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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第五章「結成、クロイエ親衛隊!」

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第四十二話「クロイエ陛下の婿取り騒動」②

 その場で忌憚なく議論が続き、僕を含めて皆がこの問題がロメオ王国の命運がかかった大問題であり、早急に解決するべきだと認識するに至った。


 そんな中、その大問題を素晴らしく無難に解決する手段がひとつだけある。 

 そう、アージュさんに告げられた。

 

「陛下に絶対服従にして、国内でも圧倒的な権限を持ち、それでいて上級貴族でありながら、貴族のバランス関係とか関係ない立場の人物……そんな都合の良い人物ならば、婿養子として娶るのに、最適なのではないかな?」

 

 そんな風に告げられて、その場の人々もそうだ、そうだと同意してくれて、僕も思わず同意してしまったのだ。

 

 そして「けど、どこの世界にそんな都合のいい奴がいるんですかねー」と半ば諦めを込めて呟いたら、その場の全員がそのセリフを待っていたんだとばかりに、一斉に僕をズビシッと指差した。

 

 要するに、パッと出宰相の僕がクロイエ様の婿殿になれば、円満解決。

 

 僕も含めて、その場の全員一致でそう言う結論が出てしまったのだ。

 

 僕は……まぁ、ぐうの音も出ませんでしたねぇ……実際、そんな都合のいいヤツがいれば、スパッと解決じゃんって、心の底から思ったわけでしてー。


 その上で、満を持して、綺羅びやかに正装をしたクロイエ様が登場。


「タ、タカクラ殿……貴方が私に誓った言葉、死が二人を分かつその日まで共に歩む……その言葉に今、答えよう。……わ、私もそなたを生涯の伴侶として、共に歩んで欲しいと……今、ここに伏して願おう、どうか私の……」


 クロイエ様の精一杯のお言葉は、多分生涯忘れ得ぬだろう。


 そうおっしゃられたからには、僕に選択の余地なんてある訳が無かった。


 僕の返事は……。

 

「かしこまりました、仰せのままに、光栄至極でございます! 陛下。いえ、我が第一夫人クロイエ……」


 もう、この一択です。


 僕に向かって、跪こうとしたクロイエ様を押し止めて、先に目の前に跪いてその手を取って、手の甲にチュッとやって、もう完璧な臣下の礼をキメた上での、お姫様抱っこのコンボを炸裂させてやったぜ!


 そして、クロイエ様からほっぺにチュッ! 最ッ高のご褒美でしたーっ!


 かくして、その場で大喝采と共に、宴会が始まって、高倉健太郎第一夫人の称号は彼女のものとなったのだ。


 もっとも、結婚できるのは十五歳以上からなので、それまでは婚約者扱いってところなんだがね。


 なお、国内からも異論は一切でなかった。

 と言うか、皆、やっぱり、そう言うことだったんだって思ってたような感じだったのよね……。

 

 なにせ、僕自身は一切の野心もなく、クロイエ様の頼れる右腕として、命尽きるその日まで、その傍らで仕えることを就任式の際に、公衆の面前で誓っている。

 

 この時点で、アージュさんの「死がふたりを分かつまで共に」って例の誓いと一緒だったって、僕自身アージュさんにツッコまれて気付いたのだけど……。


 要するに、その宣言の時点で、クロイエ様の伴侶として、死がふたりを分かつまで共に歩むって公言したようなものだったのだよ。

 

 どうりで、あの演説の時、その場にいた観衆がどよめいた訳だよ。

 

 おまけに、三回くらいその言葉に嘘偽りはないか? とか聞かれたし、本当に? 本気で? 取り消すなら、今のうちよ? くらいの勢いで念を押されまくったから、こっちも女神の名に於いて誓ってやるさーっ! とか、大げさな返しをしてしまったのだけど……。

 

 王都でもそのまんまの勢いで、なんだかお祭り騒ぎになってしまって、宰相就任にしては、やけに大げさだとは思ってたんだ。


 ……まったく、カッコいいねぇ……僕ってやつは。


 かくして、僕自身の自覚はさておき、公衆の場でのまさかのクロイエ様の伴侶宣言。

 その時点で、クロイエ様はすっかり舞い上がってしまってたようなのだけど。


 実際は、案外ストイックな関係が続いていた訳でして……クロイエ様もそんな舞い上がってるような様子は少なくとも、僕の前では全く見せようとしなかったのだよ。

 

 もっとも、アージュさんの話だと、僕が居ないところでは、もうデレっぱなしでお説教しまくりの毎日だったらしい。

 

 むしろ、それ見たかったって思う。

 

 とは言え、クロイエ様とプライベートでの甘々っぽいイベント……ってなると、一緒に温泉入って流しっこしたとか、執務室で力尽きてたから、ベッドに運んてあげたら、こっちも力尽きて、ベッド脇で目が覚めたら朝だったとか、そんなちょっとしたイベントとか、ありましたけどねー。


 まぁ、いいところ、そんなもんだったんですよ。

 相手は10歳のお子様ですからねぇ……手を触れるのも、恐れ多いとか思ってたんですよ。


 もっとも、その辺僕は全く自覚してなかった訳でして……温泉でばったりってのも、クロイエ様なりに思い切ってみたらしい……鈍感すぎんだろ、我ながら。


 いつもは僕が入ってると、当たり前のように、乱入してくるアージュさんやランシアさんなんかが来ない代わりに、クロイエ様がお伴も連れずにって、その時点でおかしいと思うべきだったんだ。


 要するに、僕は臣下の一人のつもりで距離を置いてたつもりだったんだけど、クロイエ様的には、思ってたんと違うって感じで、とっても不満だったみたいで、色々アプローチしてたみたいなんですよねー。

 

 かと言って、立場上あからさまに甘えたりするわけにも行かず、僕のよそよそしい紳士的な対応に、クロイエ様も悶々とされていたらしい。

 

 そんな中、僕がシレッとキリカさん達を嫁と称して連れて来た事で、クロイエ様もどう言う事ーとばかりに衝撃を受けて、とっても不安になられたようで……。

 

 その事を涙ながらに訴えてきたクロイエ様の話を聞いて、アージュさん達もこれはアカンと思って、僕自身に自覚を促す為に、あんな魔女裁判みたいな演出をしたって訳だった。


 まぁ、なんと言うか……皆様、大変ご迷惑をおかけしました。


 ぶっちゃけ、それが最善だって、よーく解ったし、概ね僕が悪いって事もよく解った。

 

 クロイエ様もああ見えて、奥ゆかしいところがあるし、何より十歳のお子様……お気持ちってもんを汲んであげるべきでした。

 

 なにぶん、この世界の結婚って、別に婚姻届出すとか結婚式とかそんなん一切無いんだよね。

 成人した男女同士が夫婦になることを望んで認めあったら、もうその時点で夫婦成立って、なんだかとっても軽い感じなのよねー。


 一夫多妻の場合は、序列があって格上が旦那の妻としてふさわしいと認めないと駄目、とかあるみたいだけど、そこら辺は女の世界の話なんでよく解んない……。

 

 この場合、むしろ旦那の意志とか関係なしで、ある日嫁さん達から、この子新しいあなたのお嫁さんです……なんて調子で告げられて、嫁が増えた……なんて話すら聞く。

 

 この辺はまさに異世界って感じ……文化が違うーっ! って奴だった。


 いずれにせよ、さんざんフラグ立てまくって、放置プレイとかやらかしてた僕が全面的に悪かったのだ。

 

 大いに反省……もっとも、婚約者だからって、エッチな事とかはしないけどね。

 そこら辺は弁えてます……さすがに、そんなんアウトですがな。

 

 未成年に手を出しちゃ駄目。

 そこら辺は、もう常識とも言えた……ノットロリータ! ドンタッチイット!


 これはワールドワイドな掟だったのだ。

 

 それに、クロイエ様も立場ってものをわきまえてるから、二人っきりの時以外は、絶対にデレたり、甘い顔はしないのだね。


 まぁ、たまに執務室でうつらうつらしながら、書類仕事とかしてて、眠いから、ベッドまで連れてけとか言い出して、お姫様抱っこで運んであげるとか……。


 温泉行くから、背中流せーとか言われて、温泉一緒に行くくらいはしてるけどね……そこら辺がギリギリセーフってとこです。


 ウルスラさんとか、添い寝くらいしてやればいいのに……とか言うけど。

 どうなの? それ……。

 

 ぶっちゃけ、僕も十歳の高貴な身分の婚約者とか、どうしていいのか、良く解らないし、どう振る舞って良いのかも解らんのだよ。


 ……現状維持、宰相として、陛下の輔弼ほひつを担うものとして、東奔西走し、程々の距離で時々かまってあげるとか、そんなんでも良いのかなって思ってるし、それでいいって皆、言ってるから、それでいいのだよ。

 

 つまり、完璧なる現状維持。


 もっとも、当人同士の正式な言質が取れたってことで、国内外へ正式にクロイエ様婚約発表の布告がなされたんだがね。


『クロイエ女王陛下の婚約者がついに決定した! その者の名は「ケントゥリ・フォル・タルカシアス辺境伯」! 我が国の宰相として名高い女神の使徒、就任式で宰相閣下が陛下に語った「我が命尽き果て、倒れゆくその日まで、陛下の傍らで共に覇道を歩まん事を女神の名に於いて誓おう」と言う言葉の通り、この度、お二人は、多くの公証人の前で正式に婚約者として認め合ったのである。我が国の将来はもはや盤石である! ロメオ国民諸君、今一度陛下とその伴侶へ心よりの祝福を捧げよ!』


 国内からは、ですよねー? 的な反応で、これで我が国も百年安泰ですなーって感じで、もう一回お祭り騒ぎ。

 

 国外からは、ああ、やっぱそう言う事なんだったんすね-! はぁ、まぁ……おめでとぉ……的な微妙な反応が帰ってきた。

 

 ちなみに、国外からは「ロメオの鉄金宰相」なんてゴツいあだ名が付いてるらしく、各国の外務関係者からは「この先何十年も鉄金宰相のご相手をさせていただけるとのことで……辞表出したら、突っ返されましたんで、引き続きよろしく」……だの。


「……良い機会なので、少し休んでは如何でしょうか? 軽く300年ほど」なんて、気を使われてるんだか、嫌われてるんだか、ちょっとパンチの効いた訳解んないコメントももらった。


 まぁ、この世界の外交界隈では、これまでの国力にそぐわない不当な扱いに対する報いをって事で、ちょっとばかり猛威を奮ってみせた事で、すっかりビビられてるんだよね。


 チョロ過ぎるお子様王国とか馬鹿にしてたら、なんだか、やっべぇのが出てきやがったと、今や各国から、一目置かれ恐れられる程度の存在ではあるのだよ。


 まぁ、札束で殴りかかってくるような交渉相手とか、相手する側としては嫌過ぎるとは思うのだけど、ロメオの強みってまさにそれなんだもん。


 商人ギルドの借金取りと札束並べて、どっちがお好みですかねぇ? なんてやったら、大抵の相手が折れる。


 この手を使って、帝国に拿捕され、不法抑留されてた商船まとめて取り返したり、法国で抑留されて死刑宣告されてたロメオの大商人を一滴の血も流さずに奪還とかやらかしたし……。


 オルメキアの沿岸部で頑張って海上封鎖を続けてた帝国艦隊も、物資輸送を担ってた商船団を買収して、日干しにして追っ払ってやったりもした。


 いやぁ、現ナマ砲ってめっちゃ強いわー。


 小耳に挟んだ話だと、我がロメオと各国外交担当者を結ぶ、遠話水晶のホットライン。

 通称「地獄に繋がるホットライン」なんて呼ばれてるとか、呼ばれてないとか……。

 

 とにかく、そんな諸々がありまして……。


「ロメオ王国宰相高倉健太郎第一夫人クロイエ陛下」


 それはもう誰にも覆せない、決定事項なのだった。

さすが、俺達のタカクラオーナー! 俺達に真似できないことを平然とやってのける!(笑)

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