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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第四章「萌える月夜の決戦」

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第三十七話「エクストリーム主人公対決!」①

「やぁやぁ、諸君! おはようっ! オルメキアからはるばるようこそ! 僕がロメオ王国宰相、高倉健太郎だ! ひとつ、よろしく頼むよ! すまないけど、ここはロメオ王国の正式な領土に格上げされたんだ。当然ながら、勝手に入り込んだ者は容赦なく不法侵入者として、しょっ引くことになったから、速やかにご同道を願いたいっ! なお、拒否権とかはないから、そのつもりで!」


 例のオルメキア人三人の滞在するテントを訪問しての僕の第一声がそれだった。

 もっとも、連中も焚き火を囲んで野営中って感じだったんだけどね。

 

 あまりに唐突だったので、向こうもポカーンとしてる。

 

 うん? いきなり、問答無用とか、無茶苦茶だって?

 いやいや、これはちゃんと法的根拠もあっての、正式な公的権力の執行なのだよ。

 

 そう、実はこの地は、ロメオ王国保護領から、正式な領土……タルカシアス辺境伯領に格上げされたのだ。

 すでにロメオ王国では、議会にて閣議決定され、クロイエ陛下の名に於いて、国内及び諸外国へも正式通達済みだった。

 

 これまでは、領主や統治機関なども置かない保護領という事で、扱いとしては空白地じゃないけど、領地に準ずる程度の扱いで、色々とおざなりな扱いだったのだけど……。

 

 今や、この森の戦略的価値は僕のコンビニの存在や日本国から派遣された超兵器群やら、テンチョーという超級使徒の存在などで、爆上げ状態!


 そして、何よりもロメオ王国の宰相として、この地を根城とする僕が任命された以上、保護領だの緩衝地帯だのぬるいこと言ってられないと言う事で……。

 

 正式に領土宣言することに関しては、議会は全会一致で賛成しており、領土宣言した以上は、不法滞在者の取締を行う事になったし、住民保護や犯罪者などの撲滅なども、ロメオ本国から治安維持軍が乗り出してきて、かなり徹底的にやる予定だった。

 

 ちなみに、領土名は……この森の有力氏族やコンビニ村の住民たちが、ロメオ側の官僚たちと協議して、勝手に決まった。

 

「タルカシアス辺境伯領」

 

 それがこの地の名前となった。

 ちなみに、タルカシアス辺境伯ってのは、他ならぬ僕のことだ。


 対外的なハッタリって意味もあって、僕には宰相の肩書のみならず、辺境伯の称号が付いた。

 

 本来、貴族の爵位ってものは、血筋ってものが重視されていて、色々なお決まりや人数制限やらもあって、平民どころか得体の知れない異世界人に与えられるようなものではないのだけど……。


 曲がりなりにもロメオの宰相が爵位の一つもないのでは、貴族達の立場がないと言う理由で、リョウスケさんがロメオの国王として即位するより前……この国が違う名前の国だった頃に廃摘はいちゃくになった辺境伯の爵位と「タルカシアス」という家名を僕に付与するって事で、こんな事になった。

 

 なんだか、ややこしいのだけど、下級貴族はともかく、上級貴族ともなると、伝統やら格式が重んじられるので、こんな感じで辻褄を合わせるんだとか。

 国の名前が変わって、遥か昔に滅んだ貴族の家名が復活とか……正直、理解に苦しむ部分なのだけど。

 

 それで、貴族達という敵に回すと面倒くさそうな人達が、納得してくれるなら、それでいいと思う。

 

 なので、僕は異世界人名として、ケントゥリ=フォル=タルカシアス辺境伯とも呼ばれている。

 フォルってのは、ドイツ貴族なんかに付く「フォン」みたいなもんで、一種の敬称なんだそうな。

 

 ちなみに、伯爵以上の上級貴族の権威ってのは、それ以下の下級貴族とはもはや別格で、辺境伯ともなると日本あたりで言うと、地方ブロックの首長……要するに東北地方とか、中国地方とか……複数県を束ねる一地方の大ボス……実際にはそんなものはいないのだけど、その程度には権限がある。

 

 要するに、伯爵以上の貴族ってのは、もはや国王に準ずるくらいの権力者なのである。


 ちなみに、この上の公爵や侯爵は王族の血を引く、准王族って感じなので、辺境伯ってのはパッと出に与えられる爵位では、最高のものと言えた。

 

 ありがちな話で、門閥貴族とかそう言うのが出て来て、頑迷に反対するんじゃないかと思ってたんだけど。

 仮にも宰相を名乗るなら、その程度の爵位は当然と言う事で、これもまたどこからの反対意見もなく、半ば問答無用でそうなった。

 

 この国の貴族って、すんごい愛国者とか、ノブリス・オブリージュ精神の塊とかそんな人ばっかりで、話してみれば、割といい人達ばっかりだった。

 

 なんでも侯爵とか伯爵の爵位を持つ人達も、かつて、リョウスケさんが起こした国盗り革命に側近として参加して、僕と同じ様に滅んだ家名を名乗ってるような人達なので、根っからの貴族じゃないらしい。


 貴族の爵位ってのは、国境を超えてハッタリが効くので、せいぜい有効活用すると良い……なんて、アドバイスをクロイエ様からももらってる。

 

 まぁ、領土経営とかについては、僕自身、よく解んないので、サポート要員として付けられた官僚さん達に丸投げてるんだけどね。

 領地にしても、この広大な森の西半分一帯全部とか、とってもアバウト。

 

 もっとも、住んでる連中に、いきなり税金寄越せだの、ルールを守れっても、なかなか受け入れられにくいだろうから、前から住んでる真っ当な住民に対しては、当面は今まで通りにすると通達してある。

 

 税金なんかも、コンビニの商品代金には、ロメオに収める税金分も含まれているので、ウチで買い物するだけで、自動的に収めることになるし、皆が買い物をしてくれるだけで、それなりの収入になっている。

 

 なので、その辺は、今までどおり……要するに、消費税みたいなもんだな。

 

 税金ってのは、安く広く解りやすく、平等かつシンプルに、少なくとも僕はそう思う。

 それを考えると、このロメオの税収システムってのは、なかなか良く出来ている。

 

 為政者ってのは、あの手この手で民から税金を搾り取ろうとするものなのだけど。

 ロメオの場合は、商人ギルドから大半の税収を得るという形で、民衆からは直接税金を取ってない……要するに間接税収という形式を取っている。

 

 その分、物価は帝国などと比べると、高めではあるのだけど。

 国民の収入も高めなのと、所得税などを取ってない上に、収入が低くて生活に困窮してる者へは政府から補助金が出たりするので、物価の高さは国民としては、こんなもんだと納得できる範囲に収まっている。

 

 補助金についても、子供が多い家には子ども手当みたいなのが支給されるし、真面目に職について、仕事してるだけで、勤労手当とかもらえるし、長生きしてるってだけで、長寿手当なんてお祝い金が出たりする。

 

 この手のお祝い金は、色んな分野で様々な名目で支給されていて、結婚したりしてももらえるし、家とか土地を買っても新築祝いとか言って、補助金もらえるし、病気や怪我で入院したりしても、お見舞金が出たりする。

 

 とにかく、やたらと気前よく、お金をばら撒いてる……そんな感じ。

 

 ……リョウスケさんが考えた仕組みらしいんだけど。

 要するに、じゃんじゃん国民にお金流して、物価が多少高くても気にせず、じゃんじゃん使ってもらうようにしてるらしい。

 

 貴族達に至っては、どうもクロイエ様へのお説教が効いたのか、今年度予算は全額使い切るようになんて言われたとかで、各地でバラ撒き祭りが開催中……なんて話も聞く。


 近年、貴族達が余った予算を着服し密かに貯め込むようになってて問題視されてたそうなのだけど。

 その辺も解消出来て、景気も刺激されてと一石二鳥になってるらしい。

 うーむ、さすがクロイエ様だ。


 その代わり、銀行の利子とかはめっちゃ安い……銀行の手数料は安くないので、頻繁に出し入れしたり、預けっぱなしにしてるとむしろ、損する。


 もっとも、低金利だと借りる場合の利子も微々たるものになるので、ローンなんかも盛大に流行ってる……はっきり言って、景気が悪くなる理由が見当たらない。


 おかげで、皆、あんまり貯金しなくなってるらしいんだけど……セーフティネットが充実してるから、皆、宵越しの金は持たねぇ……みたいな感じで気前よく使って、貯金しなくても安心って風潮が成り立ってる。

 

 なんと言うか……商売やってる身からすると、お客さんの財布の紐がこぞって緩いってのは、なんて素晴らしいんだって思う。


 これ新商品なんだけど、ついでにどう? ってセールストークすると、んじゃそれもーってホントに気軽に買っていってくれる。


 日本じゃ、売っても赤字確定のおつとめ品とかばっかり、皆買っていったり、売れ残り廃棄の山で涙目になったりしてたのに……こっちじゃ、ちょっと予測を誤ると売り切れ続出とかなったりするからねぇ……。


 日本の人達も、こっちの世界の人達の購買意欲の高さに、驚いてるらしいけど……確かに、日本から見たら、羨ましい話だろう。


 この世界で商売やってて、皆、金遣いが派手って思ってたけど。 

 国レベルでそんな政策を振興してたんじゃ、そうもなる……僕のコンビニが歓迎されたのも当然だし、商売人達がこの商品はこのクオリティでこの値段じゃ安すぎるから、値上げしなさいとか、クレーム入れて来たりしたのも納得だ。

 タバコなんかも日本円換算だと1500円もするのに、皆、カートン買いしていったりなんかするからねぇ……。


 少なくとも、経済に関しては、ロメオは極めて優良な国だと、僕も評価せざるを得なかった。

 

 うちのコンビニの経営状況も極めて優良。

 食べ物とかは、ラーメンやおにぎりとかは、似たような物がぼちぼち売られるようになってきてたり、ペットボトルをリサイクルして、果実の絞り汁とか、果実酒やらを入れて販売するとか便乗商売も始まってるんだけど。

 

 なんだかんだで、商品力に関しては、日本のコンビニそのままだから、もはや最強と言っても過言じゃない。

 それに何より、仕入れ代がタダなんですもの。

 

 この辺は、日本側の鹿島さん達が全額負担することで、相互安全保障の一端とすると言う暗黙の了解が成立したことで、僕としては堂々と、そのメリットを受け入れることにした。


 まぁ、実際問題……如何に、この世界で唯一のコンビニと言っても、売上額なんて月辺り1000万ちょっと。


 なんせ、一日の来店人数っても数百人単位。

 一人あたりの購入金額も千円とか二千円とかそんなもん。

 

 本来、そこから水道光熱費やら人件費、仕入れ代とか引いていくと、月当たりの儲けは、百万とか、悪いと数十万とかそんな調子になる。

 

 家族がいれば、家族に給料払ったことにして、帳簿上赤字経営ですとかやって、法人税を安くしてもらったりとか、色々小細工をするのだけど……。

 

 日本に税金も払ってないし、売った分だけ丸儲けとか、夢みたいな商売になってるのだね。

 

 その程度で言うことを聞いてくれるなら、安いものだと向こうも判断したらしく、むしろ気にしないでいいよーって、言質もらってるので、お言葉に甘えることにした。

 

 さすがに、コンビニの従業員の人件費や、コンビニ村のインフラ維持費だの、街道の維持費や警備隊の装備、人件費なんかは、相応の負担になってはいるのだけど。

 

 これまでは、その辺は商人ギルドや利用者側の寄付などで、成り立っていたけど、正式に領土化したことで、予算が付いて、人員や装備類もモリモリ、アップグレード中。

 

 ロメオの親衛隊のウルスラさんの率いていた特務隊も、警備隊として配備され、ランシア隊も増強配備された隊のひとつだった。

 

 他にも大小様々な傭兵隊とか、冒険者クラン、帝国から脱走してきたっぽい自称傭兵軍団とか言ってるような連中も雇ってくれって来たので、そいつらも試験雇用中。

 

 武装した旅慣れてるような連中とかって、探索やら、護衛……何かと便利使い出来るから、そう言う連中を何人も雇うことで、相応の軍事力も確保されつつあった。

 

 ちなみにレッドオーガのウルスラさんも、今ではコンビニの常連の一人になって、24時間ご飯が食べれるとか最高すぎるとか言っては、毎回アホみたいに弁当買ってたり、サントス食堂に入り浸るお得意様だった。

 

 最初は、捕縛するつもりだった相手が、いざ辿り着いたら、自分の上司になってて、もう訳が解らないとか言ってたけど、労いとお詫びに、食事を奢ったら、むしろ一発で気に入られてしまった。

 

 軽く30人前くらい食べてたけどなっ!

 一食であんなんじゃ、燃費悪すぎる……オーガ族が微妙って言われるのも納得だった。

 

 街道も整備予算を用意して、着々と整備が進みつつある。


 そう……領地の統治において、何より重要なのは交通網なのだ……道が繋がってないと、いくらそこが領土だと言い張っても現実問題、なかなか統治なんて行き届かないし、経済的にも結びつきが出来ない。


 まっさきに、そんな話を議会に提案したんだけど、議会の人達も真剣に話を聞いてくれて、僕の提案による公共事業の第一号として、タルカシアス辺境伯領内の街道整備が優先事業として行われることになった。

 なんだか知らないけど、貴族達から多額の寄付金が流れてきて、びっくりするくらいの額の予算になった。


 かつては、道なき道を歩いていってた森エルフの集落も立派な街道が出来た事で、商人や観光客が行き来するようになって、森エルフもすっかり、僕らの経済の輪の中に溶け込んでいる。


 ランシアさんの話だと、うちの商品を仕入れて転売してる支店みたいなのが出来てるって話も聞いてる……まぁ、族長さんとかコンビニまで来るの大変って言ってたから、この辺は黙認してるんだけどね。


 オルメキア側の街道については、例のスライム騒ぎでボロボロなんだけど、商人ギルドが音頭を取ることで、オルメキア側に有無を言わさず、着々と復旧と整備が進んでいた。

 思いっきり他国の領土なんだけど、その予算の多くはロメオから出ていると言うのが公然の秘密だった。

 

 基本、万時そんな調子で、住人側が損しないように配慮したので、問題も起こってなかった。

 むしろ、コンビニ村では、辺境伯領の中心地となった事で、ここ数日お祭り騒ぎになっているほどだった。

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