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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第六章「ロメオ王国漫遊記」

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第五十五話「海の女神様」①

「うにゃーっ! なんでだにゃーっ!」


 とまぁ、カッコよく人知れず、夜間飛行と洒落込もうとしたんスけどね。

 某もテンチョーさんも、この世界でもチート魔術のひとつ、高速飛行が発動できなくなってたんす!


「テンチョーさんも飛べないんスか……。そうなると……これは?」


「もう一回! 行っくニャーっ!」


 テンチョーさんが助走をつけて、ジャーンプ!


 けど、普通にジャンプしただけ。

 そのまま、普通に地面にダイブ!


「なんでにゃっ! いつもはこれでフワーンと行くのに……」


 飛行能力とか、魔力があれば呪文もアクションも要らない。

 ただ、飛ぼうと思えば飛べる……女神の力って、そう言うもんなんすよね。


「……どうなってるんすかねぇ……」


 言いながら、海に向かってゴッドデコピン!

 

「しかし、何も起こらなかったっす!」


 いつもなら、パチンと鳴っただけで海くらい軽く割れるのに……。


 ただの指パッチンで終わり。

 おまけに、ブビーとか安っちいブザー音付き。

 

 なんスか? これ……某達のチート能力が発動しない?


「うにゃっ? このエリアはセレイネースの領域につき、ラーテルム由来の力のご利用は協定で禁止されておりますとか何とか言われてるよーっ!」


 テンチョーさんが何もない空間を指差してるっす。

 警告ウィンドでも出てるっぽいっすね。


「ステータスオープン!」


 某達、使徒の一応標準スキル。

 ステータス表示……。


 まぁ、数字とかあんま意味ないんスけどね。

 なにせ、基準が判らん。


 けど……ほとんどの女神スキルが赤斜線で使用禁止とか出てるっすなぁ。

 女神の加護とかも一切合切が使えないみたいっす。


 つまり、今の某は自前の能力だけ。

 小突かれただけで、骨折とかしかけない貧弱ゥ青年ッ!


 けど確かに……ここって海にせり出した浮島の上。

 このロキシスの街自体が、潮汐に対応させるために、巨大浮島を作ってその上に街を作る……そんな感じなんすよ。


 駄女神も今回の件は、関わらない方が良いとか遠回しに言ってたのは、そう言う事っすか……。


 こんな大事なことを伝えないとか……あんの駄女神、どこまでも……っす!

 

 ……まぁ、所詮は借り物の力……絶対、どっかに罠があるって思ってたら、案の定……っすー!


「やっぱ、テンチョーさん……。理由は解らねぇっすけど、ここでは女神のチートが使えないみたいっす! 多分、陸に戻れば使えるようになると思うんすけど……。ちょっとでも海に近づくと使えなくなるとか、そんな感じみたいっす!」


「うにゃっ! それじゃ、テンチョー何も出来ないじゃにゃいかーっ!」


 テンチョーさんは某よりも女神の使徒としての力に依存してるみたいっすから、そうなりますわなぁ……。


 しっかし、女神の力って地域限定だったんすねぇ……。


 とんだ弱点があったっす!


 多分、この調子だと駄女神に助けを求めても無駄っぽいっすな。


 けど、そう言う事なら……。

 捨てる神あれば拾う神ありっす!

 

「……セレイネースさん! 見てるんスよね! 某達が無力感に打ちのめされてる様子を、影から見てほくそ笑んでるとかそんなのだと思うっすけど、まずは話し合いを所望するっす!」


 とりあえず、呼びかけてみるっす!

 

 まぁ、状況は解ったっすから。


 多分、一連のイベントは海の女神さんとやらの仕業っす。

 某達はもはや女神の加護のない凡人……である以上、無力。


 こうなったら、ダンナを見習って話し合いを所望っす!

 

「……モンジロー? なんだにゃ、そのセレイネースってのは……」


「駄女神から一応、話を聞いてはいたんスよ。海の領域は別の女神が支配する領域だって、それにステータスにもしっかり名前が出てるじゃないすか……。要するにセレイネースの領域だから、ラーテルム由来の力は使えない。なら、セレイネースさんと話し合いをして、某達の力を海の上で使えるようにしてもらうしかねぇっすよ!」


 テンチョーさんも解ってくれたみたいで、しょんぼりしつつも某のそばに戻ってくる。

 

 うん、なんかとんでもないのがいるのは解るっすよ……。

 某、こう見えて存在感を消したり、気配を察したりは割と得意っす!


「な、なんか、水が出てるにゃっ!」


 テンチョーさんに言われて、屋上の床を見ると、床からじわじわと水が湧いて来てる。


 そして、それはたちまち人の姿を象っていく。 

 まぁ、一言で言えば、半透明な全裸爆乳おねーちゃんのご登場っ!


「うふふふ……。呼ばれて飛び出て、こんばんわー!」


 なんとも懐かしいフレーズ。

 つか、ノリが……軽いっすなぁ。


 この世界の女神ってこんなんばっかなんすかねー。


「やぁ、こんばんわっす!」


 思わず、そのたゆんたゆんと揺れまくってる爆乳に向かっておじぎっす!

 ありがたや、ありがたや……


「って、どこ見てんのよ……」


 水スライム人間みたいだったんスけど。

 慌てて、胸を隠すとひらひらしたミニスカとブラジャーみたいなので、微妙なところは隠してくれたっす。


 某、三次元にはあまり興味ないっすからね。

 何より、半透明な水人間の裸とか、思った以上に萌えないっす。


 和歌子姐さんみたいなのは……うん、しゅばらしかったですお。


「某、爆乳とか嫌いじゃないっす! 始めましてっす! 爆乳たゆんたゆん神さん」


「ば、爆乳たゆんたゆん神って……? あのねぇ……どう言う呼び方なのよ。意味は良く解らないけど、ものすごく失礼ってのは何となく解るわ」


「ふむ、失礼した! 名乗りを聞いていないので、某の第一印象で名を呼んだ次第。つか、それいわゆる代理体なんすよね? やっぱ、本体はこっちには来れないんスか?」


 まぁ、名前も知ってるんスけどね。

 名乗らないんだから、決めつけ良くないっす!


「……さすが、ラーテルムの使徒ね。御名答……確かに君の指摘通り、私は海の女神セレイネースの代理構成体。要するに分体ってとこなんだけどね……っていきなり馴れ馴れしいし、なんなの? その変な髪型は……」


「……変とは失礼っすね! 某のボンバヘッドを笑うとか、例え神の代理体であっても許しませんぞ? これは名誉の負傷の末にこうなったし、割と好評なんスよ? あ、某の名は坂崎紋次郎っす! 趣味は萌える女の子の絵を描くことっす! お近づきの印に一枚、描いてしんぜよう!」


 さらさらっとスケブにセレイネースさんのお姿を描く。

 半透明じゃなくって、実物を想像してアニメタッチでサラサラっと!


「あら、これ私? なんだか、可愛らしい絵にしてくれたのね……。うん、いいね! 衣装もおしゃれねぇ……」


 ゴージャスナイトドレス風のセレイネース様(想像)を描いてみたっす。

 髪の色はきっと青、ドレスも透き通ったセルリアンブルー! 水の女神様とか悪くなーい!


「某、セレイネースさん、嫌いじゃないっすよ。巨乳は正義……海の女神とか、海の男の憧れっしょ! まさにモテ神様! きっと実物もこんな感じでゴージャスでしょうな!」


「やだぁ……もうっ! そ、そんな褒めないでよ。初対面でそんな持ち上げられたからって、ご機嫌になったりなんかしないんだからねっ!」


「いやいや、いいですなー! そのツンデレっぽいテンプレセリフ! ゴージャスかつセクシー、それでいてツンデレとか破壊力抜群っすよ!」


「そ、そう? あなた、なかなかお世辞が上手ね。でも、ごめんなさいね。笑ったりとかして、そこはす素直に謝罪するわ」


「うんうん、素直なのは良いことだと思うっすよ? 母なる水の女神様、またひとつ素敵ポイントアップすね!」


「ふん……使徒モンジロー。月をも穿つ史上最強の使徒って聞いてるけど、思ったより話になりそうね。んで、何か話があったんじゃないの? 今日の私はちょっと機嫌いいから、特別に話聞くわよ」


 ……存外、チョロいっすね。


「あのですな。某達……ちょっと海の上に出ただけで、あっさり無力化とかそりゃねーでしょ! まず、これだけは言いたいんすけど」


「そ、そうだにゃーっ! なんで、テンチョー達の力が使えないのにゃー!」


 ……答えは解ってるんスけどね。

 まぁ、テンチョーさん交渉は駄目そうっすけど、某も微妙っすからねぇ……。


 とりあえず、ここは強気に出てみるフェイズっす!


「ごめんなさいねー。私に言わせれば、そりゃそうなんだけどね。ラーテルムの使徒の力は私の領域では、使用が禁止されてるし、私の加護や力は陸には及ばない。一応、これは神々同士の協定だから、例外は一切認められないのよ。別に悪気があっての事じゃないし、君達をどうこうしようという気は無いのよ。協定で他の神の使徒に手を出すのは許されないのよね……。だから、結果的に力を奪っちゃったかもしれないけど、不可抗力って事で許してね」


「……うにゃーっ! なんだそれっ! テンチョーはすぐにでも御主人様の元に駆け付けたいのだにゃっ! 邪魔する気なら蹴散らすだけにゃー!」


 ……テンチョーさん、実は割と好戦的。

 脳筋とも言うっす。


「まぁまぁ、テンチョーさん。ここで事を荒立てても意味ないっすよ。そもそも戦って勝てる相手でもないっすよ?」


「う、うにゃあ……」


 テンチョーさんも今の自分が無力なのは解ったみたいっす。

 ショボーンとしょげかえって、俯いてる……某、女の子は泣かせたくないっす。


「この様子だと特別に……とかは期待できないんでしょうねぇ。けど、こうやって姿を見せてくれたんだから、話し合いの余地はある。そう言う事っすよね?」


「うんうん、おもしろ頭君、解ってるね。ちゃんと名乗りもあげてくれたし、君なりに私に敬意をはらってくれてるってのは、解る。紋次郎くん、君は合格かな。でも、そっちのにゃんこちゃんは駄目ねー! 邪魔するから蹴散らすってやれるもんならやってみなさい! まったく、これだから獣人ってのは……」


「うにゃっ! バカにされた! モンジロー、こんなのと話なんてしても無駄にゃー! いいから、御主人様のところへ連れて行くにゃーっ!」


 テンチョーさんのストレスがマッハっす!

 

 けど、今回の件では駄女神は役に立ちそうもないしねぇ……。


 これは思った以上に厄介な状況の予感がするっすよ……!

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