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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第五章「結成、クロイエ親衛隊!」

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第四十四話「三大貴族令嬢達の対決!」③

 とりあえず、如何にもこれ以上話なんてしたくないと自己主張してるので、隣の子に視線を移す。

 本人も話は終わりって言ってるんだし、ひとまず、それでいいや。


「ああ、うん……ひとまず、以上でよろしい。次っ!」


 リスティスくんが再び壁を背に向けて、一歩下がったのを見て、選手交代とばかりに、青服の子が一歩踏み出して、踵を揃えて綺麗に90度ターンを決めて、僕に向き直るとまずはペコリと一礼。


「お初にお目にかかります。わたくし、ラトリエ・ロキシウス二等親衛武官補と申します。タカクラ閣下ですね……うん、思ったよりも素敵な方で良かったです……。今後とも末永く、よろしくお願いしますねっ!」


 そう言って、ニコリと笑顔を向けて、もう一度、腰の前で両手を揃えて深々と丁寧にお辞儀。

 

 おお、三人の中で第一印象に関しては一番マトモって感じだ。

 

 だって、セルマちゃん……いきなり、全裸朝チュン。


 なかなか衝撃的な登場シーンだった。

 まぁ、いいモノ見れましたけどね。


 リスティスちゃん……いきなり、ツンしかない上に、ぶった切り。

 さすがの僕も被害甚大……何いきなり怒られてるの? 僕。


 ラトリエちゃん……笑顔で始めましてー!

 

 い、癒やされたっ! やっべぇ……この子、破壊力、あり過ぎるっ!

 清楚な感じで、涼し気な青基調のメイド服も相まって、超いい!

 

 敬礼が欠けてるとか、軍人さんなら怒るところだけど、代わりにしっかりお辞儀してるんだから、それで問題ない。

 聞いた話だと、ロキシウス家は貴族だけど、元は海運商で、要するに平民上がりらしい。


 僕と一緒で、過去にロキシス港を支配していたのだけど、悪政の末討たれ断絶したロキシウス侯爵の家名を受け継ぎ復活させた上で、ロキシスの正当なる後継者を名乗ってるらしい。

 

 逆にマルステラ家は、高級軍人を多く輩出している武闘派の元王家の家系。

 

 マルステラ公爵は、リョウスケさんの盟友と言うべき間柄で、その思想に真っ先に賛同し、自らの王国を譲り渡す事で、ロメオ王国建国の礎となり、幾多の戦場を共に駆け巡った……なんて逸話があって、国内の軍を取り仕切ってるのも、マルステラ公爵とその一族だと言う話……。


 ロメオは軍備をあまり重視してない上に、政治からは距離を取っているようなので、そこまで議会での発言権は高くないのだけど、北方貴族を取りまとめるシャッテルン公爵と並んで、国内トップクラスの大貴族であり、貴族のみならず、平民からも支持者が多く、やっぱり一大勢力となっている。

 

 シャッテルン家は文官や高級官僚などを多く輩出している文官の家系らしく、議会に強い影響力を持っているのだけど、軍部とはあまり縁がなく、やっぱり敢えて距離を取っている様子。


 基本的に、争い事とかあまり好きじゃないってそんな感じだけど、要するにお互い利害が激突しないように、住み分けてるって訳だ。

 

 その辺はセルマちゃんを見てるとよく解る。

 この子、どうみても武闘派違う。

 

 シャッテルン公爵も、太ましい感じで、温厚そうな風貌なんだけど、結構腹黒な感じの人で、色々商売の話も持ちかけられている。

 

 やっぱり、リョウスケさんの盟友の一人で、ロメオが商業国の色合いが強いのは、この人の影響が強いようだった。

 

 まぁ、会うなり、嫁さんもらって欲しいなぁに始まり、農園や鉱山、キャラバンの共同出資者として、名前を貸す代わりに、利益も折半とか、美味しくない? なんて話をされた。

 

 ものすごく収賄っぽいんだけど、僕の名前を冠したキャラバンなんて、それだけで投資が集中するから、名前を貸すだけでも投資としては、お釣りが来るほどなので、実際は一切お金を出さなくても、利益還元を受ける権利は当たり前にあると。

 

 投資の上での利益還元と、見返りを求めての賄賂は違うって……そんな理屈らしい。

 

 まぁ、なんと言うか貴族って言うより、やりての商売人……そんな感じ。

 ロメオあるある。

 

 ちなみに、うちの特産品がこれとか言ってでっかいミカンくれた。

 リョウスケさんの持ち込み作物みたいなんだけど、土と気候があったのか、やたらと巨大化した上に、割と年中実がなる様になったらしい。


 食べてみたら、まんま過ぎで、懐かしさのあまり、全僕が泣いた。

 まぁ、その気になれば、みかんなんて、日本からお取り寄せも出来るんだけど、なんだろう。

 昔、正月前とかに箱買いしたミカンの懐かしい甘さ……なんとも言えないノスタルジックさについ涙がでた。

 

 うーん、みかん農園なら、投資しても良いかも。

 農園の看板に僕の名前書くの許してくれたら、シーズン中、箱でみかんジャンジャカ届けるって言ってたし。

 

 ちなみに、ここに来るまでの間に、お父様から預かってました……とか言って、セルマちゃんのポケットからミカン出てきた。

 

 シャッテルン公爵の中では、どうやら僕はめっちゃミカン大好きってなってるらしかった。

  

 マルステラ公爵は……会うなり辺境伯領の軍事力増強がどうのと言い出すような人だったなぁ。

 むしろ、親切心からで、国を思っての気持ちは伝わってきたから、話だけでも聞いておいた。

 

 話聞いてるうちに、閣下の私兵にうちの兵隊加えて、辺境伯領軍を編成し、帝国やオルメキアにガンガン圧力をかけるべきだ……なんて話になったけど、とりあえずそこは逃げた!


 うちの私兵軍団……最近は、帝国軍の脱走兵臭い怪しげな傭兵団なんかも雇ってるから、ぶっちゃけ正規軍と一緒に出来るようなもんじゃないのだよ。

 

 もっとも、鉄道の話が商人ギルド経由で行ってて、そっちはかなり前向きな様子だった。

 

 ロメオの薄く広く軽武装軍を常備させて、有時には中央から精鋭を送り込む、戦略機動ドクトリンと鉄道なんて、めちゃくちゃ相性良いからね。

 

 これまでの調査で、この世界の技術で実用化は可能だって事はもう解ってるんだけど、実現となると中々ハードル多かったんだ。


 でも、軍関係者で、最有力貴族が興味を持ってくれて、乗り気だって解ったのはデカい。

 こうなって来るとむしろ、仲良くしたい訳でー、悩ましいんだよなー。


 けどまぁ、娘を送ってきたって事は、シャッテルン公爵に対抗してって意味だろうし、向こうもこっちと仲良くしたいって思ってるのは間違いない。

 

 なんでまぁ、僕としてはリスティスちゃんとは、どんだけ邪険にツンツンされようが、むしろ仲良くしたいのだよ。

 

 最後に、ロキシウス侯爵は……今作ってる新造大型商船、一隻丸ごと差し上げるんで、海運業とかもやってみません? ……とまぁ、ド直球だった。

 

 クルー集めも運行も、向こうが勝手にやってくれて、雇われベテラン船長の指揮で、僕の名を冠する船が世界の海を駆け巡ってくれるらしい。

 

 それでいて、船の所有権や色々差っ引いて得た利益は、全部僕のモノ……ウマーな話である。

 

 もちろん、船長として乗り込んで、海の世界で大冒険……なんてのもありなんだとか。

 

 それで向こうは、なんの得がって思うのだけど、宰相閣下の息がかかったネームドシップって時点で、海賊なんかもアンタッチャブルになるし、外国勢も臨検とか賄賂よこせとか、無茶しなくなるなど、メリット多数。

 

 知名度も安全性も抜群って感じになるので、多少運賃高めでも指名依頼もボッコボコ!

 

 ほっといても、あっちこっちから船団に入れてー感じで、船が集まってくるから、大船団組んで、大陸各地を巡る……往年のロメオ商船団復活を知らしめる事になるのは間違いなし!

 

 むしろ、名前貸してもらうだけでも、美味しいんで、是非お願いしますと。

 

 さすがに、ウマー過ぎて怖くなって、逃げたぜー。 

 いずれも、前向きに考えとくよ回答をしたんだけど、この回答がアカンのは、すでに証明されてる。

 

 間違いなく、どれも順調に話進められてる。

 最終確認の段階になって、あの話、順調なんだけど、正式なお返事どうでっかー? とやってくる訳だよ。

 

 法務関係者によると、法的にはグレーだけど、どれもアウトじゃないって回答。

 なんとも三人三様って感じだけど、そう言う出自だと解ってると、各々の行動も色々納得もできる。

 

 でも、この三人の中で、どれか一人をうちのコンビニ従業員として雇えって言われたら、迷わずラトリエ嬢かも。

 

 少なくともリスティスちゃんは、絶対客商売なんて向いてないし、セルマちゃんはシャッテルン公には、言いにくいんだけど、とってもポンコツ臭漂ってる子だから、微妙。


 思わず、リスティスちゃんにちらりと視線を送るのだけど、斜め上の天井でも眺めてるらしく、目線すら合わない。

 

 まぁ、彼女の中では僕は、怪しげな山師とかその手合に見えてるのかも。

 

 なんせ、唐突に現れて宰相とか言い出したパッと出もパッと出。

 信用なんかしてないんだろうけど。

 

 かと言って、突っかかって良いことなんて無いだろうに……。

 まぁ、ツンデレのツンは、損得勘定抜きでとにかく、ツンツン、大好きでもツンツン……そんなもんらしいしね。

 

 そう思わんと、イラッとする。

 けど、こんなんでも謹んでご返品は不許可なのだ……やれやれ、先が思いやられるぞ、コレは……。

 

「あの……リスティスちゃんは、誰相手でも、概ねこんな調子なんで、気を悪くしないでくださいね。ほんとは、気の優しいイイ子なんですから」


「なるほど、ツンデレって奴かな……それなら、解るよ。ラトリエくんか……うん、君なかなか悪くないね。こっちこそ、よろしく!」


 そう言って手を差し出すと、嬉しそうに両手で握り返してくれて、ブンブンと振られる。

 

 最後にそのまま、ほっぺに手を持っていかれて、スリスリと頬ズリされて、ニコッと笑顔。

 うわー、スベスベだし! 十代女子……流石だよ。


 初対面の挨拶にしては、中々激しいような気もするけど。

 印象付けるって事なら、これくらいやるのが当たり前っちゃ当たり前なのかなぁ。

 

 と言うか、割と全力で気に入りましたよアピールしつつ、こっちもめっちゃ見られてる。

 上から下、最後に猫耳と尻尾をじっと見られる。


 魔眼はもう切ってあるんだけど、思わず、尻尾がピコピコする。

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