閑話休題「メシマズエルフの食料改革」⑤
「な、なんと……君達のいるコンビニとやらには、半日もしないで着くとランシアから聞いていたが……。そんな近くにこんな美味い酒が売っているというのか……しかも、銀貨数枚だなんて……。こ、これは、引きこもっている場合ではないな……。君達を送っていくときは、ありったけの現金を持っていかないといけないな」
「お酒以外にも、色々美味しい食べ物や飲み物も扱ってますよ。実は、今回ご挨拶もですが……うちで、扱ってる商品の宣伝もさせていただこうかと思ってまして……お近づきの印に、色々無償で振る舞わさせてもらえればと……」
ひとまず、今回の来訪の目的を告げると、なんか周りがざわ付き出す。
けど、皆、ワクワクって感じで期待に満ちた目をしてる。
「皆、オーナーさんのコンビニは、もう美味しいものが山程売ってるのっ! コンビニのご飯食べちゃうと、こんな里の伝統食……雑草の盛り合わせ……。あんなもの、もう食べ物じゃないって思えてくるのは確実なんだから! 姉さんもそう思うでしょ?」
「そうですねぇ……確かぁ、チキチキラーメンでしたっけ? もう、美味しくて涙が溢れたくらいでしたねぇ……。またお土産で買ってきてくださいねっ!」
「何言ってんのよ……姉さん、歩いて半日もかからないんだから、買いに来ればいいじゃないの。お金なんて、パーラムさんのとこ行けば、魔除けのお守り程度のマジックアイテムが金貨に化けたりするんだから、お買い物だってし放題よ! 姉さんも引き籠ってないで、たまには外の世界に出ないと駄目よ」
「そっかぁ……自分で買いに行けば良いのかぁ……お姉ちゃん、ちょっとお利口さんになっちゃいましたぁ。私、村から外になんて行ったこと無いけど……お外に行きたくなってきましたぁ。オーナーさん、今度お買い物に行ってもいいですかぁ?」
「ああ、もちろん……ランシアさんのお姉さんなら、いつでも大歓迎だよ! もうサービスだってしちゃうよ。なんせ、ランシアさんはうちで長期雇用契約を結んでるから、もう従業員みたいなもんでね。身内割引くらい喜んでっ!」
と言うか、リーシアさん。
細身のランシアさんと違って、胸もあって、お尻もバーン。
僕みたいなおっさんになると、こう言う女性らしい体型ってのに、むしろ惹かれちゃうのだ。
ランシアさんは、歳上なんだけど、なんかいまいち歳上っぽくないんだけど。
シーリアさんは、歳上感いっぱいで、包容力もありそうだし、まさに良妻賢母って感じで、なんと言うかまさにおっさん好み。
ちょっと、これはサービスするしかないよね。
なんか、外に行ったこと無いって話だけど、リーシアさんならお泊まりサービス、送迎付きくらいやってあげたくなってしまうよ。
……と言うか、リーシアさん、膝枕とか頼んだらしてくれないかな? なんか、押しに弱そうな感じだし……これまで、近くにいなかったタイプだけど、もろに好み。
そんな事を考えていると、ランシアさんがついっと近づいてきて、ギュッと足を踏まれる。
「あいったぁっ!」
「あ、ごめーん! オーナー……足が滑っちゃった。大丈夫?」
笑顔なランシアさん。
けど、その笑顔の裏には、お姉ちゃんに変な気起こしたら、コロスよって書いてあるっ!
そして、その足はガッツリ、グリグリと僕のつま先を執拗に責めていた。
「い、いやぁ、僕は気にしないよ。うんうん、なんてったって僕はランシアさんに踏まれ慣れてるからねっ! ランシアさん、最高っ! いつもありがとうございますぅーっ!」
……フォローしたつもりなんだけど。
ランシアさんがジト目になると、そのお御足は、追い打ちとばかりに僕のつま先をグリグリと責めるっ!
くぉおおお……マジで、痛い……なんだこれっ! 絶妙にめちゃくちゃ痛いっ!
一見、足をつま先に軽く乗せてるだけのように見えて、足の指先で足の甲のツボを絶妙にグリって来ている。
だが、たったそれだけのことなのに、この激痛っ! まるで足が取れたんじゃないかってくらい痛いっ!
やめて、僕の右足のHPはもうゼロよっ!
このままでは、僕はつま先をエルフっ子に砕かれてね……と足を引きずりながら、過去を語るようになってしまう。
膝の矢傷だって、引退待ったなしなのだ……なんて恐ろしい子っ! 恐ろしいよ! ランシアさんっ!
だが、僕だって男だ……嫉妬心に燃えるランシアさんの仕打ちにだって、涼しい顔で耐えるのだ。
幸いランシア先生の激しい責めにも、いい加減慣れてきてるからな……僕の防御力もなかなかの物になってきているのだ。
でも、痛いよ……痛すぎるよこれ。
意識が……意識が遠のきそうだよ……ビクンビクンッ!
「あらあらぁ……ランシアちゃんとぉ、オーナーさんはぁ……とぉっても仲良しなんですねぇ。お姉ちゃん嬉しいわぁ。まるで、お父さんとお母さんみたい……でも、ちょっと羨ましいなぁ……」
「そうね……私も昔は、よくお父さんにこんな感じでお仕置きしてたものよ。ランシア、その足ツボ攻め、相当効くの……だから、ちゃんと手加減してあげないと駄目よ」
「解ってるって! お母さん直伝だもの……オーナーさん、どうかしました? 一応言っておきますけど、お姉ちゃんは男慣れしてないから、変なこと考えたら駄目ですよ? 返事は?」
「はい、ランシアさん! 解ってます! リーシアさんに膝枕頼んだら、やってくれるかなーとか全然考えてません! ぎゃにゃーっ!」
思わず、思考がダダ漏れになって、要らないことを口にする。
リーシアさんが、真っ赤になって顔を両手で覆う……あれ? この人、めちゃくちゃウブ?
って、痛い! とっても痛いよっ! ランシアさん! ビクンビクン……。
「うふふ……若い頃のお父さんって、人間の女の子とか同族の子を見ると、お嬢さん、私とお茶でもしませんか? なんて、声かけまくって……そのたびに、お仕置きをして……いつも、こんなトロけた顔してましたね。お父さん、久々にどうですか? なんかうずいてきました」
「……おほんっ! リ、リファナ……お客人の前で、そういう話はやめてくれないかなぁ? わ、私は遠慮しておくよ……せめて、人の居ない所でお願いします」
……オヤジさん、尻に敷かれマンなんすなぁ……。
と言うか、ランシアさんのこの高めの攻撃力と、そこはかとないSっぷりは、お母さん譲りなんすねっ!!
無敵ママ属性にして、尻に敷いちゃうドSウーマンとか、最強かよっ!
「よっしゃ、うちらのお店、皆行ってみたいって思っとるやろ? 今回、特別に2割引チケットを、今から配るから、欲しいやつは一列にならぶんやでー! 一人一枚だけやから、チケット使う時はまとめ買いでぎょうさん買う時に使ったほうがお得やでぇー!」
ランシアさんとじゃれ合ってる僕が、もはや使い物にならないと踏んだのか、キリカさんがそんな事を言い始めて、この場を仕切ってくれる。
なお、キリカさんとランシアさんは、同盟関係にあるので、こんな風に僕とランシアさんとじゃれ合ってても、ヘルプもしないし、焼き餅も焼かない。
どちらもお互いのやる事は華麗にスルーする……そして、時としてタッグを組んでくる事すらある。
でもね……。僕もこんなアヘ顔一歩手前みたいになってるんだから、いい加減、助けてくれたって良いのに……。
それに……僕は、もう駄目みたいだ……ガクッ。
あまりの激痛に、意識が遠のきかけて、膝の力が抜けて、倒れ込みそうになったところを、リーシアさんが支えてくれる。
ああ、ランシアさんは、ともかくリーシアさんって優しいな。
「オーナーさん、大丈夫ですかぁ? ランシアちゃん、いくら仲良しでも、こんなになるまで、いじめちゃ駄目ですよ! めっ!」
「あら? 何のことかしら……オーナーも、お疲れみたいよね。はい、おすわりっ!」
言われて、すかさずワンコのちんちんのポーズでしゃがみ込む。
あれー? 身体が……勝手に……。
「はい、お手っ!」
ランシアさんの御手々にターッチ!
なにこれ? 身体がいう事聞いてくれないよぉっ!
リーシアさんのCVは能登さん希望!(笑)
最近のだと、はたらく細胞のナレーションの人。




