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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第一章「猫テンチョーとコンビニ……異世界に建つっ!」

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第五話「キリカさんの異世界講座、はっじまるーよー!」④

「えっと、そっちの君はミミちゃんだっけ?」


 僕とモモちゃんのやり取りを、緊張した面持ちでみつめていた、もうひとりのチビ猫耳ガール。

 さっきも自分より大きなキリカさん相手に、果敢に取っ組み合いを挑んでいったくらいには勇敢。


 自らの危険も顧みず、モモちゃんを助けに戻って来るとか、その気質は買ってあげるべきだろう。


「そうだよ……ボクはミミ。モモを泣かせるような奴は許さないよっ! でも、二人はボクらの同族なの? それにしてはなんか、おっきくない? ボクらこう見えても大人だから、これ以上大きくなんて、ならないんだけど……」


「ど、同族なのかな? 良く解らないけど、お互いネコミミ同士だし、仲良くしようじゃないか!」


 子供だとばかり思ってたら、まさかの大人宣言……。


 ネコミミ族って、ミミとモモくらいで、ちっこいのが普通なのかな?

 そうなると、テンチョーや僕は……なんなんだろ?


「そ、そうだね……。うん、同族って事ならキリカみたいに、いきなり襲いかかってきたりしないだろうし……。モモの事もアイツから守ってくれてたよね。ありがとう! まったく、犬耳共はなんでこうも、どいつもこいつも乱暴なんだろうね」


「あ? いつも寝とるばっかの怠けモンのクソネコ共に、言われとうないで? もう一発かまさんとわからんか?」


 ……立ち上がって、拳をゴキゴキと鳴らすキリカさん。

 対するように、ミミも拳法の構えみたいなので、受けて立つ構え。


 なんでこうも、揃いも揃って、バイオレンスな方向に走るのかねー。


「まぁまぁ……キリカさん、一応仲間なんだし暴力はやめようっ! なっ!」


「マ、マスターがそう言うなら……。しゃ、しゃあない、今回は堪忍しといたるわ!」


「な、なんだよっ! 怖気づいたのか! こんにゃろーっ!」


「ンダコラァッ! なんなら、この場で決着付けるか? ああん?」


 売り言葉に買い言葉……なんとも一触即発の様相を呈してくる。


「えっと……その……二人共ね、仲良く、仲良くだねー」


 ちょっと強めに笑顔で言ってみる。

 笑顔で静かにキレる男……なかなか、迫力あると言われたもんだ。


 僕の静かな怒りに勘付いたのか、キリカさんも困ったように頭をボリボリと掻きながら、ミミの方をちらっと見ると、ミミちゃんも、ちょっと考えるような素振りを見せて、構えを解く。

 

 もう一度、キリカさんへと視線を移すとニコリと微笑んで見せる。

 スマイルは接客業の基本スキルだよ? フーフーフ、フフッ!


「ん、その……なんや……。ミミもモモも、さっきは手荒に扱って悪かったな。せやな、うちとお前らは一応、これから一緒に仕事する仲間やからな……。仲良うしよう……よろしゅうなっ!」


 そう言って、ペコリとミミに向かって頭を下げると、すっと手を差し出すキリカさん。

 

 なんと言うか……素直に間違いを認めて、謝れるような奴に悪いやつはいないって、僕は思うんだ。

 キリカさん、乱暴だけど、根はええ子や……奴隷とか抜きにして、うん……いい子だね。


 差し出された手を邪険にするわけにはいかなかったんだろう。

 ミミもおずおずとその手を取るとギュッと握りしめる。


「ボクの方こそ……。キリカ達ウォルフ族の勇気と強さは、ボク達だって良く知ってるよ。それに、時々お腹を空かせた仲間達に食べ物を恵んでくれたりしてたよね? ……ホントはちょっと尊敬してた。悪く言って、ごめんね」


 キリカさん、持ち上げられて、なんか気まずくなったのか、そっぽを向いて誤魔化してる。

 もしかして、ツンデレの素質あり?


 それにしても、お腹を空かせたミャウ族の子達に、食べ物を恵んであげたりとか……やっぱ、ええ子や。


「まぁ、とにかく、喧嘩はしないで、皆仲良くやって欲しいな。ねっ!」


「そうだね……解ったよ! でも、あのキリカがおとなしく言うこと聞くなんて……凄いよっ! マスター! なんか、モモもすぐ懐いたみたいだし、とっても美味しいご飯を食べさせてくれたし、そう言う事なら、ボクも頑張ってお手伝いするよっ! マスターさん、よろしくねっ!」


 うん、生意気っぽかったけど、ミミも根は良いコみたいだ。

 ボクっ娘なのもポイント高いね。


 君も、正式採用決定だ!

 

 でも、この子達……これで大人なのか。

 

 まさに、合法ロリ……? いや、違うっ! 一人前の従業員として扱っても、支障はないってことであってだなーっ!


「えへへへ……皆、お揃いネコ耳だねっ! えいっ! なっかまーっ!」


 テンチョーが待ってましたとばかりに、ミミとモモを、まとめて抱きしめると、そのほっぺたをペロペロと舐める。


「うひゃあっ! くすぐったい! ……お返しっ!」


「わっ! わっ! さっきはありがとうございました! えいっ!」


 お返しなのか、ミミとモモもテンチョーに頬すりすると、ペロペロと舐める……。

 

 なんと言うか……尊い光景だった。

 合法ロリとか不健全な単語を真っ先に思い浮かんだ自分、爆発しろっ!

 

 もしかして、僕も同族相手なら、女の子のほっぺをペロペロしていいのかな?

 

 猫同士の挨拶って、お互いペロペロするってのが、基本みたいだし、ネコ耳同士ならペロペロしても許される?


 ここは……男だったら、どーんとっ! いや、ペロッと……!

 

「うちは、誇りあるウォルフ族の族長の娘なんやでー! ウチらの一族は、この森に昔から住んでて、神狼フェンラルドを祖とする由緒正しい種族なんや! まぁ、うちのことはさっき色々説明したし、ミミモモは顔見知りやし、これでええやろ?」


 危険な妄想で、危うくそれを実行しかけていた僕を、キリカさんの言葉が現実に引き戻した。


 危うし危うし……ロリっ子ペロペロとか、許されるかもしれないけど、絵面的には完全にアウトだ。

 セフセフ……! セーフです!

 

 それにしても、キリカさん……犬娘かと思ってたら、狼娘だったんだ。

 どおりで好戦的な訳だ……。

 

 神狼って……あれかな、フェンリルとか、スコルとハティみたいなヤツかな?

 さすが、SRだ!

 

 そして、三人の視線がテンチョーに集まる。

 

「私? 私はテンチョーだよ! このコンビニの店長さんなのだっ! ご主人様とはペットと飼い主様の関係だにゃ! 私が子猫のときからずーっと、ずーっと一緒にいたんだにゃー!」


 まぁ、間違っちゃいないよね……でも、店長って……そうだったの?

 

 確かに、ストコンには名誉店長とか言って、従業員登録したりしてたけどな。

 名前も猫店長ってお客さんが呼んでて、それが僕も含めて、定着したってだけなんだよな……。

 

 もしかして、その神様だかなんだかは、テンチョーをこのコンビニの店長として認識しちゃったのではあるまいか?

 そうなると、僕ってなんなんだろ? 店長とオーナーでは、オーナーの方が偉いはずんだけど。

 

 神様がそんな常識とか解ってるのだろうか?

 

 ……いや、絶対わかってない。

 僕の立場は……多分、テンチョーのおまけとかそんなのだ。

 

 まぁ、そうなってるなら、それはそれで仕方がない……。

 そう言うことで良いんじゃないかな。


人間万事じんかんばんじ塞翁が馬(さいおうがうま)」って言葉もある。


 これは、運命というものは、表面的な損得では計り知れないものだから、目先の禍福で一喜一憂するものではない……そんな戒めの意味を込めた言葉だ。

 

 例えば、大怪我をして、海外旅行を延期したら、乗るはずだった飛行機が墜落した。

 大金を拾ってネコババしたら、犯罪に巻き込まれて、命を落とした。

 

 前者は大怪我という不幸にあったけれど、結果的にそれが命拾いにつながった。

 後者は、大金を拾うという幸運の代償として、命を落としてしまった。

 

 これは、極端なケースだけど……わざわいが、結果的に幸運に働いたり、逆に幸運が不幸を呼び込むような事、こう言うのって、世の中ままあることだと思う。

 

 ギャンブルに大勝して、調子乗って豪遊して、スッテンテンになるとかね。

 

 運命ってのは、得てしてそう言うもので、回り回って、どこかでプラマイゼロになるものなのだ。

 僕もこれまで過ごしてきた人生経験で、その言葉には頷けるものがあると感じていた。

 

 だからこそ、良しにつけ、悪しきにつけ、あるがままを受け入れる。

 まずはそこから……意外と皆、解っちゃいない世の真理。

 

 だから、僕は今のこの状況を受け入れる。

 そして、そこで出来る最善を希求する……それで良いんだと思う。

 

 新しい世界……新しい土地で、新しい仲間と……。

 テンチョーと言う家族もいるんだから……目的は、皆で幸せになろう!

 

 そんなでもいいんじゃないかな?

 

 色々物騒な世界みたいだけど……世界を救うとかそんな大それた事なんかしないでいい。

 

 手に届く……知り合った色んな人達と仲良くして、幸せの輪を広げていく……。

 うん、悪くない展望だよな……。

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