閑話休題「テンチョー密着24時!」②
「にゃるほど、お前がご主人さまをイジメたのかにゃ?」
「そ、それは……。あれ? 考えてみたら、私……タカクラ閣下には……ん? 特に何もしてない……?」
ツンデレツインテールとかテンプレなんだけど。
割とこの子、暴力系……ある意味問題児。
実力を披露って、放とうとしてた奥義……あれって、軽くドラゴンとか半分コにしちゃうような危険技。
あの時、某もすみっこでこっそり見てたんすけどね……。
実は、この子、何もしてないってのは解ってるっす!
峰打ち、ボキャアッ! とかやっちゃってたけど、タカクラのダンナって、地味に不死身の加護持ちだし。
と言うか、最初にダンナがこっちに来て、猫耳になった時点でちゃんと付けてもらってたらしい。
ラーテルム様的には、単なるおまけなんだけど、あっさり死なれても困るから、安全装置的な感じで付けてくれたらしいんっすね。
これもやっぱり、ダンナは知らないし、気付いてないっぽい。
そもそも、一切説明しなかったらしいし、不死チートっても死んで初めて発動されるから、本当に死なないと本人にも解らない。
そうなると……まぁ、本人としては保険でも何でも無いっすよね……。
実は、この時点でダンナも立派に使徒の一員なんだけど……そこら辺は自覚しない方がいいと某、思うんスよ。
ダンナって、鈍感だし、チート無しで自前の力だけで成り上がったような方なんすけど、それが上手くハマってるような気もするんすよね。
下手に不死身チートの事を言っちゃうと、調子乗ってまた無茶しそうだし。
チートなんて頼んないに越したことは無いんスよ。
某なんて、やたらいっぱいチートもらっちゃったけど、二割くらいしか使ってないし……。
戦ったりなんかしたら、余波だけでどえらい事になりかねない。
正直、持て余してるんスよね……。
まぁ、そんな訳で、女神様もさっそく、タカクラの目の前に降臨して、お告げをーとかやろうとしてたんだけど、某が阻止したんですよ。
女神様、某の言う事なら、結構聞いてくれるし、チョロいんすよね。
なんでまぁ、変なこと言い出したら、まぁまぁって宥めるのも某の役目みたいになってるんすよ。
某、まさに縁の下の力持ちっ!
「リスティスさん、その前に、きっちり、旦那様にアッパーキメて、ぶっ飛ばしちゃったじゃないですか……。旦那様への暴力って事なら、貴女もわたくしも同罪ですわ……。一人だけ良い子ちゃんになろうなんて、そんなの許されませんよっ!」
ラトリエちゃんがしっかり告げ口。
まぁ、確かにアッパーからの車田落ち、トドメにラーメン頭にかぶってホァッチャーとか、ギャグみたいなコンボ決めてたっす。
タカクラのダンナも災難だったっすねぇ……。
ああ言うの見てると、別にハーレムとか羨ましくないやって思うっす!
ホントっすよ? 某も女の子にゴミを見るような目で見られるよりも、素敵ーとか言われたいっすけどね。
けど、風が吹いてパンチラーとか見ちゃったら、それを描き留めるとかエロ絵師の基本だと思うっす。
描いちゃったら、本人にも見せたくなるでしょ? ……それがモデルになってもらった方への礼儀だと思うの。
まぁ、大抵照れ隠しのボディーブローとかビンタとか、食らうんスけどね。
この村の子って、暴力系ばっかっす……ヒドス!
「お前は? まず名前を名乗るにゃっ! って言うか、そもそも、お前らはなんなんだにゃーっ! 誰が誰にゃんだか解かんにゃいぞーっ!」
「だ、第二夫人様……そ、そこからなんですか? えーと、わたくしはラトリエ、この度タカクラ閣下の妻として認められました……。土下座してるのはリスティス、そこでポヤポヤしてるのがセルマイル。と言うか、セルマさん! なんで我関せずって感じで、チョウチョを目で追ってるんですか? 貴女も立派な当事者ですわよ?」
「あっ! すみません……うふふ、見てくださぁい。ちょうちょさん……私の手に乗りましたよ……可愛いですねっ!」
……うん、このコ歩くメルヘン時空発生装置だわ。
この子が歩くだけで、世界の法則が乱れるっ! 今だって、一瞬で背景がお花畑に……。
これはダンナも苦労しそうだなぁ……。
まぁ、ダンナさえ良ければ、某の描いた無修正ハードエロ漫画をじっくりたっぷり見せて、教育してあげてもいいんスけどね。
こう言うメルヘンなコを容赦なく、ゴブリンとかオークが……そんな感じのでも描いてもいいなぁ。
本人に見せるかどうかはともかくねっ!
ちなみに、このラトリエちゃんはむしろ、某の聖典の愛読者だったりするっす……。
愛読書のタイトルは「追放された侯爵令嬢のわたくし、性奴隷として毎日殿方にご奉仕していますが、わたくしのテクニックの前に皆、メロメロなんですわーっ!」なんてタイトル……。
何気に、女性向けのエロ漫画なんすけどね……。
それを堂々と外歩きながら読んでたもんで、さすがの某もびっくりっす!
まぁ、カバーとか細工して、普通の無地の表紙の本に見せかけてるんスけどね。
背後からこっそり中身をチラ見して、すぐ某の本だと解ったっす。
あれ……おもくそ、ハード陵辱系なんだけど、日本でも意外と売れたんスよね……。
追放された侯爵令嬢が奴隷落ちして、性技を駆使して、色んな野郎を逆に下僕にして成り上がって復讐を果たすってストーリーなんすけどね。
なんで、そんなのをラトリエちゃんが持ってたのかって、出どころの見当も付くっす。
こっち来たばっかの頃、生活費に困って、手持ちの聖典の数々を異世界の本つって売ったんスけど。
どうも、ラトリエちゃん……その一つを偶然、手に入れたっぽいんスよね……。
なんだか、彼女の口調とか性格とか、影響与えまくっちゃったみたいで……どうなんスかね?
計算高く高飛車で、何かとあざといとか……某のメイキングしたエルマゼット侯爵令嬢そっくりなんスけど。
某、またやっちゃいましたかね?
なんにせよ、愛読者には違いないっすからね。
某、他人……それも女性の性癖とか、とやかくいいません!
「あー、その……ですね。この二人もわたくし同様、タカクラ閣下の妻として認められた者たちですわ。正式に席次はまだ決まっていませんが、以後よろしくお願いいたしますね。あ、これ……つまらない物ですが。第二夫人様は海の幸が好物だと伺ったので、手土産をですね……」
……ラトリエちゃんがテンチョーさんに差し出したのは、アジの開きの束っ!
初手賄賂とか……なんと言うか、この子あざといなぁ……。
「うにゃーっ! お、お魚だにゃーっ! お前、こ、これ……どっから仕入れたのだにゃ?」
さっそく、アジの開きをそのまま齧るテンチョーさん。
一瞬で顔がほころぶ……あ、これ落ちましたね。
ぶっちゃけテンチョーさんは、モノに弱いんスよ……。
おまけに、ラトリエちゃんは亜空間収納魔法の使い手。
鮮度も抜群、贈答用の厳選された海の幸……これは、ポイント高いでしょ。
「うっまーっ! うん、これは美味しいにゃっ! ラトリエだっけ? ……これ、もっとないのかにゃ?」
「す、すみません……実はそれ、たまたま収納空間にしまってあっただけでして……。わたくしの故郷は、港町ですので、こう言うものでよろしければ、後日いくらでも……お気に召しましたか?」
「お気に召したにゃーっ! うん、お前良いやつだにゃ! よしっ! 許すにゃっ! お前、もう行っていいにゃー!」
ラトリエちゃん、イチ抜けを悟って、おっしゃーっ! とか言ってるし……。
やっぱ、猫かぶってるのね……あざといっす。
と言うか、テンチョーさんチョロすぎっすー!
「第二夫人テンチョー様……寛大なる処分、本当にありがとうございます。それでは……わたくしは、席を外させていただきますね。あの……二人にも寛大なる処分を下されるよう、お願いいたしますわ。これは彼女達の友としてのお願いですわ」
「そうだにゃっ! あ、ラトリエ……今度、お前の故郷にも行きたいにゃっ! 海があるなら、やっぱり、お魚いっぱい食べれるのかにゃー」
「そうですわね……もうお魚なんて、食べ放題ですわよ。お刺身から焼き物まで、なんでもありですわっ! 是非、閣下共々いらしてくださいね。もう、大歓迎いたしますわっ! となると、近いうち……旦那様が退院次第、我がロキシスご来訪……と言う事でよろしいので?」
「それでよろしいのにゃーっ! 楽しみだにゃーっ! あ、お返しにこれやるにゃっ! コンビニの割引チケットだにゃっ! いっぱいお買い物していくにゃーっ!」
「ありがとうございます! 実はコンビニ、とっても気になってたんですのよね……うふふ、お二人さん、悪いけど、わたくし、これにてイチ抜けですわーっ!」
ラトリエちゃん、世渡り上手。
お見事、お見事。
「ちょっ! 待て、ラトリエ……考えてみたら、アンタが一番悪いんじゃ……。攻撃回数で言ったらアンタがダントツじゃないっ! しかも、思いっきり買収とか……なんて卑怯なっ!」
「おーほほほっ! 何度でも言いますけど、わたくしのアレは、暴力ではなく愛っ! 旦那様からもお許しの言葉を頂き、第二夫人のテンチョー様からもお許しをいただけた以上、わたくしの無罪は確定っ! それでは、御機嫌よう……ですわーっ!」
イチ抜けを果たしたラトリエちゃん……スキップ踏みながら、裏口から出ると、早速、懐から遠話水晶を取り出して、何処かへ連絡中。
どうやら、相手はロキシスのお身内の方のようで、タカクラのダンナの歓待プランのゴーサインを出してるらしいっす。
うん、港町……海かぁ……いいっすなぁ。
きらめく太陽、白い砂浜……何処までも青い海……。
キャッキャウフフと波と戯れる水着姿の美少女達っ! これっすよ! これっ!
そうなると……これは、水着回の予感っすなぁ……!
ふふふ、来たよっ! 降りて来たっすよーッ!
早速、ダンナの嫁さん達の水着のデザインをしないとですぞ!
なにせ、この世界……水着とかって、なにそれって感じらしいですからなぁ。
そもそも、海水浴とかそんな習慣もないって言うし……。
いや、もちろん全裸でってのもありかと思うけど。
違うんだよなぁ……水着には、水着の良さってもんがあるんスッ!
ヌーディストビーチとか、なんか違うし、何より水着姿は健全っ!
美少女同士が肌色多めで、くんずほぐれつしてたって、当局だって、ぐぬぬって黙るしか無いんスよ!
某、ダンナの嫁さん達に色目使うとか、えっちな目で見たりとか、そんな気はサラサラないけど、美少女の健全なる水着姿は見たいっ!
きっと、ダンナも大いに賛成してくれるはずっすー!
そう言う事なら、某労力は惜しまないっすよ?
タカクラのダンナには色々お世話になってるし……もう、デザイン料なんて、一切いただきませんっ!
某、コスチュームを自作とかだって、出来ちゃうから、丹精込めてハンドメイドしちゃうしっ!
サイズは……目測でOKッ! それがしの目にかかれば、女子のスリーサイズなど手にとるように解るっす!
もちろん、ダンナや当人達のリクエストは大いに承るッ! 震えて待つっす!
ラトリエちゃんは、本来は根暗なガリ勉タイプのコだったんですけどね。
たまたま連れてってもらった仮面オークションの会場で、紋次郎作品を落札して、ドハマリして耳年増化しちゃった上に、主人公の性格とかモロ影響受けちゃったと言う。
なお、ロキシス来訪編は、水着回の予定です。
残念ながら、ワイラボ先生は全身画までは描けないんで、イラスト化は無いんですが……。




