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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第四章「萌える月夜の決戦」

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第三十七話「エクストリーム主人公対決!」⑩

「いるんだな……これが。うちのテンチョーもだけど、僕らの最初のお客になってくれた聖光教会巡礼団の団長セリエ司祭って人だっている。コンビニの素晴らしさを世に知らしめなさいって神託をもらったとかで、なんかもうウチの宣伝部長みたいになってる人なんだ……」


 セリエ司祭は……一介のシスターだったのに、女神の託宣を受け、多くの信者を導き巡礼の旅に出て、あの日起きた女神が降臨しかけると言う奇跡を目の当たりにした者として、聖光教会でも極めて重要なポジションにいるのだけど……。

 

 日々コンビニの素晴らしさを信者達に説法するとか、とっても斜め上なことをやってる。

 まぁ、飢えた子供に猪村屋の肉まんを……とか言って、ホントにそれを実践してるような人だし、バカが付くくらいのいい人で、先日イザリオ司教から、直々に司祭の称号を与えられて、正式に聖人の一人として認定されたらしい。

 

 話してみると、結構オツムが足りない人なんだけど、アホ可愛いとも言う奴で、彼女の周りでは笑顔が絶えない。

 

 信者たちからのお布施を集めて、色々と新製品やらを買っては、女神様へ奉納して……。

 多分、女神様が堕落したのは、モンジローくんもだけど、この人のせいでもある……なんだけど、本人的には、女神様の神託に忠実で、女神様が喜ぶと思ってるからこそ、日々の奉納を続けてる、悪意なんてゼロ。

 

 まぁ、別にそれ自体は誰にも迷惑かけてないし、聖光教会も聖人認定してしまった以上、力添えすることはあっても、邪魔など一切しない。

 

 ただ……女神様の力の源ってのは、シンプルに人々の祈りだと、聞いた。

 多くの人々がその存在を確信し、祈り、願うことで、神々というものは力を得て、この世界へ干渉する力を得るのだという。

 

 ラーテルム様は、本来創世神にして、世界の敵と戦う戦神とも言われていたはずなのだけど。

 ここらでは、コンビニの女神とか別の呼ばれ方をされるようになってる上に、聖光教会信者には割引特典が付けるとかやったせいで、にわか信者が急増中。

 

 ちなみに、これはちゃんと聖光教会から、割引分の補填は頂いている。

 正式なタイアップ企画なのだ。

 

 義務っても朝晩、感謝の祈りを捧げるとかそんなもんで、ポイントカードのノリで入信する人達が続々と増えている。

 

 なのだけど……うん? 神様ってのが、人々の祈りを糧としているのなら。

 多くの人々がこんな風な神様なんだと信じ祈ることで、変質する可能性があるのではないだろうか。 

 

 もしかして、女神様がおかしくなったのって、そのせいなんじゃ……?

 

 実際、セリエ司祭あたりに聞くと、

 

「ラーテルム様は、この世にコンビニをもたらし、人々の暮らしを豊かにし、幸せをもたらすのです。皆さん朝晩に感謝の祈りを捧げ、ブンチキをいただきましょう!」


 なんて答えが帰ってくる。

 

 試練とか世界平和とかそんなの微塵にも出て来ない。

 

 この辺は、小難しい事を考えられないアホ可愛いセリエ司祭だから、なんだけど。

 にわか信者にはとってもわかり易いと評判だった。


 わかり易いのはいいのだけど、これまで恐れ敬う感じだったのに、シンプルにありがとうって感謝。

 

 それがつもり積み重なって、モンジロー君の貢物とかの影響なんかも重なって、女神様の属性とか本質みたいなのが変化してしまったとすれば……?

 

 なんか僕の推測も当たらずも遠からずって気がしてきたぞ。

 

「そ、そんな話知りません! ではまさか、あなた方は女神の意志に沿って、コンビニとやらで世界を席巻するつもりなんですか? そもそも、コンビニってなんなんですか!」


 レイン司教の抗議……ああ、うん。

 いや、今のはあくまで憶測……憶測だしね!


「……コンビニで世界征服? まぁ、それも平和的でいいかもね……。なぁに、帝国については、今後真綿で首を絞めるように、じっくりと経済的に包囲網を作って、交渉を重ねてジワジワと圧迫していくつもりだ……。帝国内でも大帝排斥の動きがあるみたいだからね……いくら大帝がチートと言っても、自分の国を敵に回して、生き残れるはずがないし、その直属だったスライム軍団は僕らとの戦いでごっそりいなくなったから、当分大人しくしてる他ないだろうね」


「……馬鹿な。帝国のスライム兵が何匹居ると思っているのだ? 軽く見積もっても数千単位なのだぞ? 一度や二度の敗北で多少目減りしたからと言って、あの大帝が大人しくなる訳がない。ああ、参考までに僕が狩ったスライムの数は軽く100匹を超えている……僕はあの生物を狩る為のいわば天敵のようなものだからな」


 なんか、サトル君がドヤ顔してるけど……たった100匹なのかよっ! それっぽっちで天敵とか、ひょっとしてギャグで言ってるのか?


 アージュさんなんか、あの戦いだけで600匹は狩ってるし、その前にも何度か戦って、撃破してるって話だから、撃破総数なんて言ったら、たぶん、1000は下らんのだけどな。


 ……帝国側の官僚がここだけの話って事で、こっそり教えてくれた情報では、あの戦いに大帝は投入できるだけのスライムを根こそぎ投入していたらしいのだ。


 投入できる最大戦力でもって、一撃ですべてを蹂躙し、オルメキアの補給ルートを完全破壊し、孤立させ、後背から山を超えて攻め込んでオルメキアを完膚無きまで滅ぼす……そう言う戦略だったらしい。

 

 まぁ、戦力の集中運用……戦略目標を制定したうえで、最大の効果を狙ってと言う意味では、間違ってはいない……普通は、あんなの止められない。


 でも、実際は、まともな戦力も居ないだろうとタカを括ってたジャングルで、僕らという伏兵と遭遇し、完膚無きまで返り討ちにあった……。

 要するに本命一点買いして、まんまと外して一夜にして、全財産を失ったようなもの。


 帝国の各地や、諸国に潜り込ませた擬態種とかは残っているようなのだけど……。

 

 自由に動かせる戦力については、予備すら残さず、全部まとめて投入して、一匹残らず僕らによって殲滅された。

 

 それがあの戦いの真実らしかった。


 どうも大帝も統括出来る上限があって、それが約3000と言う数字……。

 あの戦いで僕らが駆逐したスライムの数もそれくらいだった。

 

 それを再建となると、年単位の月日がかかる……らしい。

 

 細胞分裂みたいな感じで増えて、すぐさま再建してくるだろうと思ったのだけど、そうは行かないらしい。

 

 と言うか、文字通り一匹残らず駆逐したと言うのが、効いてる。


 コピペしようにも、コピー元すらないのだ。

 種芋喰っちまって、来年は? ってなってるようなもの。

 

 なんと言っても、レベル2やレベル3と言った統率者クラスともなると、補充なんて簡単じゃないらしい。

 そこら辺もあの戦いに、参戦してたのは、ごっそり消えることになった。


 そうなると、あの敗北は、もう大敗北とかそんな次元じゃない……。

 帝国の国家戦略自体が崩壊するほどの致命傷……帝国終了のお知らせだった。

 

 これらの情報は、当然ながら、ロメオの諜報機関や商人ギルドの帝国支部からの現地情報などと、照らし合わせた上で、入念に検証される事となったのだけど。


 どうやら帝国官僚のリークした情報は真実だと、すでに立証されていた。

 

 大帝はフリーハンドな戦力をまとめて失い、大好きなスライムちゃんたちが、無残に大量虐殺されたショックで、引き篭もってしまい、帝国軍も商人ギルドの貸し剥がし攻勢でグッダグダで、もはや息してない。

 

 帝国は差し出せるものは、何でも差し出すから、もう勘弁して下さいと泣きついてきてると言うのが現状なのだ。

 

 女神様もこんな結果になるとは思ってなかっただろうけど。

 

 それが今の情勢なのだ……文字通り、あの日、僕らがスライムの群れを駆逐した瞬間から、世界が変わったのだ。


 このサトルってヤツは、そこら辺の世界情勢の変化について、この様子だと、これっぽっちも解ってない。


「まぁ、そう思ってるなら、そうなんだろうね……君の中ではって、付け加えて置くけどね」


「……何だと、貴様……! それは、どう言う意味なのだ!」


 ……今の情勢を鑑みても、コイツはもう要らない子扱いなのは、間違いない。

 けど、それを理解させてやろうとは思わない。

 

 多分、現実を受け入れてくれないだろう……面倒くさいから、もう知らんよ。


「もういいよ……君の役目は多分もう終わりだ。いずれにせよ、僕に役目があるとすれば、この世界にちょっとした平和を作り出すことと、人々の生活を豊かにする事なんじゃないかな? それこそ、女神の意志にかなってると思うんだ。なぁ、ミリアさん……君は聡明な人だ。このサトル君のやり方に問題があるって事はとっくに気づいてるんだろ?」


「そ、それは……た、確かに色々と問題があったのは解っているのだが……」


 僕がそう告げると、何か思い当たる節でもあったのか、ミリアさんも言葉に詰まる。

 

 それを見て、サトルも凶悪な目付きでミリアさんを睨んでる。

 と言うか、こいつ……世界を救うとか言いながら、やってることはただのテロリストレベルなんだよなぁ……。

 

 まぁ、ファンタジーの勇者様とかって概ね、そんなんだけど。

 

 たった一人で国家レベルの敵の相手するとなると、重要施設の破壊とか要人暗殺とか、それくらいしかやりようがない。

 世間一般では、それはテロって言うんだ。


 古今東西、テロで世の中が変えられた試しなんてない。

 

 テロリズムなんてものは、全否定されて然るべきなのだ。


 つまり、孤高の勇者なんてものはあり得ない。

 

 世の中を変えるのは、名もなき多くの人であり、そうあるべきなのだ。


本日付の割烹で、作中主要ヒロインのイメージイラストを掲載してます。

テンチョー、キリカさん、ランシアさんの三人娘ですね。


AIデザインなんで、ところどころ微妙ですが、作者のキャライメージに結構忠実なんで、お目汚しかもしれませんが、どうぞご覧いただければ!


ついでに、作中の彼女達の容姿描写を若干変えてます。(笑)

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