しっかりと打ち合わせ通りのセリフをスラスラと言えている……まぁ、一緒にいっぱいリハーサルしたからね。

 この場に見届人と言う事で参列している多くの人々の視線を一身に浴びながらも、まったく怯まず、堂々たるものだった。

 

 クロイエ様も立派になられたものだ。

 まさに王者の風格すら漂わせるようになっている……。

 

 打ち合わせ通り、ルメリアの代表テオドール男爵と、ミリアさんが停戦宣言書にサインを記し、同席しているすべてのものに見せつけるように双方の停戦宣言書を交換し合い、両者のサインを記した上で固く握手を交わしあうと、互いに抱擁し合って、共に肩を叩き合う。

 

 同席していた参列者達も全員一斉に拍手を送り、同意の意を示す。

 演出とは言え、長きに渡り争い続けていたもの同士の和解と抱擁……なかなかに感動的な瞬間だった。

 

「よろしい、確かに見届けた! ここに両国の停戦はなった。かくなる上は、我がロメオ王国も両国の復興に及ばずながら、力を貸すと約束しよう。そして、平和裏にルメリアより軍を引くよう取りまとめられ、この停戦の影の立役者となった帝国の代表オークラ伯爵にも、両国に代わって、厚く礼をさせていただきたい!」


 大倉が立ち上がると、無言で一礼。

 クロイエ様が大倉のところまで歩み寄ると、深々と一礼。

 

 テオドール男爵とミリアさんが跪くのに合わせて、僕やアージュさん、パーラムさんまでもが立ち上がって跪く。

 大倉もクロイエ様の前で、ひざまずくと、その手に軽く口付けをする……。

 

 それを見て、一般人の見学者達や参列者から、おおと言う驚嘆の言葉が漏れる。

 

 ルメリアとオルメキアの代表のみならず、なにより帝国の代表までもが臣下の礼を捧げた……これまで、ロメオを弱小国扱いしていた帝国の扱いから見たら、破格の対応と言えた。

 

 それは、この場で行われた泥沼の戦いの末の和平が誰の手によって、取りなされたのか……雄弁に物語っていた。

 

 この停戦交渉の水面下で行われていたのは、帝国とロメオの和平交渉でもあったのだから、大倉の対応はむしろ当然だった。

 帝国としては、ロメオは絶対に敵に回してはいけないし、大きな借りが出来てしまったのだから。

 

 大倉自身、本来の肩書は帝国の片田舎の役所の職員に過ぎなかったのだけど、帝国の上級貴族や上級官僚などと言った大物達から、全権委任を取り付けている上に、交渉相手がロメオの辺境伯だと知れた事で、バランス取らなきゃってことで、大倉にも伯爵号なんてのが付いたらしい。

 

 そう言う意味では、こいつもしっかりと美味い汁にありつけたと言える。

 

 なんでも、帝国で嫁さんもらって、その嫁さんの連れ子、娘二人の父親でもあるらしく、上級貴族の仲間入りとかしたおかげで、父親としての株が爆上げで、休日の粗大ごみ扱いから、パパ最高! に格上げされたらしい。

 

 なんせ、娘さん達も貴族令嬢に格上げなんだもんな……今は二人共、平民向けの寺子屋みたいな幼年学校に通ってるらしいんだけど、貴族学院のような貴族向けの学校なども進学先の選択肢に入ってるし、ロメオの王立学院への留学だって受け入れるとか、そんな話もしてある。

 

 家についても、辺境の国営住宅の狭いアパート暮らしから、帝都の貴族街のメイドさん付きのお屋敷にお引越し。

 これで、家族が喜ばないはずがなかった。

 

 領地を持たない名誉伯爵とは言え、帝国貴族には違いないので、お役所職員時代の年収よりも、軽く一桁以上も多い貴族年金が入ってくるようになったおかげで、家計が潤いまくってて、おまけに近い内に末っ子が生まれるなんて話もしてて、まさに順風満帆のようだった。


 とまぁ、交渉の傍らの息抜き雑談タイムで、そんな話を聞かせてくれた。

 要は、僕と知り合いだったという事で、一気に成り上がったようなもんで、そう言うのもあって、大倉は実に協力的な交渉相手になってくれたんだ。


 これ以上は譲れないってラインも正直に打ち明けてくれたし、こちらの要求も僕の立場を解った上で、現実的なラインまで引き下げるようこそっと忠告してくれたり、結果的に、双方満足できるラインまで交渉を導いてくれた。

 

 そんなことまで言っちゃっていいの? って位の情報を惜しみなくリークしてくれたりしたので、こちらも要求できる現実的なラインを把握出来て、帝国の実情もこれ以上無いってほど理解できた。

 

 国と国同士の相互理解ってのは、なかなかに難しいもので、外交の席で本音で語り合うと言っても多大な困難がつきまとうのが実情なのだけど。

 僕らは、根っこでは学生時代の友人同士だったから、そこら辺はちゃんと腹を割って、話し合うことが出来た。


 どう言う采配でこうなったのかは、なんとも言えないのだけど……これが女神様の仕組んだめぐり合わせだったとしたら、僕ですら、女神に感謝したい気分だった。


 まぁ、そこら辺は……当のジャリテルム様からはひとっ言も無かったので、たまたま……なんだろうけどな。

 

 まったく、ここまで来るのに随分とかかったもんだが、終わってみれば、何処にも禍根も残らない大変有意義な幕引きとなった……大倉にも、感謝しないといけなかった。

 

 やがて、会議の終了と、解散が告げられ、参列者が続々と退席する中、大倉が僕の前まで来て、改めて握手を求めてくる。


 僕も立ち上がると、その手を固く握り返す。

 交渉なんて、事実上こいつと僕がやってたようなもんだけど、終わってみればあっけないもんだった。

 

 まだまだ、細かい調整とか話し合うべき事は、いくらか残ってるけど、すでに大筋はまとまっているから、そこらへんはお互いの部下同士がやりあってくれるだろうから、もうほっといても話は進むだろう。

 

「タカクラ先輩、本日はお疲れさまでした。いやはや、なんとか無事に終わりましたな……これで自分もようやっと肩の荷が降りましたわ」


「そうだね……そっちもお疲れ様。そんじゃま……この後は、さっきも言ってたように、久々に二人で飲むか。ところで、お前さん今回一人できたのかい?」


 思わず、学生時代を思い出して、砕けた話し方になる。

 これは、そろそろお互いの立場とか忘れて、ダチとして気楽にやろうぜというメッセージでもある。


 いかんせん、これまでは旧知の間柄でありながら、お互い国家の代表として話し合っている事は承知していたので、必然的にある程度の線引きはしていたのだ。


 だが、もはや話し合いは終わっている。

 となれば、互いに古い友人として……それもまた当然の話だった。

ちょっと長めでしたが、ジャリテルム降臨から和平会議開催までの事件や、ここに至るまでの背景のダイジェスト語りという形式にしました。


そこら辺一応、最終章なので巻いてます。

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