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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第一章「猫テンチョーとコンビニ……異世界に建つっ!」

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第八話「異世界コンビニ大繁盛っ!」③

「あ、あの……僕が今、異世界にいるって言って、信じます?」


「はーい、存じ上げておりますよ。どうも、高倉オーナーの方が、状況を良く解っていらっしゃらないようですので、簡単にご説明させていただきますね……。あ、申し遅れましたが、私……日本政府の異世界案件担当部署の者です。今後、高倉オーナー様からのご相談、ご要望、こちらの世界側の各方面との連絡調整については、あまり余計な者を間に入れず、一切合切を私、鹿島が担当させていただきますので、お見知りおきくださいね」


 ……もう、何が起こっても驚かないと思ってたけど。

 なに、その異世界案件担当部署って! え? こう言うのって、珍しくないの? ホントまじで、ご説明をお願いしまーすっ!

 

 

 そんな訳で……。

 僕の驚愕や困惑なんて、どこ吹く風と言った調子の鹿島さんから、僕は今回のコンビニもろとも異世界転移した件について、説明を受けることになった。

 

 まず、何が起こったのかについて。

 

「……そうすると、今、僕がいる世界の神様……それが何やらやらかして、その余波が日本に向かってしまったと?」


 鹿島さんの長々とした説明に、僕がその内容を要約して、オウム返しで応える。

 

「ええ、そう言うことですね。話をまとめると、そちらの世界の信者の祈りを集めて、世界の混乱を平定すべく代理示現体の顕現を試みたようなんですが……ものの見事に大失敗っ! その余波がこちらの世界に流れ込んで、本来は内陸部……群馬を震源とした首都圏全域を巻き込む、大震災レベルの大災害が起こるところだったそうです。……いやはや、そんな事になってたら、日本終了のお知らせでしたね」


 後から知ったのだけど……スマホの履歴に残されていた予想震度は、場所によっては震度7予想も出ていたようなとてつもないものだった。

 

 もしも、額面通りだったら、東京も震度5-6強……。

 

 あの、東日本大震災でも、東京は震度4程度。

 その程度の揺れですら大混乱だったのに……。

 

 まぁ、そんな事になってたら、関東一帯どころか、大阪近くまで及ぶような壊滅的な被害を被ってただろうな……。

 おまけに、大地震ってのは連鎖したり、火山噴火を誘発したりするからなぁ……東海トラフに、第二次関東大震災……そこら辺の厄ネタが連鎖して……。


 いや、洒落抜きで日本終わってたんじゃないか? 真面目な話。


「ほんとだよ……そうなると、あの緊急地震速報は? 結局あれは、なんだったんだい? あの直後に僕のコンビニは大地震に見舞われたんで、誤報って訳じゃなかったんじゃないかなぁ……」


「そうですね……。あのシステムは初期微動と呼ばれるP波を検知して、その規模と検出範囲に応じて、地震の規模を予測して、自動的に警報を出すシステムなんですが。結果的に広大な地域に、P波のみが観測されると言う極めてレアなケースとなり、最終的に誤報として処理されました……。ただ実際は、そちらの世界の神性存在がギリギリのところで、本命……つまり、本震を阻止してくれた……そう言うことだったようです。ですが、それも完璧ではなく、その余波に運悪く高倉オーナーのコンビニが巻き込まれ、いわば安全措置として、異世界に転移してしまったと……ここまでは、ご理解いただけてますか?」


「はぁ、一応……そっからは、なんとなく解りますよ。その際に、巻き込んでしまったお詫びと言うことで、神様だかなんだかが、このコンビニの店長と認識していたテンチョーの要望を聞いたら……。僕と一緒にコンビニ経営したいって言い出して、その要望に応える形で、この世界で色々な無茶を通してくれた……そんな感じなんですかね?」


「おお、お見事……ピンポーン! 正解です! 概ね、その通りです。どうも、高倉オーナーにも神性存在から接触があったようなんですが。気絶でもしてらしたのか、側にいたテンチョーさんの願いに応える形になったみたいなんですね。なにぶん神性存在と言うものは、総じてなかなかいい加減なものでして……。私どもも、常々振り回されてばかり……あの、神性存在についての説明は必要でしょうか? 少し長いご説明となりますが……」


 そ、そんなだったのか……。

 となると、もしあの時気絶してなければ、普通に僕自身にチートが与えられて、異世界冒険譚とかになってた可能性も?

 

 でも、そりゃないなー。

 むしろ怖気づいて、辞退とかしてたような気もする。

 

 でも、いくら僕が前後不覚だったとはいえ、そばにいた猫に代わりに聞くって……。 

 猫と人間を同列で扱うって……さすがに、それは適当すぎやしないか?


 それに、代理示現体って……なんなんだそれ? 神の意志の代弁者ってとこなのだろうか。

 例えるなら、イエス・キリスト的な? でも、それが失敗したとなると……。

 まぁ、いずれにせよ……ここは追求しても仕方が無さそうだ。


 ともかく、神性存在とやらの説明は要らないか。

 要するに、この世界の神様で、なんでもあり……そんなところだろう。


「いや、神様が実在するとかそう言う話なら、もう納得してますよ。問答無用で信じるしか無いでしょ……こんなの。いい加減ってのも、ここまでのやり方を見てると、なんとなく解りますね」

 

「畏まりました。いやはや、手間が省けて助かります。それと、こちらの世界……日本の高倉オーナーのコンビニが建っていた場所には、そっくり同じ建物が残されているんですよ。もっとも、ガワだけで中身はなにも無いがらんどう……その割には電力、上下水道、電話回線なども利用され続けている状態です。おかげさまで、このように電話回線経由で、高倉オーナーと直接連絡が取れるようにもなっているんですが……。如何でしょう? どうやら水道や電力などもきっちりご利用されているようですし、電話も問題ないようですよね? ガスについてはこちらで調べた限りでは、プロパンのようなので、ボンベの交換が必要であれば、商品発送に便乗させて、都度お送りし、そちらで交換いただくということで、よろしいでしょうか?」


「な、なんなんですか……それは? でも、そうなると、光熱費とかどうなるんですか? 僕の口座から資金がなくなったら、とめられちゃうんですか?」


 僕が持つ財産自体は、毎月盛大に赤字垂れ流しでも、年単位は持つと高をくくってた程度の額があるので、本来は問題にならないんだけど……。


 本部への支払いや公共料金、光熱費支払い用の店舗名義の口座残高は、100万にも満たない……これが当面の問題だ。


 実を言うと、僕はコンビニの営業の片手間に、株やFX、仮想通貨取引などを行い、それなりの儲けを獲得しているのだけど……。

 その大半を僕は、様々な手段で秘密財産化しているんだ。


 例えば、記録媒体単位で、とあるストレージバックアップ業者に預けている仮想通貨……。

 

 仮想通貨ってのは、正式な取引所だけでなく、アングラ取引所というものがあるので、そこに伝手があるだけで、割と簡単に闇金が出来てしまうのだ。


 ストレージバックアップ業者は、災害対策として、田舎の山奥とかに倉庫を構えて、顧客データHDDなんかを預かってくれるまっとうな業者なんだけど、基本的に電話一本で何も言わず返してくれる。


 預かった媒体のデータが何なのかは、一切チェックしたりしない業者なので、割とこの手の用途に便利使われしているらしいのだけど。

 確信犯なのか、やたら厳重なセキュリティを誇り、顧客の秘密についても、徹底厳守する事で定評がある。


 闇トレーダーに資金を預け、資金運用を任せているようなのもある。

 お互いどんな奴なのかすら解ってないのだけど、運用益を折半することを条件に、毎月しっかり利益を出してくれる。


 運用損については、こちらが丸かぶりすると言う契約なのだが、その手腕は確かなもので、大暴落などが起こってもなんだかんだで、利益を確保してくれたり、なんだかんだでこっちに損をさせないやり手トレーダーのようだった。

 その所在すらも知れない闇銀行の口座なんてのも複数持っている。


 とにかく、アングラ資金ってもんをいくつも持っていて、その数も種類も多岐にわたっているとだけ言っておこう。


 まぁ、要するに、ちょっと人には言えない後ろ暗い金ってのを、僕は多数所持してるって事なんだ。


 理由は、税金対策もあるし、銀行ってものの内部事情を知る僕は、真っ当な銀行をそこまで信用してない。

 貸金庫とかだって、銀行員がその気になれば、中身をちょろまかす事なんてワケないし、預金にしても記録を残さず、こっそり分捕るような真似だって、不可能じゃない。


 反面、アングラ金融ってのは、法的な保証もなく、詐欺や暴利の温床じゃああるんだが……。

 アングラの世界は、信用ってやつが絶対的なものとして、成り立ってるのだ……それこそ、表の世界以上にね。


 顧客を裏切ったり、信用を踏み倒すようなやつは、文字通り消される……ダーティではあるんだが、信頼と実績、信用がものを言う世界なんだ。


 手数料とかはクソ高い上に、その取引には、やたら手間と時間がかかるのだけど……顧客の秘密は絶対に守るし、足もつかないように様々な工夫がなされている。

  

 例えば、とある闇銀行の口座から現金化する時は、まず公衆電話などから、口座設立時点で予め渡される暗号表に記載された10個位の携帯電話の番号へ連絡する。

 

 この携帯電話は、日によってどれかが繋がるようになっていて、外れだと「おかけになった電話は……」となるのだけど、一つだけ誰かが出るようになっている。


 電話に出たやつは、名も告げずに「はい」とだけ答えるから、こちらは「〇〇社のXXなんですが、△△社ですか?」とやはり予め指定されている架空の会社名と人物名を告げると「違います」とだけ答えて、一方的に切られるんだけど……その社名と人物名を告げた時点で、こちらが取引を希望していることが相手に伝わる。


 仮に盗聴されていたとしても、ただの間違い電話にしか思われないと言うのがミソだ。


 数日すると、事前に登録しておいたメールアドレスに、スパムメールを装ったメールが届くので、さらにその本文から、暗号表を使って解読するとメールアドレスが浮かび上がるので、そこ宛てにやっぱり暗号表を使って、当たり差し障りのない文章に、金額を指定して送る……これが現金の引き出し依頼となる。


 そうすると後日、バイク便でとある駅のコインロッカーの合鍵だけが届く……。

 指定されたコインロッカーに出向いて、ロッカーを開けると、そこにはコンビニ袋いりの現金が入っているって寸法だ。


 とまぁ、そんな寸法なので、誰も現金のやり取りを追うことなんて出来ない闇金の出来上がりって奴だ。


 預ける時は逆の手順を踏む……事前連絡の上で、指定された期日に適当なコインロッカーに現金を突っ込んで、指定された公園の片隅のベンチの下にロッカーの鍵を落としとくだけで、取引終了。


 後日、贋作の名画とかが領収書と一緒に送られてくるんで、適当に飾るなり、倉庫にしまっておしまい。


 要するに、僕は怪しい業者に騙されて贋作買って、お金をドブに捨てた哀れな詐欺被害者って寸法だ。


 税務署がガサ入れしてきたって、絶対に解りようがない……。

 なにせ、偽物を買って金をドブに捨てたからと言って、それに税金がかけられるかと言えば、そんなことはないからな……実にあくどい。

 

 さすがに、政府機関なんかに、こんな裏事情……とても伝えるわけにはいかない……。 

 

 でも、僕が向こうの世界に行くのは、ちょっと無理がある以上、闇金を使おうにも手段が無い……ちょっとこれは考えないといけないな。

本日分……アップ前に最終改稿してたら、倍になってしまったので、本日分は二分割アップします。


ちなみに、闇銀行とかの記述は完全に創作なんで、

そんなものはない……と言い切れないのが、アングラの怖いところ。


高倉オーナーも実は、結構この手のアングラとの関わり深い人物だったりします。


政府機関と神様のバックアップ……普通の主人公なら、無条件でやったーってなるんでしょうけど。

彼の場合は、すでにどちらにも頼らず、独自の手段で双方の世界でやり取りする方法なんてのを考えてます……。


美味しい話には裏がある……彼もまた海千山千の商売人。

信じるのは、信頼と実績……うまい話に乗るほど甘くない。


さてさて、これからどうなるやら。

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