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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
幕間2

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閑話休題「メシマズエルフの食料改革」⑬

「多分なんだけど……。あの時、姉さんとオーナーさんを奪い合って、お互いの魔力がオーナーさんに集中しちゃってたのよ……オーナーさんも、自力で傀儡の法を解除して、鋼草の制御を奪い取ろうとしてたのよね?」


「そ、そうなんだよ……。けど、なんかもう、身体に無茶苦茶な魔力が入ってきた……そこまでは覚えてるんだけど……」


「だとすれば、多分過剰魔力励起による暴走……ですかね。元々魔力ってのは、自分の魔力許容量以上は扱えないものなんですけど……魔石を使ったり、他者の魔力が供給されたりで、許容量を超えてしまうことがあるんです。そうなると、一番危ないのは魔力の暴走……今回の場合、操作系魔術だったせいで魔力そのものがオーナーさんを操るような感じで暴走してたんじゃないかって……だから、オーナーさんは悪くありません」


 さすがに、マッスルの神を召喚憑依させるなんて、怪しげな魔法を発動させてたとか言えないなぁ……。


 けど、僕が潜在的に抱いていた筋肉への憧れが意志を持った魔力として、具現化した……そう言うことなのかもしれなかった。


「ああ、なんかそれ聞いたことあるなぁ……。奴隷化の魔術でも言うこと聞かんからって、むやみに重ね掛けすると、被術者が凶暴化して手に負えなくなったりする事があるって話聞いたで……」


「そうなんですよぉ。操作系魔術は無理に解呪したり、下手に外部から干渉すると対象が暴走しやすいって欠点があるんですよ。今回のケースはランシアちゃんと言う、私と同様の操作系魔術の使い手が同レベルの魔力で対抗しようとしたと言うレアなケースで……私も予想外でした。ランシアちゃん、しばらく見ない間に腕を上げたんですね。お姉ちゃん、鼻が高いですっ! じゃあ、オーナーさんも落ち着いたみたいですし、私もお片付け手伝ってきますねっ!」


 全ての元凶っぽい人が、話をまとめるとスタスタとこの場を離れようとしていた……。

 

「ちょっ! これと言うのも……全部、姉さんが悪いんじゃないのっ! てか、逃げんなーっ!」


 いい感じに話をまとめて、逃げようとしていたリーシアさんを目ざとく見咎めたランシアさんが、声を荒げる。

 

 さすがに、誤魔化しきれないと悟ったらしく、リーシアさんもピキッと固まると、チラッとこっちを見る。

 思わず、目が合い見つめ合ってしまう……。

 いくらなんでも、すべてをあやふやにして誤魔化して逃げようとか、許しませんよ?

 

 そんな意志を込めて、じっとリーシアさんを見つめると、見る間にその目が涙目になる。


「ふぇえええええ……。ご、ごめんなさーい! オーナーさん、私が悪かったですぅ……き、嫌いにならないでくださぁいっ!」


 泣きながら、リーシアさんが駆け寄ってくると、僕の首に抱きつく。

 うん、誰が一番悪いってなったら、なりふり構わず、僕に迫ろうとしたこのリーシアさんだと思う。


 そりゃあ、リーシアさんは素敵で魅力的な女性なのは、認める。

 こんな人に、好きにして……なんて言われたら、僕だって、野獣になるさ!


 せめて……もうちょっとこう……変化球じゃなくて、直球で来てくれればいいんだよ。

 段階踏むとかさ、雰囲気とかさ……いきなり問答無用で、まずエッチしましょうとか、そりゃないわー。


 けど、なんとなく解った……この人、いわゆるヤンデレさんの素質たっぷりなんだ。

 

 ……ヤンデレさん。

 大好き過ぎて、軽く世界を滅ぼしかけたりするような人達。


 けど見方を変えれば、ただ一途ってだけで、純愛の極み……そんな風に言われて、キャラ的には意外と愛されてたりもする。


 まぁ……少なくとも、悪気があってって訳じゃない。

 単に、人の迷惑とか、他人の気持ちってもんを全然、考えてないってそれだけの話しなんだ。


 その泣き顔を見てると、なんか怒る気も失せてしまった。

 と言うか、怒っても反省しないんだよね……この手の人達って……。


 軽く頭をポンポンと叩くと、とりあえず笑いかける。

 

「オーナーさん……許して……くれるんです……か?」


「……見た感じ、誰も怪我人とか出なかったみたいだし……。被害と言っても、リーシアさんの部屋が少々風通しが良くなったのと、この大樹に僕の形の人型が出来た……くらい?」


 うん、なんかもうすごいことになったけど……ここは、もう笑って許すってのが一番だと思う。

 

 と言うか、ここで当たり散らして、変に気まずくなったら、ご近所さんだけに今後、色々と困る。


 何より、ヤンデレさんに目をつけられてしまったら……。

 程よく相手して、程よい距離感での程々のお付き合い……多分、これくらいしか有効な策は無い。

 

 下手な対応をすると、背中から包丁で刺された挙げ句に、Nice boatされてしまうようなバッドエンドが待ってる。


「……オーナーはん。一応、老婆心で忠告しとくけど……この手の女は、手酷く振りほどいて、二度と近づくなって位言っとかないと、性懲りもなく同じような事やってくるで……。そもそも、か弱いどころか、ランシアやうちでも、タイマンやと歯が立たんくらいの猛者なんやで? うちでも、コイツ相手やと、とても守りきれんわ……」


「そうですっ! そもそも、姉さんはこう言う人なんです! 昔から私の物をすぐに欲しがって、力づくで奪い取ったりとかするような人なんです! 姉さん! 今すぐ、オーナーさんから離れなさいっ!」


 キリカさんとランシアさんは、不満そう。

 まぁ、そりゃそうだろう……けど、僕はもう水に流すって決めたんだ!

 

 ここは一応、ビシッと言って、チャラにするって……これでいいんだ!


 ……僕はNice boatされたくないからねっ!

 それに……とても嫌いになんて、なれそうにないんだよなぁ……。

 こう言うホンワカしてて、ナイスバディな人……好みなんです! おっきなお尻もたまらんのです!


「まぁまぁ、二人共……。リーシアさん、もう今回みたいな無茶はしないっ! ……多分、今回ので僕も操作系魔術への対策が出来るようになったと思うから、同じ手は通じませんから! とりあえず、普通に仲良くしようよ……ね?」


 うん、実を言うと僕も魔力を身体に循環させ強化するということと、操作系魔術って呼ばれる魔術の真髄を身体で理解できた気がするんだ。

 

 僕だって、成長するのだ!

 いつまでも、ヘタレで無力な半端者じゃないのだっ!


 リーシアさんも、涙目ながらもコクコクと頷く。

 

 まぁ、反省してるっぽいし……これでいいんだよね?

 

「オーナーはんがそう言うなら、しゃあないなぁ……。つくづく甘いやっちゃなぁって思うけどな……。でもまぁ、そこがええとこなんやけどな」


「……まぁ、姉さんのやり口なら、私もよーく解ってますからね! 姉さん、くれぐれもオーナーさんにこそこそ付きまとったりしないでね! それに夜這いとかも禁止! なにせ、コンビニの夜の守りはこの私が担当してるんだからね! 姉さん相手だろうが、不審者には容赦しないっ!」


 そういや、ランシアさん……。

 夜間警備は、うちの屋上でってのが定番だったっけ。

 

 まぁ、リーシアさんも時々お買い物に来てくれたり、手料理を差し入れしてくれたり……くらいで平和にやってくれれば、それでいいんだ。


 本質的には、悪い人じゃないし……ぶっちゃけ好みなんだよっ!


 もう、無理やりだけど、まとめちゃおうっ!

 

 めでたしー、めでたしーっ!

 

 

 ……それから数日後。

 我がイレブンマート異世界支店は、すっかり新たなお客さん……森エルフの皆さん達を迎えるようになり、連日大忙しだった。

 

 今日も、僕は臨時の店番に入って、忙しくしてる。

 

「……こんにちわぁ……。オーナーさん、遊びに来ましたよぉ」


 リーシアさんが、嬉しそうに山のように商品の詰まった買い物かごを抱えて、レジにやってきた。

 隣では、ランシアさんがしっかりとその手を握りしめている。

 

 さっきまで、嬉しそうに一緒にアレがお勧め、これが美味しいとかやってて、仲睦まじい姉妹って感じだった。

 

 さすがに、リーシアさんも、あそこまで派手にやらかした結果、お母さんのリファナさんに怒られまくって、外出禁止を言い渡されてたらしいんだけど……。

 

 ランシアさんの見張り付きって条件で、やっと集落の外への外出が許可されて、コンビニまで来てくれたらしかった。

 さすがに、今回はお買い物が目的とのことで、いたって大人しい。

 

 ホント、こうやってヤンデレスイッチオフの状態で、大人しくしてる分には、リーシアさんはホント、素敵な女性なんだ。

 

「いらっしゃい! 今日はスイーツが一割引なんだ。あとはチキンも割引きセール実施中だよ!」


「あら、じゃあ……チキン二つくださいなぁ。一個はランシアちゃんの分です」


「気が利くのね……ありがと、お姉ちゃん!」


「ランシアちゃんのおかげで、お外に出られるようになったので、お礼です。あ、オーナーさん、その節は大変、ご迷惑をおかけしました」


「いーよいーよ! 僕は気にしてないからね。あ、これ……おまけ、サービスね」


 そう言って、レジの前についでにどう? って感じで並べてたグミキャンディーをコンビニ袋に詰め込んであげる。

 

「あらあら、ありがとうございますねぇ……」


「あ! それって新味だ! オーナーさん、私にもサービスしてよっ!」


「駄目ですー。ランシアさん、何も買ってってないじゃない。タダじゃ物は売らない主義なのだよ! 欲しければ、普通に買ってってよ」


「オーナーさんのケチっ! 姉さん、早く行こう! ベンチの空きがなくなっちゃう!」


 言いながら、ランシアさんがリーシアさんの手を取って、さっさと出ていってしまう。

 去り際に、リーシアさんがこっちへ振り向くとニコリと笑顔とともに手を振りつつ、去っていく。


 ランシアさんとリーシアさん。

 なんだかんだで仲良しエルフ姉妹。

 

 外のベンチで二人肩を並べて、美味しそうにチキンを分け合っている。

 尊い光景だなぁ……。


 僕以外の人も同じような感想を抱いたようで、通りすがりに微笑ましいと言った感じで行き交っていく。

 

 ……今日も我がコンビニは平和だった!


 とある晴れた昼下がり、今日もお天道様は眩しくも暑苦しかった。

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