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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第六章「ロメオ王国漫遊記」

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第六十五話「ジャリテルム様降臨!」⑤

 それにセレスディア独立の件もあるし……。

 一応、セレイネース様への義理立てで少しくらいは援護射撃してやらないといけないからな。


 すでに、向こうの女王様アイリーン姫とは、映像付きの遠話水晶でサシでの話し合いは済ませており、色々と話も聞いたし、入れ知恵もしておいた。

 直接、現地に僕が行ったりすると、間違いなく話がこじれるだろうし、色々問題があるけど、人知れずの相談役や話し相手くらいなら出来なくもない。


 セレイネース様に頼んだら、二つ返事でホットラインを設置してくれたから、割と頻繁に連絡は取ってる……コネってのは大事だからね。

 それも他所の国の国家元首とのコネともなれば、作っといて損はない。


 そんな風に気軽な調子で度々相談に乗ってたら「こんな風に親身になって話し相手になってくれる人なんて、今まで居なかった」とか涙ながらに言い出して、それ以来、なんだが夢見る乙女みたいな目で、うっとり見つめられるようになったりと、順調に変なフラグが立ってる気もするんだけど。


 万が一、クーデター勃発とかで居場所がなくなったり、命の危険を感じるようになったら、いつでもうちにおいで……位のことは言っておいたし、ロキシウス侯爵にも万が一の時のアイリーン姫の救出プランの立案と準備を命じてある。

 

 と言うか、話を聞いただけで立場的にかなーりヤバそうなんだもん。

 セレスディアの内情って、帝国と同様にトップと末端の思惑がまるでチグハグ。


 アイリーン姫は、お人好しの良識派でセレスディアの商船団の海賊行為とかは、止めて欲しいって立場で、商船団の海賊船長達にも頭下げて、今後は人様に迷惑かけずに真面目に商売してくださいって、お願いしてるみたいなんだけど。


 現場の海賊船長達は、海賊行為によって得られる利益にすっかり味を占めていて、女王の意を汲んで、海賊行為を取り締まりだした海軍との対立が生まれてきて、海賊船長達を仕切る大物貴族なんかも反発しているようで、ものすごーく不穏な情勢になってきてるんだ。


 まぁ、色々話をして気心もしれてしまった人を無為に死なせたり、不幸になるのを傍観してたとか、そんなの嫌だからね。

 セレイネース様もいざって時はなんとかするって言ってるけど、いざとなったら逃げ込られる逃げ道くらいは用意してあげるべきだろう……。


 とにかくまぁ、ざっと考えただけでも課題やら、やることが大スギィッ!

 ロメオだって、三大貴族と名実ともに親族になった以上、ロキシウス侯爵だけじゃなく、それぞれの顔を立てた表敬訪問なんかもやらないといけないし、鉄道網整備計画の調整で近い内に三大貴族とその一族郎党が一同に会して……とかデカいイベントもあるから、その準備や根回しもしないといけない。


 もっとも幸い……これまでの一番の問題児だった帝国については、なんとかなりそうなんだけどね。


 そう、あの帝国が……だ。

 持つべきものは友! 一言で言えば、そんなところではあるのだ。


 ちょっくら今夜辺り、野郎と早速密談だな……うん!


 かくして、僕の遭難から始まったリヴァイアサン騒ぎは、新たなる仲間……ジャリテルム様をお迎えして、割といつもどおりドタバタに終息した。


 ああ、今もジャリテルム様はギャースカ喚いて、セレイネース様と怒鳴り合ってるんだけど。

 もう、そう言うことでいいや。


 すまんが、お師匠様、モンジローくん……そのクソジャリは任せた。

 僕はもう知らん。

 

 幸い……このグダグダを一気にまとめるイベントがあるからな!

 ジャリテルム様の自己紹介もしてもらったし、さっさと話を進めてしまえ!


 色々わだかまりやら、何やらあるのは事実だけど、もうゴリ押しで勢い任せで押し流してしまえばいいんだっ!


「さて、僕も無事に帰ってこれた事だし、偉大なる女神様が二人も降臨されたのだから、当然やることは決まってる。アージュさん、とりあえず……ここはもう問答無用で話を進めちゃおう!」


「そ、そうじゃな……! 女神のお二方よ……実を言うとお二方の歓待の準備が出来ているのだ! お二方にも色々と事情やわだかまりはあるとは思うのじゃが……ひとまず、この場は全て水に流して我々の歓待を受け入れて欲しい!」


 女神同士の口論をハラハラした様子で見守ってたアージュさんも、僕の一声で我に返ったようで、間に割り込んで仲裁してくれる。


 そして、いい加減涙目になってるジャリテルム相手に、目を三角にして、怒鳴り散らしてたセレイネース様も苦笑すると、腕を組んで僕のことを見つめる。


「ふむ、歓待か……なるほど、我らの降臨を祝う宴会と言ったところか。悪くないな……ラーテムルもいつまで、そんな仏頂面をしているのだ? お前が現世の人々の前に分体を降ろすのだって初めてなのだからな……崇め奉って欲しいなら、せめて愛想よくしろ」


「……愛想よくすれば、皆も妾を崇めてくれるのか?」


「そうだね……君、ネームバリューはあるんだから、ちゃんと名乗りをあげて、皆に愛想振りまけば、歓声でもって迎えてくれるはずだよ。だから……笑って、笑って!」


 まぁ、無理やりまとめって気もしないでもないけど、ラーテルム様、結構チョロいみたいで、さっきまでの仏頂面が嘘みたいに、にぱーと笑顔になる。


 やりゃあ、出来るじゃん!


「ああ、そんな訳で……ここはおひとつ……女神歓迎祭り! 色々と言いたいこともあるだろうけど、ひとまず、思う存分歓迎させてくれ! さぁ、宴の始まりだ!」


 そう言って、指パッチンすると、クロイエ様ハウスの窓をすべて開いて、辺りを埋め尽くすほどの人々とずらりと並んだ屋台が視界に入ってくる!

 

 すでに廊下でスタンバってたらしく、メイド服を着た親衛隊の子たちが入ってくると部屋の中にも続々と料理やスイーツ、酒や飲み物が並べられていく。


 そして、外からは大歓声が響き渡る。


「いいですなぁ! まさにコイツは……お決まりの奴っすね!」


「そうだねぇ……。けど、なんと言うか……こんな風に群衆が待ち構えてて、注目を浴びてると、まるで僕が本物の王様になったみたいだ。クロイエ様もこちらへどうぞ……ついでに、民衆へ一言、お言葉でも!」


 クロイエ様ハウスの前に用意されたお立ち台にゆっくり登りながら、クロイエ様へ手を伸ばす。


「それは構わぬが……私も、こんな大勢の民の前で演説など……さすがに緊張するな」


 クロイエ様が傍目にもガチガチな感じながらも、お立ち台に上って、皆に顔を見せるとわぁっと歓声が上がる。

 さすが、陛下だ……もう、大人気って感じでカリスマ半端ない。


「そこら辺は、ダンナがかっこよく決めてくれるでしょうから、陛下は隣でニコニコして手でも振ってればいいっすよ。んじゃ、脇役の某は出番もおしまいって事で! ここでのんびりまったり、コーラでも飲んでるっす!」


 それだけ言って、モンジローくんはクロイエ様ハウスに戻って、窓際にしゃがみ込むと、ポテチを空けながら、ワイングラス片手に手酌でコーラとかやってる。

 

 もう、完全に傍観モード……まぁ、君はそう言うやつだからね。


 クロイエ様がお立ち台に上がると、群衆に向かって笑顔で手を振って無言のまま一歩下がると、群衆もピタリと静かになる。


 その視線は、一斉にクロイエ様の隣に居た僕に向く……ああ、さては後は任せるって事か。

 クロイエ様も期待を込めた目で僕のことを見上げる……慣れない役目だけど、ここは一席ぶち上げるとしますかね!


「やぁやぁ、ロメオ国民の諸君! すっかり待たせてしまったようで申し訳ない。ご存知だとは思うが……我こそは、クロイエ陛下の名代……宰相ケントゥリ辺境伯である! 色々あったが、ようやっと我が本拠地……ケントゥリ村まで帰ってきたんだ! 引き続き、この国を……ロメオを盛り立てることに注力するつもりだから、皆もよろしく頼んだよ! ロメオ王国万歳っ!」


 それだけ言って言葉を区切るとクロイエ様の時に劣らないくらいの歓声がわっとあがった。


 なんだか、リヴァイアサン殺しの英雄! だの、神の寵愛を受けし者……とかそんな感じの言葉が飛び交っている。

 ロメオ国王ケントゥリ陛下、バンザイ! なんてのはちょっと気が早いぞ?


「そして、本日……諸君に重大な知らせがある! 今、私の背後には、セレイネース様とラーテルム様と言う偉大なる女神様の分身が居並んでいらっしゃる。そう……混沌極まるこの世界に女神達の降臨がついになされたのだ。これは動乱の時代の始まりとも言えるが、我が国は女神の加護を給いし国となったということでもあるのだ! 女神様方……どうか、ロメオの人々に祝福のお言葉を!」


 クロイエ様共々お立ち台を降りると、二人の女神様が揃ってお立ち台に上がる。

 僕が無言で腰を折って、2人に最敬礼を捧げると誰もが押し黙って、それを見習ってくれる。


「ロメオの民よ……私は海神セレイネースが分身の一人である。そして、この男……ロメオ王国宰相タカクラの守護者でもあるのだ。この男を王と仰ぐこの国の民にも、この光明神ラーテルム共々、等しく我らが加護を与えると宣言しようではないか! その代わり……我らが求めるは、夜毎、安息の際の細やかなる祈り。それだけで十分である……。さぁ、共に祈ろう……この世界の平和を……」


 困った感じでオロオロするラーテルム様と対象的に落ち着き払ったセレイネース様が群衆に手をふって、両手を汲んで祈りを捧げると、怒号のような歓声があがる。


 ジャリテルムも慌てたように、祈りを捧げると……ジャリテルムから淡い光が広がっていって、キラキラとした星屑のようなものが辺りを舞い散る……細やかながら祈りの奇跡。


 ……奇跡としては、ささやかなもんだけど、演出としてはまずまずじゃないか。

 ジャリテルム、ちょっとは見直したぞ!


 そんな小さな女神の奇跡を目の当たりにしたことで、感極まって泣き出す人もいれば、ひれ伏して一心不乱に祈りを捧げる人もいる。


 不信心さに定評のあるコンビニ村の人々でこの騒ぎだ……こりゃ、王都辺りだともっと大騒ぎになるな。


 まぁ、これも女神様達には黙って仕込んだサプライズ企画だったんだけど。


 さすがセレイネース様……堂々たるお言葉で、しっかりラーテルム様の顔も立ててくれたし、結果的にラーテルムも少しは敬意ってもんを得ることが出来たようだ。


 セレイネース様にとってはラーテルム様は妹分らしいんだけど、なんだかんだで面倒見がいいんだよな……。

 二人共、満更ではなさそうである。


 うんうん、サプライズ……サクセースッ!

 一応、今回のお祭りの名目は女神降臨祭……僕の帰還とかはむしろ、ついでな感じ。

 まぁ、この辺のサプライズの打ち合わせとかで、戻ってくるなり超忙しかったんだよな。


「さて、諸君! これから先は堅苦しいのはなしだ。今日は無礼講……皆、共に宴を楽しみ、女神の降臨を祝おうじゃないか……それでは……いつものお約束行くぜーっ!」


「「「「宴会だーっ!」」」」

 

 その場に集まった人々と部屋に居た全員、声をハモらせての、宴会エンドの始まりの声。

 こっから先は、飲めや歌えの朝まで続くどんちゃん騒ぎ。

 

 まったく、相変わらずな僕らだった。

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